【天皇賞・秋】最強牝馬ワンツー ウオッカに軍配
2日、東京競馬場で「第138回天皇賞・秋」(GI、芝2000メートル、17頭)が行われ、昨年、64年ぶりに牝馬として日本ダービーを制した1番人気のウオッカが、天才・武豊騎手に導かれ、ダイワスカーレット、ディープスカイとの叩き合いを制した。タイムは1分57秒2でレコード決着となった。
安田記念V後、4カ月ぶりとなった前走の毎日王冠(GII)では、果敢な逃げを打ち、場内を沸かせた。ゴール前でスーパーホーネットの強襲に遭い2着に惜敗したが、角居調教師は「天皇賞に向け、いいレースをしてくれた」と悲観していなかった。
今回は、7番手でライバル・ダイワスカーレットを見る形でレースを進め、直線に入り残り300メートルからディープスカイとともにダイワスカーレットに並びかける。ゴール前は壮絶な叩き合いとなり、ほぼ同時にゴールイン。長い写真判定の結果、ハナ差でウオッカが制した。
ダイワスカーレットにはこれまで1勝3敗と分が悪かったが、得意の府中(5戦2勝、2着2回)で見事に雪辱を果たした。
ウオッカは、父タニノギムレット、母タニノシスター、母の父ルション、牝4歳。栗東・角居厩舎所属で、通算戦績は17戦7勝(JRA16戦7勝、海外1戦0勝)。GIは阪神ジュべナイルフィリーズ、日本ダービー、安田記念に続き4勝目。
武豊騎手は昨年のメイショウサムソンに続き秋の天皇賞連覇を達成。天皇賞は11勝目(春6勝、秋5勝)で保田隆芳の10勝を上回り、単独最多勝利となった。
(2008/11/2 サンケイスポーツ)
ウオッカが激戦制し歴史的V/天皇賞・秋
豪華メンバーが激突した「第138回天皇賞・秋」は2日、東京競馬場の芝2000メートルで行われ、1番人気のウオッカ(牝4、角居勝彦厩舎)が優勝した。勝ち時計1分57秒2は、2003年にシンボリクリスエスが記録した1分58秒0を0秒8縮めるレコード。
ウオッカはG1・4勝目。牝馬の天皇賞制覇は春秋合わせて史上14頭目。武豊騎手はこのレースの秋は5勝目、通算では単独最多の11勝目、角居勝彦調教師は初勝利。2着は2番人気のダイワスカーレット、3着には3番人気のディープスカイが入った。
17頭すべて重賞ウィナーという豪華メンバーが激突したレースは、ダイワスカーレットが前半1000メートル58秒7のハイラップで逃げる展開。ウオッカは中団から追走し、4コーナー過ぎからためていた脚を一気に爆発させ、前をいく宿敵スカーレットとの差を徐々に詰めた。ゴール前で二の脚を使ってきたライバルと壮絶な競り合いを演じ、ほぼ同時にフィニッシュ。騒然とする中、長い長い写真判定の末にウオッカがハナ差勝利した。
(2008/11/2 スポーツニッポン)
ウオッカ、ハナ差でスカーレットかわしレコード優勝…天皇賞
第138回天皇賞・G1(芝2000メートル、良)が2日、東京競馬場で行われた。3歳以上の17頭が出走。1番人気のウオッカ(武豊)が、逃げたダイワスカーレットにゴール前で強襲。長い写真判定の末、鼻差でG1・4勝目を手に入れた。勝ちタイム1分57秒2は、従来の記録を0秒8上回るコースレコードだった。3着は、今年のダービー馬ディープスカイ。
武豊騎手「長い写真判定の間は生きた心地がしなかった。4コーナーでは抜群の手応えだったので、直線は伸び伸び走らせることに専念した。こんな素晴らしいレースに勝てて心底うれしい」
◆ウオッカ 4歳牝馬、父タニノギムレット、母タニノシスター。北海道新ひだか町のカントリー牧場生産、馬主は谷水雄三氏。戦績は17戦7勝(うち海外1戦0勝)、重賞は昨年のダービー、今年の安田記念など5勝目。獲得賞金は7億5803万6000円(うち海外2801万円)。
(2008/11/2 スポーツ報知)
「歴史的名馬」と武豊が絶賛 天皇賞制したウオッカ
ゴール前の最後の直線。武騎手が渾身(こんしん)の力でムチを振い、ウオッカが懸命に持ち味の豪脚を伸ばした。わずかに先行するダイワスカーレットをとらえ切れたか。結果は微妙。角居勝彦調教師も「負けた」と思ったほど。
