ドローン普及、活用の受け皿に 滋賀ドローン産業育成協会が啓発活動 | 近江毎夕新聞

ドローン普及、活用の受け皿に 滋賀ドローン産業育成協会が啓発活動

 自律飛行や遠隔操縦が可能な小型の無人航空機「ドローン」の普及、活用を目指して今年五月、「滋賀ドローン産業育成協会(略称=SDA)」が長浜市を本拠に設立され、自治会主催の防災訓練などでドローンの有用性をPRしている。
 同協会は、ネット販売や販売サイト、ウェブサイトの制作・運営で実績のある(株)プロクルー(松本茂之代表取締役、本社=長浜市口分田町)のロボティクス事業部が有志に呼びかけ設立したもので、ドローンの活用・安全運用の啓発や、安全管理者の育成、操縦技術講習の開催、操縦訓練センター運営などに取り組むため、近く一般社団法人化する方針。同社は米国のドローン製造会社、3Dロボティクス社の国内総代理店、芝本産業(株)の代理店で、ドローンの販売やレンタル事業にも参入している。
 ドローンは国内で農薬散布用にヤマハ発動機が開発したラジコンヘリや趣味性の強いラジコン飛行機とイメージが重なるが、民生用として開発が進む多回転翼ヘリコプター型のドローンは、これまでのラジコン機とは異なり、ジャイロセンサーや加速度センサー、気圧センサー、GPSなどの情報を統御するコンピュータシステム「フライト・コントローラー」が、機体の姿勢を監視し、無線信号で複数あるモーターの回転を調整し機体の傾きや進行方向を制御しているのが特色。特殊なジンバルにデジタルカメラをセットすると、ぶれのない空撮動画が撮れるなど、デジタル関連技術の集大成的な機器という。
 協会によると、災害時の情報収集や、山や海の遭難者の捜索・救助のほか、巡視・点検、警備・監視、農薬散布、測量・観測、輸送・物流など用途は多岐に及び、国際的な技術競争で、航続距離、飛行の安定性、耐久性など性能が急速にアップしている。小型高性能の電動モーターなどの電源となる蓄電池の容量と重量、強風など悪天候時の飛行性能などに課題を残しているが、低コスト機でも次第に克服され、実用性能を備えた機種が十数万円台から販売されているという。
 国はドローンの落下事故多発を受けて、昨年航空法を改正し、高度百五十㍍以上の航行や、人口集中地区、空港やその周辺での航行などでは事前申請と国交大臣の許可が必要とした一方、ドローンの開発、普及は経産省の「ロボット新戦略」の最優位課題の一つとされ、国内でドローンに特化した産業分野が形成されつつあるのも特色。
 滋賀県では県や湖南市などが大規模災害時の被災状況確認などを目的にドローンを購入。甲賀署も甲賀地区警察官友の会からドローンの寄贈を受けて活用を検討している。長浜市や湖北地域消防本部に導入の予定はないものの、市の防災危機管理課では、災害時にドローンを活用する目的で同協会と連携協定を結ぶ意向でいる。
〔写真〕長浜市内自治会が取り組んだ防災訓練で披露されたドローン

空撮映像をライブ
 長浜市の紺屋、八幡、永保、箕浦、大安寺の各自治会合同の防災訓練が九日、市内朝日町の生鮮食料品店「二葉屋」駐車場であり、地域住民二百人余りが起振車による地震体験やAED(自動体外式除細動器)の使用法を長浜消防署員から学んだ。
 また、滋賀ドローン産業育成協会と、ネット通販の(株)プロクルーが小型のドローン二機の操縦を披露。ドローンにセットされたカメラが撮影した町並みの俯瞰映像が会場のTVモニターに直接、映し出されると、会場から歓声が起きていた。
 同協会では十五日ときょう十六日に長浜の豊公園スタート、おごと温泉観光公園ゴールで行われる「びわ湖チャリティー一〇〇㌔歩行大会」をドローンで撮影記録するほか、十九日から二十一日まで長浜市田村町の長浜バイオ大学ドームで催される「びわ湖環境ビジネスメッセ」にも出展し、ドローンの最新の性能や活用法をPRする。