U-21欧州選手権ドイツ優勝の必然性と日本が掲げる非現実的なスローガン

2009-07-01 16:00:00 Theme: 代表ネタ
6月29日に行われたU-21欧州選手権決勝で、ドイツがイングランドを4-0で破り初優勝を飾りました。


近年ドイツは

06年 U17欧州選手権 ベスト4

07年 U17ワールドカップ 3位

08年 U19欧州選手権 優勝

09年 U17欧州選手権 優勝

とヨーロッパにおける年代別の大会で上位を独占しています。


U21ドイツ監督のルベッシュは

「ドイツには優秀な若手選手がたくさん揃っている。育成に力を注いできたドイツ・サッカー協会のおかげだ」
「ドイツ・サッカー協会、各地域のサッカー協会、クラブ、ブンデスリーガのすべてが力を合わせてきた結果である。これにより将来を嘱望される、若くて才能ある選手たちが生まれることになった」

優勝後このようなコメントを残しています。

この好成績の背景には、EURO2000で予選リーグ敗退という「失敗の視点」から導き出された若手育成の変革がもたらしたものであることが上記のコメントからも窺い知ることができます。

この若手育成改革の実態がサッカークリニック(5月号、7月号)の「ドイツサッカー協会の育成システムの変革」で明らかにされていました。

ここではドイツサッカー協会コーチライセンス研修責任者ベルント・シュテーバー氏が陣頭指揮を執った育成システム改革が記されています。


サッカークリニック(5月号、7月号)の記事を引用してドイツ育成改革を簡潔に要約すると


①失敗の要因

EURO2000予選リーグ敗退

・39歳のマテウス筆頭にレギュラークラスの平均年齢が30歳overだった。
・世代交代の遅れが最大の失敗の要因であった。
・80~90年代の若手育成に問題があった。


②導き出された課題

世代交代をしようにも若手の人材が不足している。

・若手育成改革に着手する必要がある。


③実施された改革

・各クラブへの若手のトレーニング・センター創設の義務化。
・11歳の選手から育成する「シュトゥッツプンクトレーニング」(日本でのトレセンに近い組織)の強化。
(現在年間1000万ユーロの予算がつぎ込まれている ※日本円に換算すると約12億円)
・若手育成に関する多くの委員会、研究グループの創設。


④もたらされた成果

・「シュトゥッツプンクトレーニング」、各クラブの若手のトレーニング・センターの環境整備。
・1つのクラブにが3~8人の若手育成専門のコーチが在籍。(80年代後半は若手育成専門のコーチを有するクラブは3、4チームであった)
・各年代別における大会成績は冒頭にあるとおり。


上記のような育成改革が成されています。


この改革の中核を担うベルント・シュテーバー氏によれば「若手育成は10年単位で評価されなければならない」との見解を示しています。

2000年に11歳だったドイツの選手たちは現在20歳。
ドイツのU-21欧州選手権ドイツ初優勝は、若手育成改革を根拠としてもたらされた必然のものであったのではと感じています。


前述のベルント・シュテーバー氏の「若手育成は10年単位で評価されなければならない」との定義を基に考えてみると


日本においては90年代前半、現在は京都監督の加藤久氏、日本サッカー協会の田島幸三氏らを中心に現在のトレセン制度の礎を築きました。
その成果としては99年ナイジェリアワールドユースで準優勝、00年シドニーオリンピックベスト8、02年日韓ワールドカップベスト16と、この結果はトレセン制度化の賜物と言っても過言ではないと考えられます。

日本サッカー協会 は10年ほど前から「世界を基準とした強化策の推進」を掲げており
世界と対等に戦うため、①代表強化、②ユース(若年層)育成、③指導者養成という3つの視点から「三位一体の強化策」に取り組んできています。
若手育成に関しては「長期的視野に立った選手の育成」というテーマを掲げています。


昨年サウジアラビアで行われたAFC U19選手権。
出場権を賭けた準々決勝で韓国に敗退し、7大会連続で出場していたワールドユース(U20ワールドカップ)の出場権を逃すという現実がそこにはありました。

サッカーを取り巻く環境の急激な進歩とともに「世界」に近づいたと感じた2000年代前半。
今やW杯、オリンピック、U20ワールドカップに出場することが当たり前となった風潮を思うと、「世界」に近づいたと錯覚し、現実との乖離に本気で目を向けることを知らず知らずのうちに避けていたのではないかと感じています。


ドイツではEURO2000での「失敗」を目の当たりにしたことで、誰もが改革の必要性を感じたといいます。


来年のW杯は日本にとって、この10年間の成果を検証する大事な大会。

そして日本にとって2010年は、あらゆる意味で改革の契機となる年になる可能性も秘めています。
仮に大きな改革がもたらされたとすると、その成果が現れるであろう10年後には日本が開催地へ立候補している2022年W杯が。

その時には現実的な根拠のあるスローガンがそこに掲げられているのでしょうか・・・


↓記事を読み終えたら、是非クリックお願いします!

