新春恒例の「歌会始の儀」が14日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。今年のお題は「光」。天皇、皇后両陛下、皇太子ご夫妻をはじめとする皇族方のお歌のほか、陛下に招かれた召人(めしうど)で文芸評論家の武川忠一さん(90)や、選考対象となった2万3346首の一般応募から入選した10人の歌などが、伝統にのっとった節回しで披露された。

天皇、皇后両陛下と皇族方、召人、選者、入選者の歌は次の通り(仮名遣いは原文のまま)。

 天皇陛下

木漏れ日の光を受けて落ち葉敷く小道の真中(まなか)草青みたり

 皇后陛下

君とゆく道の果たての遠白(とほしろ)く夕暮れてなほ光あるらし

 皇太子さま

雲の上(へ)に太陽の光はいできたり富士の山はだ赤く照らせり

 皇太子妃雅子さま

池の面に立つさざ波は冬の日の光をうけて明かくきらめく

 秋篠宮さま

イグアスの蛍は数多(あまた)光りつつ散り交(か)ふ影は星の如くに

 秋篠宮妃紀子さま

早春の光さやけく木々の間に咲きそめにけるかたかごの花

 常陸宮さま

父君に夜露の中をみ供してみ園生を行けば蛍光りぬ

 常陸宮妃華子さま

大記録なししイチローのその知らせ希望の光を子らにあたへむ

 三笠宮妃百合子さま

雪(ゆき)はれし富良野の宿の朝の窓ダイヤモンドダストのきらめき光る

 高円宮妃久子さま

北極の空に色づくオーロラの光の舞ふを背の宮と見し

 高円宮家長女承子さま

黄金(わうごん)に光り輝く並木道笑顔の友の吐く息白く

 高円宮家次女典子さま

葉の上にぽつりと残る雨粒に雲間より差す光ひとすぢ

 【召人】

 武川忠一さん

夕空に赤き光をたもちつつ雲ゆつくりと廣がりてゆく

 【選者】

 岡井隆さん

光あればかならず影の寄りそふを肯(うべな)ひながら老いゆくわれは

 篠弘さん

金箔の光る背文字に声掛けて朝の書斎へはひりきたりつ

 三枝昂之さん

あたらしき一歩をわれに促して山河は春へ光をふくむ

 河野裕子さん

白梅(しらうめ)に光さし添ひすぎゆきし歳月の中にも咲ける白梅

 永田和宏さん

ゆつくりと風に光をまぜながら岬の端(はな)に風車はまはる

 【入選者】(年長順)

 東京都 古川信行さん

燈台の光見ゆとの報告に一際高し了解の聲

 静岡県 小川健二さん

選果機のベルトに乗りし我がみかん光センサーが糖度を示す

 群馬県 笛木力三郎さん

冬晴れの谷川岳の耳二つ虚空に白き光をはなつ

 北海道 西出欣司さん

前照灯の光のなかに雪の降り始発列車は我が合図待つ

 兵庫県 玉川朱美さん

梅雨晴れの光くまなくそそぐ田に五指深く入れ地温はかれり

 長野県 久保田幸枝さん

焼きつくす光の記憶の消ゆる日のあれよとおもひあるなと思ふ

 大阪府 森脇洲子さん

我が面は光に向きてゐるらしき近づきて息子(こ)はシャッターを押す

 東京都 野上卓さん

あをあをとしたたる光三輪山に満ちて世界は夏とよばれる

 福岡県 松枝哲哉さん

藍甕に浸して絞るわたの糸光にかざすとき匂ひ立つ

 京都府 後藤正樹さん

雲間より光射しくる中空へ百畳大凧揚がり鎮まる

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