5月の末、姫宮さんから以下のような
メッセージをいただきました。
その後、いかがお過ごしでしょうか?

ムツさんからの返信が届きましたので
数回に分けてお届けいたします。

また、姫宮さんの他にも
自分の「犬が噛む」ことについて多数の方から
ご質問を届いております。
ムツさんの返信を、たくさんの方に
読んでいただいてご一緒にお考え
いただければ、と思います。

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初めまして。【姫宮】です。

私が今飼っているオスの子犬の事でご相談がありメッセージを送らせていただきました。

今4カ月過ぎの大型犬の子供(外飼い)ですが、歯も生えかわりもありますが、以前から
噛む事がとても多く、数か月前に知人に相談したら噛んできたら拳を口に突っ込む、
噛んできたらマズルを掴み振る、噛んできたら思いっきりおしりを叩く等教えてもらい実践していましたが
それらを始めてから唸ったりじゃれてるのか怒っているのか手を見ると思いっきり噛んできます。
噛んだまま手を引っ張ったり振り回したりで、とても痛いです。まるでテレビで見た様な
警察犬が訓練しているかのようです。とてもじゃれているとは思えないのでこれらの方法での
対処は今は止め噛んできたら【痛い】と言いその場を離れ無視しています。

ですが、今迄のが悪かったのか【お座り】等の躾の際に撫でて褒めようとすると逃げたり頭をずらし手を避けます。
ハンドシャイになってしまったのでしょうか?ワンコがその様な行動になってから信頼関係もなくなり
(私の家に来てすぐ始めたので元から信頼関係すら出来てなかったのかもしれません)
どーしていいのかわからなくなり私自身少し育児ノイローゼの様な感じです。

もし手を怖がっての行動として噛むのであれば
これからはワンコとどのように接していったらいいのでしょうか?

それともう1つご質問なのですが、
ワンコが近寄って来て私におしりを向けるので
しっぽの付け根あたりや背中を撫でるのですが
やはり撫でている手を噛みます。
ワンコのこの行動の意味は何なのですか?
以前飼っていたワンコ(メス)は全く噛まなかったのでその事に関しては
何もしていなかったので今回のご相談の様な事もなかったのですが
以前のワンコはおしりを向けてきた時に同じ様に触ると喜んでいたのですが。

お忙しいとは思いますがもし良かったら
何かアドバイス頂けたらと思いこの様なメッセージを送らせていただきました。

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◆ムツさんからの返信◆

こんばんは。姫宮さん。

日本どころか、世界中で、動物に関するいろいろな
相談をうけます。
その中で、犬が人を噛むという相談が
いかに多いことか。

自分の見聞や経験ともとに、
噛むという行動を三つに大別しています。
これは、半世紀以上前、脳の中に電極をさしこみ
調べられたことを基礎にしています。

前にも述べましたが、(5/22 ♯26をご参照ください。)

1.SDA self deffence aggression
       (自己防衛のための攻撃)

2.SA  Social aggression
       (社会的攻撃)

3.PA  predator aggressiom
       (捕食攻撃  餌をとるための攻撃)

の三つです。

♯26のKさんのくうたろうの場合は、
SDの中に含まれると思います。
「嫌だ」がガブリに直結したわけです。

普通はこうはなりません。

兄弟で育つ場合、嫌なことをされると
された方が、ヒイッっと小さくなきます。
それが信号になっていて、嫌なことをした方が、
ハッとなって行為をやめるのです。

それを何度も繰り返すことで、
体の各部の使い方、大げさに言うなら
社会生活のやり方を学習していくのです。

たまに育児数が少なかったり、
親のしつけが不充分だったり、
早くに離乳し、一匹だけケージで飼われたりすると
抑制の学習をする間がなく、
わがままになってしまいます。

犬が棒をくわえる、猫が木に登る、などを記載し
ナワバリや群れの状態を調べていくのは行動学ですが、
生理学の方で行動を考えるとき、
その行動を可能にしている内なるものに
目をつけてしまいます。

たとえばコップをテーブルの上に置きますね。
コップをにぎりつぶしていません。
ドーンと置いて割りもしません。
勢いよく置き、中の水がこぼれもしません。

何気ない普通の動作ですが、コントロールされ
その生き物の生活の中で、安定して役立っています。
つまり抑制がきいているのです。

噛むという行動の中にもさまざまなバリエーションがあります。

骨を噛み割る。
肉を噛み裂く。
その場合、場合によって噛み方を
変えねばなりません。
でも、“さて、これはどう噛むか”などと考えてから
行動に移るわけではありません。
何度も何度も噛んでいるうちに、
手近にあるマイクロコンピューターにあたる部分で
自動的にうまく噛めるようになるのです。
その回路(シナプス)をつくるために、
トレーニングが必要になってきます。

続きはまた明日。♯32でお話するとしましょう。

 BY ムツさん 畑正憲
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