にほんブログ村 サッカーブログへ

にほんブログ村
AD
いいね!した人  |  Comments(6)  |  リブログ(0)

myfootballlifeさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Comments

[Publish Your Comment]

6 ■No Title

>日本の現実的な目標は決勝トーナメント進出さん
コメントありがとうございます。

現場では日々試行錯誤しながら育成に努めていますが、確固たる日本流の育成法の確立を目指していきたいものですね。

5 ■No Title

Mマニアさん 子供たちの運動能力の低下、精神的成長の遅れは技術の向上を上回るスピードで進んでいると感じられるから>>
その通りだと思います。

サッカーに限らず、本格的にスポーツ競技を始める前に、今の子どもたちの多くは外で遊び回ったりするなどして、様々な運動体験をすることが無くなっています(高校年代などでは二極化が進んでいる。運動部などに入っている子どもは運動をしているが、入っていない子は体育の時間の他は運動していない)。


つまり、昔の選手育成では最初からでも専門的なトレーニングで良かったのですが、
今は、そういった基礎体力作り、基礎的な運動から始める必要があります。


ただ、これは日本に限ったことではなく、欧州や南米でさえも、同様です(ストリートサッカーが出来る空き地が無くなり、ストリートサッカー出身の選手が少なくなっている)。といっても、日本よりは深刻ではないようですが


管理人さんが独の育成改革の例を取り上げてらっしゃいますが、
独ではストリートサッカーが無くなり、創造的な選手が生まれにくくなったとの反省から、
独ではコーチは教えすぎず、選手たちにサッカー環境を与える(例えばコーンを4すみにおいてミニサッカー。但し、ルールも広さなども選手に任せ、指導者はただ見守る)ようになったのことです(湯浅氏)。

当然、独ではコーチから抵抗があったそうですが、
今の状況を見る限り上手くいっているようですね。


だから、
Mマニアさん。

現状を嘆き、将来を悲観するよりも、
各国の育成などを参考にし、
だからどうするかを考えて行動していきましょう。

4 ■No Title

>ゆうさん
コメントありがとうございます。
サカダイ購入されたんですね!

サッカークリニックはサッカー批評とともにコアなサッカー雑誌として重宝しています。
「選手と指導者のための技術・戦術専門誌」とのサブタイトルがついているように、主に現場での視点で書かれているものと考えていただければと思います。
ゆうさんのように様々な切口から記事を書かれる方にとっては参考に出来る部分もあるかと思います!

また今話題?!の村松氏の「戦術的ピリオダイゼーション理論」の連載や海外での指導経験のある日本人指導者の連載などがあったりします。

まずは立ち読みから如何でしょう!

3 ■No Title

>Mマニアさん
コメントありがとうございます。

確かに子供たちの体力低下は気になりますね。
校庭開放でも都心部では閑散としていますし、数十年前と比較すると明らかに子供達が駆け回る姿を見る機会は減っているかもしれません。

少子化の影響もあるのでしょうか。

精神面に於いても指導者が子供達に過保護になりすぎている側面も否めないように感じます。

仰るように日本社会全体が抱える問題として考えるべきかもしれないですね。

2 ■サッカークリニック

お奨め頂いた「サッカーマガジン」と一緒に買おうかどうか迷ったままにしてしまいました。
購読についてアドバイスください~♪

1 ■日本は

更に厳しい状況になると思います


制度の善し悪しよりも


子供たちの運動能力の低下、精神的成長の遅れは技術の向上を上回るスピードで進んでいると感じられるからです


それに歯止めを掛けるには、自然の中で自由に遊ばせることだと思うのですが

子供たちを取り巻く環境は、悪化を続けていると思わざるを得ません


以上のことから、私はサッカー界の問題というより、日本社会全体で解決しなければならない問題が大きいと思いますが、いかがでしょう?

Add your comment

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。