くんたま「すずらんらん」 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

血管を除き 開いて掃除  大きい

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最初に白ワインで茹でて生臭みを抜く
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一昼夜スモークして完成

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またまた怪しげな名だが、野人特製、スズキの卵巣の燻製のことだ。

あまりにも旨くて、ランラン気分でステップを踏むからこの名が付いた。

魚の卵巣加工製品は数多い。

価格の頂点にあるカラスミはボラの卵巣の塩漬け、メンタイコはタラ、カズノコはニシンだ。

考えて見ると良い、親のボラとタラとニシンとスズキではどれが一番旨そうか・・・

タイの卵の煮物は惣菜として売られているが大量に入るのは養殖ダイしかない。

天然のスズキの卵巣が大量に手に入るのは、スズキを生ハムとして年間500キロ近く使う野人の会社しかないだろう。

卵巣はその副産物なのだが処理に手間がかかる。

産卵が始まって水っぽいものは使えず、開いて掃除するにも時間がかかる。

3キロ級のスズキの卵巣は巨大ゆえに開かないと味が乗りにくい。

カラスミのルーツは地中海で、本来は魚の卵巣の塩漬け、マグロやスズキが使われていた。

日本三大珍味と言われているが、元は日本酒ではなくワインの肴だったのだ。

フランスではブタルグ、イタリアはボッタルグと呼ばれ毎年お祭りと即売会が催される。

シルクロードから中国経由で日本に伝わったが、その形が唐のすずりに似ていたことから唐の墨、つまりカラスミと呼ばれるようになった。

日本では何故カラスミがボラに限定されたのか。

それは、ボラは日本の漁業発祥の由緒ある魚で、大きさも手頃、毎年のように大量に接岸する魚だったからだ。

伊豆では真鶴のボラ漁が始まりで、伊勢湾もボラ漁で栄えた。

神事にはボラを祭る神社も志摩にはあり、ボラの大群を探す「ボラ見櫓」も残っている。

しかし今では根拠もない常識からボラは忌み嫌われ、漁業も共に廃れてしまった。

ボラの「お家再興」は野人の使命の一つだが、それはまた次の機会に。

以前、スズキの卵巣でカラスミを作ったが今一つでボラには勝てない。

そこで、この掃除したスズキの卵巣にべた塩をして水分と共に生臭みを抜き、さらに白ワインで蒸して火を通して臭みを抜き、新しい白ワインベースのタレに一昼夜浸して表面を乾かしてからさらに一昼夜スモークしてやっと完成。

仕上がりは上々、一口食べて・・ステップを踏みながら・・

ピッチピッチ チャップチャップ・・ランランラン~!

お正月は、あまり味のないカズノコよりも・・「すずらんらん」!!

らんらんご飯も旨いが、そぼろみたいにほぐして野菜と和えて「すも~くランランサラダ」、「らんらんパスタ」にしても旨い。

しかも副産物だから、カラスミやタラコに比べたらはるかに安い。


左スモークフィッシュサラダ 右スズキ生ハム
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    真ん中 らんらん・・・