そろそろリクエスト消化しろよってことでシヴァとサティーの話。
サティといえばイオンが思い浮かびますね。どうでもいいけど。
ちなみにうちではこの時、シヴァもまだルドラと名乗ってる時期です。

初恋、そして二度目の恋

昔々、ダクシャという偉い聖仙がおりました。
このダクシャには16人の子供がおり、その末娘はサティーという名前でした。
サティーは破壊神・ルドラを愛していましたが、ダクシャはルドラを忌み嫌っておりました。
何故ならルドラはダクシャに祭儀に招かれた際、彼に挨拶をしなかったからです。
そのためにダクシャはサティーの婿選びの場にルドラだけを呼びませんでした。
サティーは婿にするためにルドラを探し回りますが、彼はどこにもいません。
そこでサティーは、空高く花環を投げて「これを受け取ってくださいまし!」とルドラに呼びかけました。
そうするとルドラが突然広間の真ん中に現れ、しかもその首には花環が下がっているではありませんか。
これではダクシャもルドラが花婿だと認めざるを得ませんでした。
こうしてルドラとサティーは晴れて夫婦となったのです。

あるとき、ダクシャは神々を招き祭祀を執り行いました。
しかしルドラのことは呼びませんでした。彼はまだルドラを認めたわけではなかったのです。
サティーは父の行動に憤慨し、彼の家を訪れるとこう言いました。
「ルドラ様は万物の味方ですわ、あなた以外に悪く言う人はおりません!
私はあなたのような方から生まれたことを恥ずかしく思いますわ。
だから今、私はこの身を棄てましょう!」
こう言ってサティーは、炎に抱かれ、ダクシャの足元で死んでしまいました。

この報せを聞いたルドラは我を忘れて飛び出して行きました。
そしてダクシャの供犠祭の場に嵐のごとく現れると、
インドラを踏みつけ、ヤマの杖をへし折り、ダクシャの首をとりました。
こうしてダクシャの祭儀をめちゃくちゃにした彼ですが、
それでもまだ正気に戻らず、サティーの遺体を抱いたまま各地を放浪しては都市を破壊しました。
見かねたヴィシュヌが円盤を投げつけて、サティーの遺体をバラバラにすると、
ルドラはやっとのことで正気を取り戻しました。
しかしこれ以降、彼は心を閉ざし、深い深い夢想に沈んでしまいました。

さて、サティーはヒマラヤの娘すなわちパールヴァティーとなってこの世に転生しておりました。
彼女は幼い頃からルドラに心を傾け、彼のために花や果物を供えたりしていました。
そんな彼女の心を知ってか知らずか、ある神が「彼女はいつかルドラの妃になるだろう」と予言しました。
彼女の父はたいそう喜び、ルドラの気をひこうとパールヴァティーを彼の召使いにしました。
しかしそれでもルドラの心は闇の中、瞑想を止めず、パールヴァティーのことを見ようともしません。
パールヴァティーは悲しくなって、自分の美しさなど何の役にも立たないのだ、と思いました。
そこで彼女は美しい衣も玉飾りも捨てて、隠僧になって山奥にこもりました。
そして一心にルドラに祈り、また彼が好むような苦行をし続けました。
そんなある日のこと、バラモンの青年が彼女を訪ねてきました。そして尋ねます。
「貴女はどうしてそのような厳しい修行を行っているのですか?」
パールヴァーティーは身の上話を話し、ルドラの愛を勝ち得るためにはこうするしかないと語りました。
それを聞くと青年はルドラの悪口を言って、ルドラに思いを寄せることを止めさせようとしました。
「ルドラなど!毒蛇を身につけるような男ですよ!それに火葬場に住んでいるし、
貧乏で、素性が知れません。あんな男はやめておきなさい。あなたにはふさわしくない」
「まあ、なんてひどいことを言いますの!でもそんなことを言っても、私の気持ちは変わりませわ。
私は心からルドラ様を愛しているんですもの!」
パールヴァティーがそう言った途端、青年はルドラに姿を変えました。
「ありがとう、パールヴァティー。そう言ってくれるのは持っていた。
俺はお前を愛している。だからそう、俺と結婚してくれないか?」
「まあ、ルドラ様…!!もちろんですわ!私もその言葉を待っておりましたの!」
そこで彼女は早速父にこの事を伝え、結婚の準備を行いました。

ついに迎えた婚礼の日。
ルドラはブラフマーとヴィシュヌに伴われ、会場にやって来ました。
それもいつものように乞食のような姿ではありません。
髪は美しい宝玉の飾りで一つにまとめ、紫の長衣を着こなし、首にはたくさんの首飾りがかけられています。
もちろん花嫁のパールヴァティーも負けてはいません。
金色のサリーを身に纏い、顔にはこれまた金のヴェールが掛けられ、様々な色の腕輪をしているのです。
それを見て「こんな美しい夫婦は見たことがない」と神々は口々に褒め称えました。
ふたりは誓いのキスをして、末永く幸せに暮らしましたとさ。
                                
                                おしまい


婚礼の日以外オリジナリティが全く無いよ!?
これじゃインド神話本と大して変わらないじゃないですかー、ヤダー!
毎度のことですが、こんなんですみません、沙羅茉さんー!!

あ、ちなみにターラカ関連の話は抜いております。
シヴァとサティーの話にはあんまり必要ないんじゃないか、と考えたので。
カーマごめんな!これも話をスッキリまとめるためなんだ!


参考文献

世界神話伝説大系〈14〉インドの神話伝説 (1979年)/名著普及会

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