【ダービー】最内枠から大外一気!ディープスカイ衝撃2冠!

2008-06-02 07:33:27 テーマ:スポーツ

 第75回日本ダービー(1日、東京10R、GI、3歳オープン、せん馬不可、定量芝2400メートル、1着本賞金1億5000万円=出走18頭)“ディープ”新時代の到来だ。四位洋文騎手(35)が騎乗した1番人気のディープスカイが、大外から敢然と抜け出して、前走NHKマイルCとの変則2冠制覇を達成した。四位は昨年のウオッカに続く、日本ダービー連覇。3年前の05年、“ディープ”インパクトが無敗制覇を決めヒーローとなったが、08年の“ディープ”スカイも負けず劣らず、一時代を築いていく。


 楽にもぎとった“変則2冠”、正真正銘のスターが誕生した。ディープスカイが豪脚一閃。マイルだろうが、2400メートルだろうがまるで関係なかった。最内枠のスタートから、馬場の大外を突き抜ける。有無を言わせぬ圧倒的な力でライバルをねじ伏せた。04年キングカメハメハ以来のNHKマイルC→ダービー連勝で、3歳世代8150頭の頂点に立った。


 「(距離は)半信半疑だったけど、期待通りの伸び脚を見せてくれた」と四位洋文騎手。レースは完璧だった。後方で折り合いをつけ、道中は内でじっと我慢。4コーナー手前で外に出し、直線ではさらに外。次元の違う決め手(上がり3ハロンは最速34秒2)を発揮するだけだった。


 1番人気の重圧を押しのけ、冷静沈着な騎乗ができたのは、昨年、牝馬として64年ぶりにダービーを勝ったウオッカの経験があるからこそだ。武豊騎手(98年スペシャルウィーク、99年アドマイヤベガ)に続く史上2人目の連覇。「ジョッキーはともかく、ディープスカイのダービーは一生に一度。でも(自身も)充実感はあるし、1番人気に応えられて良かった」と四位は晴れやかな笑顔を見せた。


 スタンドで声を枯らした昆貢調教師(49)は人目もはばからず涙を流して、愛馬を迎えた。「この前、初めてGI(NHKマイルC)を勝ったばかりなのに…。雲の上にいるような感じです」と夢心地だ。


 騎手時代(約10年でJRA92勝)、00年に厩舎を開業した後も、派手なスポットライトを浴びることはなかったが、酒も飲まず、コツコツ努力してきた苦労人は、素質を見込んだディープには信念を持って接した。昨秋の入厩から悪い時の状態も知っておくため一度も放牧に出さず、手元に置いてきた。長所・短所を知り尽くし、脚質的に不向きな中山の皐月賞をパスして、東京のGI2戦に備えたのは当然の成り行きだった。


 今後は宝塚記念(6月29日)に向かわず放牧休養の予定。秋は全く未定だが、菊花賞(10月26日)の他、古馬相手の天皇賞・秋(11月2日)やジャパンC(11月30日)の選択肢もある。ビッグプランも進行中で「来年は海外に行きたい。この馬なら通用すると思います」と昆師は明言。ドバイ、香港、欧州へと夢は広がっていく。


 キングカメハメハは3歳秋に脚部不安を発症して引退したが、その“変則2冠”の先輩に見劣らないパフォーマンスを見せたディープスカイは前途洋々だ。ダービーのヴィクトリーロードは世界へとつながっている。


■ディープスカイ
 父アグネスタキオン、母アビ、母の父チーフズクラウン。栗毛の牡3歳。栗東・昆貢厩舎所属。北海道浦河郡・笠松牧場の生産馬で、馬主は深見敏男氏。戦績は11戦4勝。獲得賞金は3億5140万1000円。重賞勝ちはGIII毎日杯、GI・NHKマイルC(ともに08年)に次いで3勝目。GI日本ダービーは昆貢調教師は初勝利。四位洋文騎手は07年ウオッカに次いで2勝目。


■ダービーアラカルト
 ◆初Vは6戦目 ディープスカイは6戦目に初勝利。ダービー馬では8戦目で初勝利をあげた50年クモノハナに次ぐ。
 ◆強い1番人気馬 84年のグレード制導入後1番人気は25年間で15勝目となり、勝率6割。全GIでも最高勝率。
 ◆皐月賞不出走馬 昨年のウオッカに次ぐ2年連続15頭目。夏季五輪開催年は皐月賞不出走馬が4連勝。
 ◆最内枠のV 68年タニノハローモア以来40年ぶり3勝目。
 ◆大型馬のV 500キロ以上馬の勝利は一昨年のメイショウサムソン以来通算7頭目。
 ◆栗毛のダービー馬 00年アグネスフライト以来8年ぶりで20頭目。トップは鹿毛馬の31勝。
 ◆京都競馬場デビュー馬のV 昨年のウオッカに次ぐ2年連続で14頭目。東京競馬場デビュー馬と並んで最多。
 ◆関西馬がダービー11連覇 98年スペシャルウィークから11年連続勝利。通算では関東43勝、関西32勝。
 ◆関西馬がGI9連勝 今年終了したGI9競走はすべて関西馬がV。