1分57秒2の優勝タイムがレースレコードとなった激戦で、わずか0秒1差に5頭がひしめく大混戦。写真判定で着順が判明するまでに約15分を要した。1、2着の差はたった2センチ。「祈る気持ちで待ったので、しびれた」と武の表情が緩んだ。これで天皇賞は春・秋合わせて11勝目で歴代単独1位と、記録男がまたも勲章を手にした。
数々の記録を塗り替えてきた武も今年で39歳。今年も勝ち星で首位を走るが、先週まで重賞は2勝止まり。「衰えた」とささやかれもした。だが、折り合いに難を抱えるウオッカをリズムよく走らせ、「(ゴールまで)あと数十メートルできつそうだった」極限状態を持ちこたえさせて、70年ぶりに牝馬のダービー馬を盾制覇に導いた。
GI4勝目としたウオッカの次走は11月30日のジャパンカップ(GI)が有力。「間違いなく、歴史的な牝馬。いや名馬」と武が絶賛する“女傑”が、世界の強豪馬を迎え撃つ。
(2008/11/2 産経新聞)
【天皇賞・秋】逆転2センチ!ウオッカ制す
第138回天皇賞・秋(2日、東京11R、GI、3歳上オープン国際、定量、芝2000メートル、1着本賞金1億3200万円=出走17頭)新旧ダービー馬とダイワスカーレットの3強が激突した第138回天皇賞は、1番人気のウオッカがダイワスカーレットをハナ差(2センチ)退けてGI4勝目(牡馬混合GIは史上初の3勝目)を挙げた。1分57秒2はコースレコード。牝馬の優勝は05年ヘヴンリーロマンス以来3年ぶり(牝馬のワンツーは58年以来50年ぶり)。武豊騎手は秋の天皇賞5勝目(春秋11勝目)となった。
どちらが勝ったのか分からない! ウオッカ、ダイワスカーレットの歴史的名牝が鼻づらを並べてゴール。2頭の鞍上はともにウイニングランを行わず、ダートコースを通って引き上げてきた。
検量室では誰もが固唾を呑んで写真判定を見守る。引き上げてくる際、アンカツがユタカに「負けたよ」とひと言。それを聞いたJRA3000勝ジョッキーでさえ、「いや、わからないですよ」と即答を避けるほど際どい勝負だった。レース終了から約13分。『7、14』と書かれていた検量室のホワイドボードが消されて『14、7』と書き直された瞬間、ウオッカ陣営が歓喜に沸いた。
レースは安藤勝己のダイワスカーレットが逃げる展開。ウオッカはそれをマークする形で中団でじっくり脚をためた。直線では内のディープスカイと並んで差し脚を繰り出す。最内で逃げ込みを図るダイワスカーレットとの差は一完歩ずつ詰まっていった。「ペースは速かったがリズム優先で直線に向くまで馬なり。いったんは(内のダイワを)かわしたけど、相手も強いから差し返してきた。最後は祈るような気持ち。本当によく走ってくれた」。3回の騎乗でまだ勝っていないことで、目に見えないプレッシャーを感じていたユタカ。この秋はメイショウサムソンで凱旋門賞へ挑戦したものの10着と惨敗。今年は重賞勝ちが2つ(GIは1勝)と振るわなかっただけに、この勝利の喜びはひとしおだ。「大きいレースでなかなか結果が出せなかったが、今回はウオッカに助けてもらった。歴史的牝馬であり名馬。ホント感謝しています」と、天才は安堵の表情を見せた。
国内最強馬に君臨したウオッカの次走はジャパンC(11月30日、東京、GI、芝2400メートル)。しかし、天皇賞を回避したメイショウサムソンもジャパンC参戦を表明している。「この後はJCに向かいますが、ジョッキーを含めてもう1度オーナーと相談します」と、角居調教師は鞍上に関しての明言は避けた。
歴史的な名勝負を制して、7億円牝馬となったウオッカ。現役最強から世界最強へ。もう一度、府中の直線で酔わせて魅せる。
(2008/11/3 サンケイスポーツ)
武しびれた!!ウオッカに乾杯!!/天皇賞・秋
わずか2センチ差、史上に残る名勝負をウオッカが制した。頂上決戦「第138回天皇賞・秋」が東京競馬場で行われ、1番人気のウオッカがダイワスカーレットとの競り合いを鼻差、長い写真判定の末わずか2センチ差で退け、G1・4勝目を手にした。勝ちタイムの1分57秒2はレコード。歴史的牝馬2頭の手に汗握る叩き合いに、12万観衆からは惜しみない拍手が送られた。
