5/23に千秋楽を迎えた「下天の華 夢灯り」。
ご観劇、誠にありがとうございました。
たくさんのお客様に出会えたこと、感謝します。
いやぁ…もう終わってしまったんですね。
毎度のことながら、早いものです。
作品を愛し、キャラクターを愛し、キャスト・スタッフを愛せば愛すほど、すぐに終わってしまうもの。
僕は今、空虚感で身体に力が入りません。
いわゆる「下天ロス」ですね。笑
「下天ロス」は放っておくとなにもできなくなりそうなので、ここで僕の思いの丈を語っておこうと思います。長くなりますが…読んでいただけたらと。
あ、ちょっとネタバレになるかもやけど。
原作も舞台も見てない、DVDを待ってる人は、気をつけてね。
…キャストがネタバレするって、どんな舞台やねん。笑
今作品は初演の続編。
本能寺の変で主人公に助けられ、死ななかった信長と、その家臣たちのその後の話。
僕の演じた半兵衛は、秀吉の軍師として信長の前に姿を見せます。
今回、僕は半兵衛を、
「人間味あふれるキャラクター」に見せたいなと思いました。
これは最初から決めていたことではなく、稽古途中から、先輩方のアドバイスをもとに、芝居方針をシフトチェンジして決めたことなんですけどね。
原作の半兵衛はどこか達観していて、安土にやって来た時から全てを受け入れ、計画を実行しようとしてたんですが、
舞台の半兵衛は、「秀吉の人柄」「ほたるの優しさ」「自身の病」…
作中に散りばめられた半兵衛を動かすパーツを、精一杯使って、葛藤していく様を見せようと。
原作はゲーム。
ですが、登場するキャラは、実在する人物をモチーフとしています。
それならばゲームっぽくなく、実在した人物を演じるように、人間らしく演じようと。
「下天の世界が実在して、半兵衛という人間が実在したら、こんな感じだよね」を軸に、作り上げようと。
ただ、先ほど書いたように、これは「稽古途中からシフトチェンジ」して作り上げたもの。
稽古序盤では、「作品のキャラクターをいかに再現するか」を軸にしていました。
そんな僕の演じ方に対して、演出の西森さん、演出助手のきまたさん、それにキャストの先輩方、全ての方が僕にアドバイスをくださったおかげで、あの半兵衛が完成しました。
きっとそのまま演じていれば、舞台の半兵衛はあんなに苦悩してないし、あんなに心が揺れ動くこともなかったんだろうなと。
アドバイスをくださった皆さんには本当に感謝しきれませんし、そのおかげで、自分の本来の「芝居力」を高めるコツもいただけたなと思ってます。
さて、キャラクターの話はさておき。
ここからは僕の作品に対しての話。
僕は比較的、作品愛やキャラクター愛が深いタイプの役者なんです。
これまでやってきた作品全てに愛があるし、それは原作ファンの皆さんに負けないくらいだとも思っています。
その中で今回の作品は、僕の役者人生の中で大きかった。
なぜなら今回の役は、「僕がとてもやりたかった役柄だから」ということ。
半兵衛は秀吉を慕い、秀吉の天下を望みます。それは家臣として当たり前のこと。
信長の軍師として仲間になることを誘われますが、秀吉の温かさに惚れ、秀吉の軍師として生きることを決めます。
ただ、半兵衛は「労咳(肺結核)」という、戦乱の世じゃ不治の病とされるものにかかり、自身の寿命と向き合うことになります。
残り数ヶ月の命…
自身の主の天下のため、力を尽くすこともできず、主の天下も見ることも叶わずこの世を去る…
なら、自身の手を汚してでも、主の天下を導こう…
「労咳」という病は、半兵衛の身体だけではなく、心までも蝕み、最後には「今孔明」と呼ばれるほどの軍師らしからぬ行動に移ります。
それが正しい判断ではないと分かっておきながら。
僕は、半兵衛のような「苦悩し葛藤する役」をずっと演じてみたかったんです。
自身の精神をすり減らし、半兵衛のような人物を生きることがとても楽しいだろうなと思っていたし。
実際にこの1ヶ月、とても楽しかった!
精神的には疲れたけれど、それも幸せでした。
半兵衛に巡り会い、半兵衛を演じられ、みんなに喜んでもらえたこと。
役者として、こんなに幸せなことはないですね。
僕が成人してるなら、お酒を飲んで祝おうとしてるんでしょうけど、まだ17なので、ジュースでも飲んでお祝いするとします。笑
まだまだ書きたいことはたくさんあるんですが、この辺にしておきます。
この続きは、次回作の時に…(^ ^)
ありがとうございました。
次回は、「蜉蝣丸」として、本当の自分として生きたいと思います。
長江崚行