■ディープインパクトは7冠
 5月8日に殿堂入りしたディープインパクト(牡6、父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア、母の父アルザオ)は2~4歳時に栗東・池江泰郎厩舎に所属。14戦12勝で、GIは05年の無敗3冠、06年天皇賞・春、宝塚記念、ジャパンC、有馬記念の7勝。現在は北海道・安平町の社台スタリオンステーションに繋養されている。武豊騎手とコンビを組んだ現役時代はディープの愛称で呼ばれ、一大フィーバーを巻き起こした。


★ダービー入場・売上

 通常の払戻金(控除率は単・複約20%、他は約25%)に売り上げの5%相当が上乗せされ、払戻金がアップする「JRAプレミアムレース」第2弾として行われた今年のダービーだが、279億9187万9400円で、前年比90.9%と大きくダウンした。JRA勝馬投票委員は「話題性のある馬が不在であったことから、ビッグレースだけ参加されるようなライトファンなどが少なかったと思われ、昨今の景気動向も微妙に影響したと思われます」とコメント。東京競馬場の入場人員12万4951人も95.2%と減少した。
(2008/6/2 サンケイスポーツ)



そら見ろ1番人気だ!スカイ最強/ダービー
 競馬の祭典「第75回日本ダービー」は1日、東京競馬場で行われ、1番人気ディープスカイが大外から豪快に差し切って優勝。四位洋文騎手(35)は昨年のウオッカに続くダービー2勝目で、連覇は武豊騎手に次ぐ史上2人目の快挙となった。2着には12番人気スマイルジャック、3着には6番人気ブラックシェルが入り、3連単は20万1300円の高配当となった。


 何という強さだろう。終わってみれば、堂々の1番人気。ディープスカイの破壊力は次元を超えていた。残り1F、内から抜け出したスマイルジャックに12万大観衆がどよめく。が、次の瞬間。とんでもない大外をスカイが突き抜けていた。3F34秒2!!展開など問答無用の鬼脚。最終4コーナー15番手から14頭をゴボウ抜きした四位は歓喜のゴール後、高々と2本の指を突き出した。昨年のウオッカに次ぐV2。史上2人目のダービー連覇の偉業を達成した四位には、穏やかな笑顔が浮かんでいた。


 「本当に強かった。騎手はともかく馬には一生に1回だけのダービー。1番人気の責任を果たせて(3番人気だった)昨年と違った充実感があります。期待通りの末脚だった。ゴール後?ファンの方が期待していると思って“2”を出しました」


 開業9年目で夢にまで見た頂点。昆師は人目もはばからず感涙にむせた。検量室前では何度も何度も眼鏡を外しハンカチを目元へ。「雲の上にいるようです。直線?声がかれ果てました。開業した時はダービーを獲るような厩舎になるなんて…。ついて来てくれたスタッフのみんなに感謝してます」と言葉を震わせた。


 コツコツ、階段を上がって11戦目。未勝利を勝つのに6戦も要したスカイを頂上へ押し上げたトレーナーの手腕は光った。「馬の体質は弱かったが…。育成場に出すよりは手元に置いた方がいい」と同師。放牧に出したいのをこらえ、栗東の坂路を毎日のように駆け上がらせた。NHKマイルCから中2週の強行軍にもかかわらず、馬体重6キロ増とボリュームアップ。四位は「3歳とは思えないほど、馬場入場の時も堂々と落ち着いていた」と驚く。


 キングカメハメハに続く史上2頭目のNHKマイルCとの“変則2冠”の偉業。走るたびに強さを増すスカイには、無限の可能性が広がる。夏はご褒美の休養。来春はドバイ遠征を視野に入れている。昆師は「もともと体質が弱かった馬。宝塚記念はパスして休ませたい。秋の路線は皆さんの考えも聞いて考えます。海外?自分が1度行った場所(今春イイデケンシンでドバイ遠征)に行きたい。それだけの馬だと思ってます!!」と力強く言い切った。「このまま、無事にいってほしい」。四位の願いはただ1つだ。8150頭の頂点に立ち、表彰式に臨んだスカイの晴れ姿をさわやかな青空が祝福していた。