牝馬2頭のシ烈な追い比べ。12万人をのみ込んだ東京競馬場が揺れた。内で粘るダイワスカーレット。外から迫るウオッカ。内外に離れた叩き合い。残り50メートル、ウオッカの勢いが一瞬鈍った。武豊こん身の右ムチ1発。瞬時に持ち替えて左ムチ3発。息を吹き返すウオッカ。懸命に四肢を投げ出し並んでのゴール。どっちだ!?「勝った気がする」。長年鍛えた勝負師の勘。武は勝利を信じた。
ウイニングランはせずに引き揚げた。脱鞍所に戻った時、武は殴られたような衝撃に襲われた。1着の枠場にスカーレットがいた。着順を示すホワイトボードの数字も「7、14」とウオッカ劣勢を示している。首をひねりながら2着の枠場に入り脱鞍。検量室内でも何度も首をひねった。13分間に及ぶ長い写真判定。3時56分、あらためて1着欄に書かれた数字は「14」。武が拳を握る。角居師とがっちり握手。決勝審判が見届けたボードの順位がひっくり返ることなど過去になかった。世紀の大逆転だ。
「待っている間は生きた心地がしなかった。祈る思いでしびれた。同着でいいとすら思った」。武は安どの表情を浮かべた。外枠14番スタート。逃げた前走とは一転、中団待機。「ポジションを落ち着かせるのが難しかったが向正面で折り合いがついた。4角では抜群の手応え。長い直線、他馬を気にせず、伸び伸びと走れと祈った」。その思いにウオッカも応えた。
「歴史的な名牝、いや牝馬というより名馬。エアグルーヴ(97年天皇賞)同様、牝馬の枠を超えている。僕も今年は結果を出せず苦しかった。ウオッカに助けてもらった」。フェブラリーS(ヴァーミリアン)を勝ったが、その後は大レースで勝てなかった。JRA重賞は意外にも今年3勝目。盾11勝目、5度目の秋Vは元祖天才にとっても意味のある、重い1勝だった。
「ここで負けたら、もうスカーレットに勝つことはないと感じていた。写真判定の間は負けを覚悟していた。勝っていると分かって“信じられない。それでいいのか”と」。角居師は独特の言い回しで驚きを表現した。「スカーレットと(師匠である)松田国師を超えた!?半歩だけ近づいたというところ」。次走はジャパンC(30日、東京)。10年に一度の名勝負を制したウオッカ。海外の強豪を迎えた一戦で伝説へと駆け上がる。
▼ウオッカ 父タニノギムレット 母タニノシスター(母の父ルション)牝4歳 栗東・角居勝彦厩舎所属 馬主・谷水雄三氏 生産者・北海道新ひだか町カントリー牧場 戦績17戦7勝(うち海外1戦0勝)総獲得賞金7億5803万6000円。主な勝ち鞍は06年阪神JF、07年チューリップ賞、ダービー、08年安田記念、天皇賞・秋。
(2008/11/3 スポーツニッポン)
ウオッカ2センチ差V!スカーレットと史上2位激戦…天皇賞・秋
◆第138回天皇賞(秋)・G1(2日、東京競馬場、芝2000メートル、良) ウオッカとダイワスカーレット。4歳牝馬2騎が、歴史に残る大接戦を演じた。その差、わずか2センチ。最後に外から伸びた武豊のウオッカが栄冠を手にした。牝馬による天皇賞・秋制覇は、史上13頭目。ダービーを勝った牝馬の優勝は、70年ぶり2頭目となる。東京・芝2000メートルの勝ちタイムは1分57秒2。シンボリクリスエスの持つコースレコードを、0秒8も更新する快走だった。今年のダービー馬ディープスカイは、わずかに及ばず3着だった。
しびれるような時間が、長く続いた。まだか、まだか―。祈るような思いが、13分後に実を結んだ。1着欄に刻まれたのは、ゼッケン「14」。着差わずか2センチ、歴史に残る激闘を制していたのは、ウオッカだった。
「しびれました。写真判定の間は、同着でもいいと思った」武豊が声を震わせた。ダイワスカーレット、ディープスカイとの火の出るような叩き合い。「あと数10メートルできつそうになったが、踏ん張ってくれた」“3強”による1分57秒2のレコード決着。執念と意地でしのぎ切った。
体調は万全。精神面も充実していた。どうしても、負けられなかった。「ゆっくりと走ってくれて、今までで一番いい返し馬ができた」絶好の気配を確かめると、同じ角居厩舎のトーセンキャプテンがダイワスカーレットを追いかける“援護射撃”を受け、速い流れに乗った。「直線を向くまでは、リズムを崩したくなかった」じっくりと中団で構えると、満を持してGOサインを送った。
