アメリカ大統領選の結果をどう受け止めるかの論評が盛んだ。多くの識者は、第二次世界大戦後70年余続いたパクス・アメリカーナの終焉という見方である。圧倒的な経済力と軍事力を背景に世界のリーダーとして大きな影響力を行使してきたアメリカが、アメリカ第一、つまり世界秩序の責任まで負いたくないというトランプ氏を大統領に選んだ。私もその見方に基本的には同感だ。

 

問題はパクス・アメリカーナが終焉した後に、どういう世界秩序が構築されるかだ。そしてその中で日本はどういう姿勢で世界と向き合うかだ。日本は日米同盟の中で経済的に発展し、有数の経済大国になった。アジアの一角にある日本が安定した民主主義国として存続するためにはどういう方針を持つべきか。日本自身が深く考える時が来ている。

 

まず第一には日本国内の社会的分断を避けることだ。今回の大統領選ではアメリカ社会に充満していた不満が、現状を変えてくれそうだという一点でトランプ氏を選んだ。日本にも格差の拡大など不満が拡大している。こうした不満が拡がれば、日本社会もアメリカのような社会的分断や排外主義が高まりかねない。まず、社会的分断を是正する政策を、しっかり実行しなくてはならない。