 ▼ディープスカイ 父アグネスタキオン 母アビ(母の父チーフズクラウン)牡3歳 栗東・昆厩舎所属 馬主・深見敏男氏 生産者・北海道浦河町笠松牧場 戦績11戦4勝 総獲得賞金3億5140万1000円 主な勝ち鞍は毎日杯、NHKマイルC。

(2008/6/2 スポーツニッポン)



ディープスカイ変則2冠!四位、史上2人目の連覇…日本ダービー
 ◆第75回日本ダービー・G1(1日、東京競馬場、芝2400メートル、良) 1番人気のディープスカイが、4コーナー15番手から大外を豪快に伸びて優勝。NHKマイルCと“変則2冠”を達成した。手綱を執った四位は、昨年のウオッカに続くV。史上2人目のダービー連覇を果たした。2着は、1馬身半差でスマイルジャック。武豊騎乗のブラックシェルは、1コーナーで不利を受け3着止まりだった。


 爆発力が違った。残り200メートル地点で、前に8頭。苦しい状況から、ディープスカイが怒とうの進出を開始した。坂を上り切り、先行馬は流れ込みを図っている。間に合うのか―。だが、終わってみれば全くの取り越し苦労だった。大外をただ1頭、矢のように突き抜け1馬身半差でゴール。ダービー連覇を果たし、四位は高々と右手を突き上げた。


 冷静だった。最内1番枠からのスタート。1コーナーの入り方がポイントだったが、3番枠のブラックシェルを指標に、位置取りを定めた。「出方を見ながら行こうと思っていたが、(向こうが)出して行ったので、慌てないでその後ろを行った。あとは3コーナーから考えようと…」


 折り合いに専念してスタミナを温存すると、4コーナーでは外へ。「内が詰まりそうな感じがあった。手応えには余裕があったからね」のびのび走れる大外から、上がり3ハロン34秒2。究極の末脚を引き出した。


 堂々たる手綱さばきの裏に、不安もあった。マイルを勝った直後の2400メートル。過去、最も距離が長かった2000メートル戦では9着に敗れている。「はっきり言って、距離は半信半疑だった。期待通りの脚を使ってくれたけど、ダービーの雰囲気は特別。何かに差されるのではと、ハラハラドキドキだった」と胸をなで下ろした。


 昨年のウオッカに続き、史上2人目のダービー連覇を達成した四位。しかし、この馬でNHKマイルCを勝つまでは騎乗馬さえいなかった。レース直後、昆調教師に「(ダービーを使おうと)目で合図を送った」。“進言”が功を奏し、1番人気に応えての勝利。「責任を果たせて良かった」牝馬、3番人気と挑戦者の立場だった昨年とは違う喜びに浸った。


 これで、コンビを組んで3戦3勝、G1・2勝。04年のキングカメハメハ以来、史上2頭目の“変則2冠”を達成した。「とにかく無事に、あとは乗り替わりにならないようにしないと」四位は手を離れた昨年のウオッカを引き合いに出して、期待を膨らませる。


 主役不在だった3歳牡馬戦線に現れた確固たるエース。その未来は、初夏の青空のように、明るく輝いている。


 [優勝馬メモ]
◆性齢 牡3歳の栗毛。
◆血統 父アグネスタキオン、母アビ。父の産駒は、キャプテントゥーレが皐月賞を勝っており、2冠制覇を達成。
◆戦績・11戦4勝 主な勝ち鞍は、08年NHKマイルC・GI、毎日杯・G3。
◆総収得賞金 優勝賞金1億5000万円を加え、3億5140万1000円。
◆変則2冠 NHKマイル&ダービー制覇は、04年キングカメハメハ以来2頭目。
◆歩みは遅かったが… 初勝利はデビュー6戦目。過去のダービー馬で、初Vまでに5戦以上要したのは、1950年のクモノハナ(8戦目)だけだった。
◆強い1番人気 84年のグレード制導入後、1番人気の勝利は15頭目。勝率6割は、全GIの中で最高。
◆最内からV 1枠1番の勝利は、68年タニノハローモア以来、40年ぶり3頭目。
◆関西馬強し 98年にスペシャルウィークが勝ってから11連勝。
◆四位洋文騎手(35) 武豊(98年スペシャルウィーク、99年アドマイヤベガ)に続く、史上2人目の連覇。GI12勝目。
◆昆貢調教師(49) 開業9年目でGI2勝目。
◆生産者 北海道浦河町の笠松牧場。
◆馬主 深見敏男氏。

