ROCKIN'ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2009/8 vol.6 目線が永ちゃんのほうが彼らより上に
●なるほどね。「ROCK'N'ROLL」ってタイトルはもう当初からあったんですか?
「いや、どんどんできて歌入れしてバックコーラスしてミックスして、何度も聴いているうちに『ROCK'N'ROLL』でいこうってなりましたね。それまでタイトルない状態でしたから』
●全体の音がバンドっぽいじゃないですか。すごくストレートだし、まさにロックンロールなテイストで全部統一されてるわけじゃないですか。
バラードやミディアムの曲もあるけれども非常にロッカバラードだし、ロッカミディアムだし、全てそういう色で統一されてるから、これは最初からあったのかなと思ったんですけど。そうじゃないんですね。
「こういう音ができたんですよ」
●俺は単純だから『ROCK'N'ROLL』ってタイトル、そしてこのストレートな楽曲からは、それこそ永ちゃんのソロの前のキャロルの匂いをすごく感じましたね。それで俺はバンドだと思ったんですけどね。
「キャロルねえ。それは、ちょっと構想としてはありましたよ。今のキャロルサウンドをもう1回やってるのかなあっていうのは、どっかにないことはなかったね」
●だからある意味、永ちゃんはキャロルを封印していた部分もあると思うんですよ。自分の中にキャロル的な部分はあるし、自然にいけばキャロルっていうのはあるかもしれない。
でもソロになった以上そうじゃないことをちゃんと作っていかなきやいけないし、そうしないとソロになった意味がねえじゃないかっていう思いがあったと思う。
「両方ですよ。だってキャロルの曲って全部矢沢が書いてるんですもん。で、あのキャロルも俺たちバンドの最高の時だったんだから。
キャロルを解散した時も『俺は果たしてバンドというものをやめてソロになって、どこの道にどういうふうに立ってどういうふうに歩けるんだろうか』 っていう、ものすごいテーマで解散したわけじゃないですか。
その時に僕が一番コンセプトにしたのは、矢沢永吉がソロになって何をするのかってことがはっきり出せなかったら、なんのために解散したんだってことなんですよね。
あの考え方ってものすごく当時は正しかったんだと思いますね。
だからあの時、一番わかりやすかったのは、キャロルを解散しようと言ったジョニー(大倉)とか内海(利勝)、ちょっと解散早いんじゃないかって止めた矢沢。
止めても話し合っても解散の気持ちは変わらないふたりがいたので『わかった、じゃあ解散しよう』ということになって。
解散したら僕はすぐアメリカ行って『I LOVE YOU,OK』作ったよね。
そこでキャロルじゃないテイストのものを出して矢沢永吉はここからはじまるんだってやったら、ジョニーと内海はキャロルを引きずったよね。
だから解散したいと言った人間がキャロル引きずって、解散を止めた矢沢がキャロルをスパッと切ったんですよ。だって人間の生き方はそうでなきゃいけないじゃない」
・・・続く
ROCKIN'ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2009年 08月号 [雑誌]