自身にとっても、落とせない一戦だった。3月のファルコンS以来、重賞で34連敗。第一人者の宿命とはいえ、勝てないこと自体がニュースだった。「大きいレースで勝てなくて、正直苦しかった。今日はウオッカに助けてもらいました」通算62勝目のG1は、今までとは違う重みがあった。
数々の記録を打ち立ててきた武に、64年ぶりの牝馬ダービー制覇を果たしたウオッカ。いつまでも語り継がれるであろう名勝負の勝者として名を刻むのは、この人馬しかなかったのかもしれない。「歴史的な牝馬、というか名馬ですね。今日のレースは忘れられない」名手のかすれた声が、死闘の重みを静かに伝えた。
[優勝馬メモ]
◆性齢 牝4歳の鹿毛。
◆血統 父タニノギムレット、母タニノシスター(父ルション)。
◆戦績・17戦7勝(海外1戦0勝含む) 06年阪神JF、07年ダービー、08年安田記念に続き、GI4勝目。牡馬混合のGIを3勝した牝馬は、ほかにいない。
◆総収得賞金 優勝賞金1億3200万円を加え、7億3002万6000円(ほかに海外で2801万円)。歴代牝馬では、エアグルーヴ、スイープトウショウ、メジロドーベルに続く記録。
◆牝馬V 05年のヘヴンリーロマンス以来、13頭目。ダービーを勝った牝馬のVは、1938年のヒサトモ以来70年ぶり。牝馬のワンツーは、同年のヒサトモ―フエアモア、58年のセルローズ―ミスオンワードに続き3度目。
◆接戦 2頭の差は、わずか2センチ。過去のGIで最も小差の決着は、96年スプリンターズS(1着フラワーパーク、2着エイシンワシントン)の約1センチ。
◆武豊騎手(39) 昨年のメイショウサムソンに続いての勝利。春秋合わせ、天皇賞11勝目。
◆角居勝彦調教師(44) G1で11勝目。
◆生産者 北海道新ひだか町のカントリー牧場。
◆馬主 谷水雄三氏。
◆谷水オーナー「世紀の名勝負」 ○…激戦の末の勝利に、谷水雄三オーナーの喜びもひとしおだ。「一瞬勝ったと思ったけど、ビデオを見ているうちに分からなくなった。疲れましたね。口取りをしたら、ウオッカよりこっちの息が上がっていた」と声を弾ませた。名牝2頭の叩き合いでの勝利。「しかし、ダイワは強いね。あそこから、また伸びるんだから。とにかく世紀の名勝負でした」と相手をたたえることも忘れなかった。
(2008/11/3 スポーツ報知)
【天皇賞(秋)】ウオッカ レコードV!
「天皇賞(秋)・G1」(2日、東京)
3強が死力を尽くした。直線は横一線の壮絶な叩き合い。ディープスカイと馬体を合わせ外から伸びたウオッカが、逃げたダイワスカーレットとの長い長い写真判定の結果、わずか2センチ差で第138代天皇賞馬に輝いた。勝ち時計の1分57秒2はレコード。昨年のダービー、今年の安田記念に次ぐ牝馬の牡馬混合G1・3勝は史上初。鞍上の武豊は天皇賞単独トップの11勝目(春6勝、秋5勝)。ディープスカイは2着から首差の3着だった。
写真判定15分 約15分間にも及んだ、長い長い写真判定。ウオッカか、ダイワスカーレットか-。関係者が息をのんで見守るなか、決着はついた。
検量室内のホワイトボードの1着欄に馬番14が記された瞬間、ウオッカの勝負服を着たまま待機していた武豊が「ヨシッ!」と、両手のこぶしを握りしめガッツポーズ。百戦錬磨の名手も興奮を抑え切れなかった。「うれしいです。生きた心地がしなかった」。表彰式の前にはファンとともに万歳三唱。何度もスタンドの大観衆に手を振った。
競馬史に残る死闘となった。ラスト1F、サバイバルレースを生き残ったのはやはり3強だ。安藤勝が、スカーレットを絶妙なタイミングでスパートさせる。外からはユタカが右ムチ、四位は左ムチをうならせて、ウオッカとディープスカイが一緒に伸びてきた。
最後の最後は精神力の勝負。ラスト10メートルでスカイが古馬の底力の前に力尽きた。最強牝馬2頭の一騎打ち。勝利の女神は、執念で2センチ前に出たウオッカにほほ笑んだ。タイムは1分57秒2のレコード。記録にも記憶にも残る名勝負だった。