(2008/6/2 スポーツ報知)



【日本ダービー】スカイ変則2冠達成
「日本ダービー・G1」(1日、東京10R)

 鬼脚と呼ぶにふさわしい爆発力で、1番人気ディープスカイが05年生まれのサラブレッド8150頭の頂点に立った。NHKマイルC-ダービーの変則2冠達成は、04年キングカメハメハに続く快挙。あえて皐月賞をパスし、府中の大舞台に照準を定める見事なさい配を見せた昆師はレース後、来年の海外挑戦プランを明かした。12番人気スマイルジャックが“涙の”2着。武豊ブラックシェルは1角での不利が響き3着に敗れた。


 いつもの冷静な顔が、少しばかり緩む。NHKマイルCで初めてG1制覇を飾ったばかり。今度は競馬界の頂点レース・ダービーで1番人気という重圧を背負った。そのプレッシャーをはねのけた、率直な思いからだろう。「雲の上にいるみたいです」。ディープスカイで大仕事を成し遂げた昆師は笑顔を見せた。


 わずか中2週という間隔だったが、厳しい鍛錬を緩めることはなかった。前走後の始動も早く、栗東坂路で鋭い動きを重ねてきた。馬体重は6キロ増の514キロ。「(体を見て)大丈夫だと思いました。プラス体重で出走できると思っていましたし、成長しています」。毎日杯を完勝しながら、皐月賞をパス。クラシック1冠目に固執しなかったことが、変則2冠の達成へとつながった。


 「皐月賞で無駄なエネルギーを使うより、こういうローテーションで良かったと思います。とにかく順調にこられましたから」。鍛えて成長し、相手が強くなれば、さらに一段上の強さを見せる。天井知らずの栗毛馬の成長力に、気鋭のトレーナーも舌を巻いた。


 期待馬がそろった厩舎の3歳勢にあって、スカイの初勝利は今年1月の京都、デビュー6戦目。決して派手な存在ではなかった。だが、戦線を離脱するチームメートにはない潜在能力があった。


 「勝つまでに6戦も要したのは、芯が入っていなかったんですね。(4走前に)東京の500万の平場戦で2着に入った時に、“この馬はすごいな”と思ったんです」。最後方からメンバー最速の上がり3F33秒4の末脚を駆使。スローペースで2着に食い込んだ中身を、指揮官は見逃さなかった。直後のアーリントンC3着で、さらに目覚めた好素材。それまでの遠回りを吹き飛ばすかのように、2冠達成へ強烈な速度で走り抜けた。


 開業9年目で手に入れた、頂点の座。指揮官はスカイの今後について話を向けた。「宝塚記念は使わず、夏は休ませる予定です。秋については決まっていませんが、もうひと皮むければ古馬との戦いも可能でしょう」。そして「来年は海外挑戦を考えています」と明言した。強烈な成長力に加え、千六百メートル、二千四百メートルで見せた強さ。日本にまた、世界を狙える大器が誕生した。
(2008/6/2 デイリースポーツ)



四位連覇スカイごぼう抜き/ダービー

<東京優駿(日本ダービー)>◇1日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牡牝◇18頭

 デビュー18年目の四位洋文騎手(35、栗東・フリー)が史上2人目の「ダービー連覇」を果たした。1番人気ディープスカイ(牡、栗東・昆)を駆って歴史に残る直線15頭抜き。昨年のウオッカに続く2年連続優勝を飾った。ダービー連覇は過去幾多の名手が挑んだが、98、99年の武豊しかなし得なかった偉業。G1は通算12勝目でうち5勝をここ2年でマーク。円熟の域に達した若手騎手の兄貴分が、1年後には史上初の3連覇に挑む。


 四位が再び「歴史」を作った。1年前は64年ぶりの牝馬のダービー制覇。そして今年は、史上2人目のダービー連覇と、そのレース史に長く残るであろう「15頭抜き」。


 検量室前に引き上げて来ると、「ヤッター」と両手を上げ祝福に応えた。前走NHKマイルCの時も同じパフォーマンスをして馬に振り落とされてしまった。が、今回は落とされそうになりながらこらえ、照れ笑いを浮かべた。「今年も競馬の神様が僕のところに降りてくれました。最高に幸せ」。


