こんな話知ってますか?と後輩から聞かれた。
数学会で非常に話題になったという話らしいんですが・・・
『3人の男がホテルに泊まることになりました。ホテルの主人が一泊30ドルの部屋が空いていると言ったので3人は10ドルずつ払って一晩泊まりました。 次の朝、ホテルの主人は部屋代は25ドルだったことに気が付いて、余計に請求してしまった分を返すようにと、ボーイに5ドル渡しました。ところがこのボーイは「5ドルでは3人で割りきれない」と考え、2ドルをくすねて3人の客に1ドルずつ返しました。さて、3人の男は結局部屋代を9ドルずつ出した事になり、計27ドル。それにボーイがくすねた2ドルを足すと29ドル。残りの1ドルはどこへ消えてしまったのでしょうか?』
ぼくは残念ながら、どれだけ考えても(あれっ?1ドルはどこへいったんだ??)という不思議な感覚から抜けだだせなかった。。
ブログネタ:欲しいものある?
参加中
私はある 派!
実はこの話、数学会で話題になった話ではなく、なぞなぞで有名な問題のようです。最初になぞなぞと言われていれば、少し違った観点から考えれたのかもしれませんが、前置きに『数学会で話題になった』ということもあり、ぼくの頭の中は数学の問題という固定観念にはまっていたのかもしれません。
・・・ 回 答・・・
初めから1ドルは消えてはいない。つまり、この問題自体がおかしいということです。どこがおかしいかというと… 3人が払ったのは確かに27ドルになりますが、ホテル側の収支で考えると、30-5+ホテルのドアマンのとった2ドルで27ドルという事であいます。27ドルに2ドルを足して29ドルなどとしてしまうこと自体がおかしいわけです。
ちなみにこの問題は、ぼくが中学生の頃に愛読していた、『頭の体操』という本の中でも出題されていたようですが、大元は夏目漱石の弟子、内田百間の『阿房列車』第一話に掲載されていたようです。内田百間は旅を愛した方だったようで、旅の同行者「平山三郎」が内田百間に出したなぞなぞで、かの文豪内田百間も答えがわからなかったんだとか。
この問題自体の内容も、後輩の問題の出し方も、人の思い込みをうまく利用するという共通点がある。話はそれるが、オレオレ詐欺が流行ってから数年経つ今でも、振り込め詐欺やその他の類似詐欺は一向に減っていない。これも思い込みによって騙されているのがほとんどだろうね。思い込むということは、視野が狭くなるということがよくわかります。物事を進めていく場合でも、頭を柔軟にし、広い視野で捉えていくことが、いろんな問題を回避できる鍵かもしれませんね。
ついでに『阿房列車』の内容を紹介します。
「3人の人が宿屋に泊まった。宿代は3人で30円であると言われたので,3人それぞれが10円ずつ出して,合計30円を帳場に持っていった。その後で帳場の担当者が,3人で泊まってくれたからサービスしよう,と思った。担当者は宿泊代を5円まけてあげようと考えて、女中に5円を3人のところに持っていくように伝えた。ところがその女中は,担当者から5円を預かって3人のところに行く途中で『3人に5円は半端だわ』と思い,2円を自分でくすねて,3円だけ3人に返した。3人は返された3円を1人1円ずつ分けた。1人10円出したところ,1円戻されたので結局負担分は1人9円になる。3人が9円ずつ出したので,3×9=27円になる。その27円に女中がくすねた2円を加えると,合計で29円になる。最初3人が出したのは30円であった。差額の1円はどこにいったのか。」
ほとんど同じですね。。しかしうまく作られた問題だ。
