ここ20年間、高齢者の増加に伴って、年金、医療、介護など高齢者にかかる社会保障の国庫負担は毎年1兆円づつ増大してきた。自民党政権ではその増加する国庫負担をすべて赤字国債の増額でまかなってきた。このままでは財政が破綻するので、いつかは消費税を引き上げなくてはならないことは誰の目にも明らかだった。しかし、自民党は与党の間、消費税を引き上げは選挙が怖くて言い出せなかった。


  「消費税,政と官との十年戦争」(新潮社)でも詳しく述べられているように、小泉総理は財政健全化のためには消費税引き上げが必要なことは十分わかっていた。しかしこの本の第一章「『俺は上げない』小泉純一郎の直感」で述べられているように自分の任期中は消費税は上げないといって、増大する高齢者の社会保障費はすべて赤字国債でまかなった。私は野党議員として予算委員会でこのままでは財政破たんになるのではないかと何度も小泉総理と議論したが、「消費税増税は構造改革の後、自分の後継総理が考えること」と逃げの答弁に終始していた。


  私が総理になった時に「自民党が先送りしてきた課題を実行する」と言ったのは、小泉総理の先送りを見ていたからだ。


  私が総理の時、社会保障と税の一体改革を成案化し、野田政権で法案を成立させた。そして上記の本にあるように、民主党は選挙で『死屍累々』となった。今でも民主党の仲間には申し訳なく思っている。しかし、自民党が、人気抜群だった小泉総理でさえ逃げた課題に民主党政権が取り組み法案成立までやり遂げたことは歴史に残る成果だ。