「4角では抜群の手応え。ウオッカの持ち味を出してあげることだけを考えました」。外めの枠から難しい競馬を強いられたが、道中は絶好の7番手をキープ。しっかりと折り合い、勝負の瞬間を待った。わずかなミスも許されない状況下で武豊の技がさえ渡った。
「これだけの馬を任されて正直プレッシャーはあった。勝利の味?しびれましたね。もう、同着でもいいと思った」。これまでウオッカには3回騎乗し、2着2回が最高。結果を残せず悔しい思いをしてきた。ユタカ自身も今年は大舞台で活躍できず、ここまでJRA重賞はわずか2勝。「苦しい時間だったが、助けてもらった。歴史的な牝馬というか、名馬ですね。感謝の言葉しか出ない。ありがとう、と」。天皇賞を春秋11勝の“盾男”にとっても、格別の勝利となった。
角居師も思いは同じ。これまで宿敵スカーレットには1勝3敗。「ここで負けると次はないなと思っていた。もう1度、自信を取り戻しました」。背水の陣で臨んだ一戦を制し、安どの表情を浮かべた。
次のターゲットはジャパンC(30日・東京)。指揮官は「まだ折り合いに課題がある。ゆっくりと、落ち着いてつくっていきたい」と口元を引き締めた。世界の強豪を相手に、再びファンを陶酔させる走りを披露する。
(2008/11/3 デイリースポーツ)
ウオッカ武豊2センチ差の戴冠/天皇賞
<天皇賞>◇2日=東京◇G1◇芝2000メートル◇3歳上◇出走17頭
外が差していた-。最強牝馬2頭による今世紀最高のデッドヒートはわずか2センチ差で武豊騎手(39)のウオッカ(牝4、栗東・角居)に軍配が上がり、ダイワスカーレットに雪辱した。写真判定は15分に及んだ。勝ちタイム1分57秒2は、従来の記録を0秒8も塗り替える驚異的なレコード。史上に残る名勝負に余韻はさめやらなかった。
武豊は信じるだけだった。ただ祈るしかなかった。15分に及んだ写真判定の間、ウオッカとダイワスカーレットは2頭で引き運動をしながら待った。勝者と敗者を区別するのが惜しい名勝負。1分57秒2のレコードが表示された電光掲示板の最上位に14の数字がともると、スタンドのどよめきは地鳴りとなった。これで宿敵との対決は2勝3敗。
ヒーローインタビューに登場した武は胸をなでおろした。「写真判定中は生きた心地がしなかった」。ようやく実感したように言葉がついて出た。
「うれしいです。本当にどちらか分からなかった。最後に(検量室前に)帰って来たら、1着の場所にダイワスカーレットがいたのでちょっとショックでしたけどね(笑い)。最後までよく走ってくれた。たとえ負けたとしても素晴らしいレースだったと思う」。
向正面で馬を止める時、安藤勝騎手と言葉を交わした。「どうですかね」と武。「いや分からないな」と安藤勝。ウオッカもスカーレットもウイニングランをしなかった。武は「勝ったような気もしたけど」と半信半疑のまま2着の場所へ納まった。
空前のデッドヒートを「同着でも良かったんですけど」と表現しライバルもたたえた。牝馬ワンツーは58年セルローズ-ミスオンワード以来、実に50年ぶり。表彰式ではファンと万歳三唱した。「名牝というよりも名馬ですよ。僕自身も今年は大きなレースで結果を出せていないし苦しかった。ウオッカに助けられた」。
ウオッカ自身のコンディションもパーフェクトだった。大歓声で迎えられた馬場入場。テンションが高まり一気に走りだす他馬を横目に悠々と披露会をした。落ち着きがあるからこそできるパフォーマンス。品格あふれる馬体を外ラチ沿いで誇示した。「歓声に慣れさせようと思って」と武。名馬はスキップするかのように走りだした。
好位で脚をため、自分でレースをつくるというチャレンジにウオッカは完ぺきな答えを出した。直線に入り右手前に替え、内で食い下がるディープスカイを競り落とした。ラスト200メートルでもう1度左手前に替えて完全燃焼。ゴール板では首を投げ出しての激闘に、12万人が熱狂した。
来年は再び海外遠征を見据えている。この後はジャパンC。歴代牝馬2位となる4つ目のG1を加えたスーパーウーマンは、どこまでも可能性を広げる。
(2008/11/3 日刊スポーツ)











