中計減額修正で展開力不足が目立つ、カーリットホールディングス(4725)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4275】カーリットホールディングス(東証1部) --

現在値 624円/100株 PER17.3 PBR0.62 3月配当優待 

化薬・化学品生産。塩素酸ソーダ高シェア。伊藤園向けボトリングも。
配当は3末の一括・10円配のため、配当利回りは1.60%となります。

カーリットホールディングスは株主優待制度を導入しておりまして、3月末

の100株以上の株主に対して、1,500円分のUCギフトカードを進呈しており

ますので、配当優待利回りは約4.0%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 398億円、経常利益 16.7億円 EPS 60.8円
■2015年3月期 売上高 461億円、経常利益 13.1億円 EPS 51.8円 
■2016年3月期 売上高 463億円、経常利益 13.3億円 EPS 33.1円
■2017年3月期 売上高 477億円、経常利益 14.3億円 EPS 32.3円 
■2018年3月期 売上高 510億円、経常利益 15.5億円 EPS 35.9円 ce
□2017年9月中 売上高 250億円、経常利益 4.9億円 EPS 11.8円四e

2017年3月期の売上高は前期比3.0%増の477億円、経常利益は同8.2%増

の14.3億円となり、利益に関しては期初計画水準を確保しました。主力の

化学品事業では、土木工事向けの含水爆薬・硝安油剤爆薬が堅調に推

移したほか、自動車用保安煙筒も新車向けが伸長しました。また、伊藤園

向けのボトリング事業については、製造ラインの増強にともなう製造停止

期間が発生し、減販となったため、当該セグは売上段階から減少しました。

進行期の2018年3月期については、売上高が6.8%増の510億円、経常利益
は7.7%増の15.5億円を計画しています。柱の化学品は、土木工事の増加

基調により、爆薬関係が引き続き底堅く推移するとみられるほか、産業用

部材も建機向けの座金需要が復調する見通しです。また、前の期に凹ん

だボトリング需要も製造ラインの増強完了にともない、生産能力が向上し、

これら主要3セグメントはすべて増収を確保する計画となっています。


当社は2015年2月に中計の「礎100」を策定しており、4年後の2019年3月期

に売上高650億円、営業利益35億円(直近期実績13.5億円)を定量目標に
置いていましたが、前半の2年が終了した時点で、売上高を540億円・営業

利益を24億円へ大きく減額しました。主な要因は事業拡大計画の遅れと、

新規開発の遅れが原因で、この2つで130億円の計画比減収となります。

前回中計「飛躍500」も相当の未達だったため、今回の中計も"気合予算"

の雰囲気がありましたが、案の定と言えます。修正後の計画に関しても、

前橋の広桃(水力)発電所再稼働の再稼働により、年間3億円の買電費用

が抑えられるので、その利益は確実に良化するものの、それ以外は既存

事業の増収が前提の予算なので、しゃがんだとはいえ確度不透明です。


当社は7月に約17億円(@547円)の公募増資を実施しており、リチウム電池

試験場の設備投資や、過塩素酸アンモニウム製造設備の増強に充当して

おりますが、こうした設備投資や研究開発費が依然として高水準で推移し

ており、直近2ヵ年では年間40億円弱も突っ込んでいます。今期も25億円

を茶殻を化粧品に活用するといった、ライフサイエンス関連の生産設備に

投じる計画ですが、この手の積極投資の回収可能性は微妙なところです。


ということで、積極的な設備投資(と重い減価償却)のわりに事業展開力が

弱いのがネックですが、ロケット燃料原料における国内唯一のメーカーで

あるなど、業容拡張可能性のある分野を手掛けていることも事実なので、

夢を買う部分が大きいにせよ、見捨てるには早いかな・・・という印象です。

*参考記事① 2016-08-15 487円 --
中計意欲的も株価は増資前水準、カーリットホールディングス(4275)。


*参考記事② 2014-08-27 547円 --
カーリットホールディングス(4275)の株主優待と1Qレビュー。

 

 

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