向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

福岡の中心部・天神駅真上の場所にある法律事務所の弁護士です!
日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

かなーりひさしぶりの更新です。
このところかなりバタバタしていたので・・・m(__)m

法学既修者の適性試験免除 法科大学院で文科省検討
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=167956&comment_sub_id=0&category_id=256

1 そもそも適性試験って
もともと、何の意味があるのかわからない試験でしたが、法的根拠も脆弱だったようですね。
大学入試センターと日弁連法務研究財団がそれぞれやっていて、受験者数激減の中、大学入試センターが撤退し、日弁連-がずっとやっていたのですが、年1回が値上がりした上に年2回受験可能とされ、数値からいうと多くの受験生が2回受けているようであり、その結果、受験生が適性試験にかけているコストはそれまでより3倍近くになっています。

こういう、ただでさえ法曹資格の人気(法科大学院設立当時)に藉口した「関所」の役割しか果たしていない法科大学院の、さらに前に「第一関所」を設ける適性試験というやり方は、その意味のなさからして、受験生心理につけこんで搾取しているだけにしか感じていませんでした。加えてその「第一関所」を上記のように受験生心理につけ込んで改変するようなやりかたをするようになってからは、なおさら、搾取色が強まったように思います。

2 これからどうなるか
いまや、法科大学院側も、かつてのような未修者中心主義ということはなくなりつつありますし、司法試験合格率が高い傾向にある既修者を中心に集めようとしています。ですから、もともと適性試験の重要性は低いといえるでしょう。
が、この改革により、法科大学院にとって「いいお客さん」である既修者が適性試験を受けなくて済むのであれば、適性試験の重要性は、余計に下がることになりそうです。
文科省としても、適性試験はもはや大学入試センターが関わっているわけでもないので関心は薄いと推察され(ただし、「法科大学院の理念」との関係で、表立って「無くせ」とはいいづらいのでしょうが)、よって、早晩、適性試験が廃止になる日もくるかもしれませんね。

3 狙いは当たるか
ところで、この適性試験見直しの目的について、記事ではこう書かれています。
「司法試験合格率の低迷で年々減少している志願者数を、負担の軽減で増加に展示させたい」

さて、この狙いはあたるでしょうか。

まずもって、志願者数の減少の原因について、認識ミスがあるようです(司法試験合格率の低迷が志願者減少の原因ではない)。

また、負担の軽減について。
私は、「ここが軽減されたからって何の意味もない」と断定します。

適性試験の受験料は1回16,200円で年2回受けられます。
そもそも、司法試験合格率の低迷が原因で逡巡している人がいるとしても、そのようなタイプの人が、16,200円✕2回=32,400円の有る無しによって法科大学院を目指すかどうかの判断に影響されるとは思えません。
また、私は法科大学院制度の不人気は司法試験合格率にはないと考えていて、要するに「かける手間・コストとリターンとがつりあわない」とみなされているからだと考えているのですが、要するには、かかる手間・コストから適性試験受験料と手間を差し引く程度のことでは、「つりあう」状態にならないからです。

適性試験を見直すというのは、要するに法科大学院へのパスポートを「値下げ」(値段を下げるという意味だけではなく、手間暇というコストをなくすという意味)するようなものだと思います。
しかしながら、そもそも法科大学院あるいはその先にある法曹資格に対して「つりあわない」と考えている人たちにとっては、法科大学院などはじめから視野に入っていません。
いらないものは、タダ(実際には、長い時間と学費と稼得可能分の逸失利益というコストを払わされる)であろうと、いらないのです。

法科大学院に入る人を増やしたければ、法曹資格の人気を上げるようなことをしないと(つまり「つりあう」ようにしないと)何をやってもダメだと思います。なぜなら、法科大学院などというものは、所詮、「法曹資格という他人のふんどしの人気に藉口して一儲けを企むための「関所」」だからであり、「他人のふんどし」の人気が無くなれば相手にされるわけがないからです。
そういう意味で、今回の「適性試験見直し」は、受験生にとって何のアピールにもならないと思われるので、無意味に終わるでしょう。
※蛇足ですが、政府の会議体は、法科大学院関係者というスーパー利害関係人を議論の中心に据えて、一貫して、法科大学院を残すことだけを重要視しています。ふんどしがゴミになろうが、「関所」だけは死守してやる、という考えのようです。この時点ですでに状況把握がおかしいのです。
そして、法曹という職業やそれを利用する人の利便性についてはなんら考慮していません(もっといえば、法科大学院を卒業した人たちがどういうふうになろうが知ったことじゃないと言い放つ始末です)。
このような委員の選定の仕方・議論の進め方をしている限り、末期状態にある法曹養成制度の病巣部である法科大学院は「死守」されつづけ、抜本的な対策は何一つ打ち出されることなく、「死」を迎えることになるでしょう。

4 適性試験がもし廃止になったときの弊害  
もっとも、法科大学院の「病状」を知る上では、適性試験の実受験者数が、法科大学院自体の志願者を知る上でのもっともわかりやすいマークでしたから、これがなくなると、「病状」を図りづらくなるという点だけは困りますが。

5 まとめ
こういうエピソードを見ていると、法科大学院制度も、法曹養成制度も、所詮、文科省様のご意向に翻弄され、それに誰も何も言わない、ということが、よくわかります。

もともと文科省というところは、法曹の現場など何一つ知らないのです。
にもかかわらず、よくここまで法曹養成に影響力を持つようになったという点で、ある意味スゴイ役所だなと思います。

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