 ディープスカイが直線に向いた時は16番手。後ろには2頭しかいなかった。目の前には15頭がひしめいている。あのディープインパクトでさえ4コーナーでは10番手だった。が、四位は慌てなかった。大外に持ち出して直線勝負にかける。「しまいでいい脚を使えるのが、この馬の武器」。2走前の毎日杯から手綱をとって3戦目。相棒に対する信頼感が迷いを消した。次から次に抜き去り、あとは最内で粘るスマイルジャックだけ。「どの馬か分からなかったが、かわしてくれると思っていた」。四位の思いは脚色が鈍りかけた愛馬に伝わった。きっちりつかまえた。1番人気の重圧もなんの。伝説のヒカルイマイやミスターシービーをほうふつさせる猛烈な追い込み。フルゲート18頭になった92年以降、15頭抜きは最大の逆転劇だ。


 前よりも、後ろの敵におびえていた。「直線は長かった。いつも長いです、府中は。何かに差されるんじゃないかとハラハラ、ドキドキ」と振り返った。


 1年前のウオッカは、残り150メートルで前の7頭を抜き去った。今年はその倍の数のライバルをあっという間にかわした。馬を信じる騎乗は今年も同じだった。


 史上2人目の快挙。だが言葉に出るのは馬への思い。「ジョッキーはともかく、ディープには一生に1度のダービー。1番人気の責任を果たせた充実感はある」。自分よりも馬を思いやるのが四位らしい。


 ここ2年でG1・5勝。03年12月の阪神JF(ヤマニンシュクル)から06年12月の阪神JF(ウオッカ)まで丸3年間、G1を勝てない時期もあったが、定評あるテクニックと、多くの人に慕われる人間的な魅力が再び「馬運」を引き寄せた。
(2008/6/2 日刊スポーツ)



ディープスカイ快勝 第75回日本ダービー
 「第75回日本ダービー」(G1、芝二千四百メートル)は1日、東京競馬場で行われ、1番人気ディープスカイが、2着に入ったスマイルジャックに1馬身1/2差をつけ快勝。最内枠の勝利は1968年タニノハローモア以来40年ぶり3頭目。皐月賞のキャプテントゥーレに続き、アグネスタキオン産駒が2冠を制した。2004年キングカメハメハに続くNHKマイルカップとの“最強2冠”も達成。四位洋文騎手(35)は昨年のウオッカに続く2勝目で、ダービー連覇は武豊騎手に次ぎ史上2人目の快挙。昆貢調教師(49)は開業9年目で初制覇。


 天空から競馬の神様が降りてくる。競馬の魔物に立ち向かう四位は、ディープスカイを勝利へと導く、見えざる力の存在を肌で感じていた。


 最内1番枠のスタート。3コーナーまでインを進んだ。そこから先のコース取りが明暗を分ける。混戦ダービー。わずかなミスが命取りになる。「3、4コーナーのインは悪い。前を見たら詰まりそうだった」。直線、確信を持って大外へカジを切った。


 一瞬、外の2頭が進路をふさいだが、ベンチャーナインがコースをあけてくれた。Vロードが一気に開ける。あとは馬の末脚を信じて追うだけ。インで粘る馬が何かも分からない。無我夢中で追いまくる。人馬、全エネルギーを使い切ったところにゴールがあった。


 「僕の馬もいっぱい。内外離れていたので微妙だった。武豊さんのブラックシェルの出方を見て動こうと考えた。行ってくれたのであわてず下げた。4コーナーを回ってゴーサイン。いつも以上に直線が長かった。1番人気の責任を果たせて自分としても充実感がある。最高に幸せです」


 四位は胸をなで下ろして笑顔をつくった。相互の信頼感。それが勝利の最大要因だろう。大歓声の中の馬場入場。うるさくなる馬もいたが、ディープスカイは平気な顔で歩き、四位の指示でゆったりと返し馬に入った。


 「度胸がある。人間への信頼がないと、ダービーの雰囲気の中で落ち着いては歩けない。距離についてもそう。みんな条件はいっしょ。折り合いがつくのでこなしてくれると思った。でも、はっきり言って半信半疑で臨んだ。期待通りに伸びてくれてうれしかった」


 四位はウオッカに続く連覇がかかっていた。達成すればスペシャルウィーク、アドマイヤベガの武豊以来、史上2人目の快挙だ。だが、「この馬にダービーは一生に1回しかない。個人的なことは二の次」と、騎手としてのプライドを大一番にぶつけた。それが最高に美しい結末を生んだ。


 「やるべきことをやって体重がプラス6キロ。本当に具合が良かった。これから先が楽しみになった。とにかく無事にいってほしい」。3歳最強を証明してみせた四位は、次の夢と可能性を描いている。
(2008/6/2 東京中日スポーツ)

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