刑務所を出所後、再び罪を犯してしまう知的障害者や高齢者が目立っている。国は今年度、出所後に適切な福祉サービスを受けながら社会復帰を目指してもらう「地域生活定着支援センター」を全国に設置することにしたが、設置を任された自治体の腰は重い。都が「まずは国が責任を果たすべき」と法務省と厚生労働省に再考を求め、今年度の設置を見送るなど設置への課題は山積している。

 昨年2月、都内のコンビニセンスストアで弁当など計720円分を盗んで逮捕された知的障害のある男性(60)は、4度目の刑務所生活になる。中学卒業後に上京し、日雇い作業員などとして働いてきたが路上生活に陥り、生活苦から万引を繰り返すようになった。本来なら障害者福祉サービスを受けながら暮らしていけるはずが、独身で身寄りがないため福祉サービスにたどりつかなかった。

 「人生のどこかで福祉に詳しい人間とつながることができたなら、窃盗を繰り返す環境に陥ることもなかったはず。60歳になるまで大変だったことだろう」と、全国への支援センターの設置を進める社会福祉法人「南高愛隣会」東京事業本部長の松友了さんは同情する。

 知的障害者や高齢者の再犯率は高い。法務省の調査(平成18年)によると、罪を犯した知的障害者たちの刑務所への平均入所回数は6・8回。19年の犯罪白書では、犯罪歴のある高齢者の約4分の3が2年以内に再び罪を犯していた。

 「背景には深い構造的な問題がある」と話すのは、政策秘書の名義借りの詐欺罪で実刑判決を受けた元衆院議員の山本譲司さんだ。服役した刑務所の中で出会った知的障害者のことを著書『獄窓記』(ポプラ社)の中に記した山本さんは「彼らは福祉施策が不十分なために再犯をせざるを得ない状況に陥ってしまっている」と指摘する。そして「犯罪者として塀の中に押し込めてしまっている社会はおかしい」と、早急なセンター設置を求める。

 匿名性を保って暮らせる大都市にこそセンターは必要。だが、都生活支援課は「新規事業よりも国がまず更生保護施設の機能強化などを行ってほしい。彼らは身寄りがなく就職も難しい人たちなので、匿名性が保てる東京での暮らしを望むだろう。そうすれば都内自治体の生活保護費や介護保険給付費など財政負担が増え、都民の理解が得られるか分からない」とし、都に負担が集中しない納得できる仕組みを国が提示するまでは、設置は難しいとの構えだ。

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