携帯電話の契約を巡るトラブルが増えている。

 昨年1年間に総務省や消費者庁に寄せられた相談は2000件以上。特に目立つのが「0円」とうたう携帯端末の代金を巡る相談だ。

 「無料と思って買ったのに頭金だけが0円だった」「解約時に高額な代金を請求された」などの苦情を受けた両省庁は、新規契約が増える入学や入社シーズンを迎え、消費者に対し、「わかりにくい販売形態に気をつけて」と注意を呼びかけている。

 総務省の電気通信消費者相談センターによると、2009年度に寄せられた料金などに関する苦情は2027件で、3年前の06年度(1316件)の1・5倍。消費者庁にも昨年9月の発足後、387件の苦情が寄せられている。

 特に多いのが、「端末代金は無料と説明されて買ったのに、解約時に『ローンが残っている』として高額な代金を要求された」との相談。同省は「携帯電話の販売制度があまりに複雑で分かりにくいことが原因」(消費者行政課)という。

 例えば、ソフトバンクモバイルのオンライン販売用のサイトでは、「実質負担0円機種が勢ぞろい!」などと大きく記載されている。ところが、近くに小さな字で「『実質負担』とは割賦金と月月割(特別割引上限)額との差額です」とも書かれている。

 実は、端末代は0円ではなく、頭金だけが0円の分割払いで、その代わり毎月、月額使用料から分割払いの金額と同額を値引きするという仕組み。このため、例えば24回分割払いなら2年以上契約を続ければ端末代金は相殺されるが、2年未満で解約した場合、残債を請求されることになる。

 同社は「パンフレットや店舗でも説明しており、きちんと理解されているはず」としているが、総務省の担当者は「『実質0円』という意味や、端末代金と通話料の区別を、契約者が必ずしも理解していないのでは」と話す。

 一方、KDDIやNTTドコモの販売代理店の一部でも、「2年間契約を続ければ基本料金を半額にする」という料金プランへの加入や、複数のオプションサービスを契約することなどを条件に、「0円」の端末を販売している。

 料金プランは3年目以降も自動更新されるが、途中解約すれば「契約解除料」などを負担しなければならないという。

 総務省は「電話機を『0円』で販売するためにオプションを事実上、強制するのは不適切」としているが、両社は「あくまで各代理店の独自サービスで、通信事業者が『0円』での販売を指導しているわけではない」と反論している。

 わかりにくい販売形態の背景には、端末の高額化もある。かつて通信事業者は、契約者獲得のため販売店に対し値引きの原資として「販売奨励金」を支給。「1円携帯」などの格安端末が出回っていた。

 しかし、07年9月、総務省が「販売方法が不透明」として端末代金と通信料を区別するよう要請して以降、1台5万円以上する端末も出るなど価格が一気に高額化、各販売店で複雑な割引プランを打ち出すようになった。

 公正取引委員会OBの鈴木満・桐蔭横浜大法科大学院教授(経済法)は「顧客を抱え込むために契約期間を長くしようとして、わかりにくい販売形態になってしまったのではないか。消費者に誤解を与える表現で商品選択を誤らせている場合、景品表示法に抵触する恐れもある」と話している。

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