渚にて・・・

なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
京都のホテルで目覚めると同僚のGは先に奈良へと出かけたようだった
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
僕は朝の用を足しながらどこにいこうかと思案を巡らすのだった
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
島原の方角へ足を延ばしてみるが
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
新撰組や草莽の志士の面影もなく
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
飽き飽きして東尋坊へと向かうのだった
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
こうやって30年後に机の上に紙を敷いて写真を置き・・・
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
過ぎ去った過去をいつまでもぐちぐち思い出すなんて吐き気がした・・・チッ・・・煙草を吸っていた若かりし頃か?
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僕が池袋S武デパートの画材売場で働いていたとき、同僚のGと京都から城崎をめぐる旅をしたとき、城崎の温泉旅館で喧嘩をしてしまった。僕はバツが悪かったので旅館を出て蟹を買いに浜坂まで出かけた。
なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
浜坂についた時にはすでに暗く、町中には蟹を売る店など1軒も・・・あった。1軒だけ開いていて僕に松葉蟹を2はい安く売ってくれた。僕は蟹を持ったまま海の方向らしき道を歩いた。夜の海が見たかったのだった。ところがあたりには雪が降り積もっていてどこから海なのか皆目見当がつかないのだった。

ただ、しばらく行くとザーザーと波の音が漆黒の闇の中から響いてくるのだった。

諦めた僕は駅に向かって歩いた。浜坂の町は灯も少なく、闇の町だ。真っ暗な中でふと僕の周りに人のようなものの気配がしたのだった。僕は恐ろしくなって雪明かりを頼りに駅に向かって歩いた。

なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
浜坂から電車に乗って城崎の温泉旅館に戻るとGはふて寝をしていたので、僕は何も話しかけずに買ってきた蟹を甲羅や脚の殻からバリバリと剥がして、そのまま何も浸けずにむしゃむしゃと食べた。どのくらいの時間が経ったろう? 

僕は2はいの蟹の抜け殻を廊下のゴミ箱に捨てると「ふう」とため息をついた。

翌日、僕たちは京都に戻ると互いに目も合わせずにそれぞれの目的地に向かった。僕は福井を選んだ。京都から乗り込んだ電車の中には妙に脚のきれいな若妻が5歳くらいの男の子をあやしていた。

なべじろうの小屋  The hut of nabejiro
東尋坊に到着して三国港を撮影していたら、寒さで一眼レフのシャッターが動かなくなった。僕はそれまで撮影した写真を取り出すためにフィルム巻き取りレバーをニュートラルにしてフィルムを巻き取った。するとバリバリと音がしてフィルムの端がちぎれたような音がした。
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