龍のはなし

テーマ:

龍は強くて万能だと思われがちですが、何でも彼らの思い通りというワケではない。
「なんでオレ龍なんだろう、歩きづらいし、見ず知らずの人に"願いを叶えて"とか言われるし。同じ強いなら虎の方が良かったな」なんて思ったりすることは日常茶飯事なのだ。
でも龍は龍でしかなく、虎ではないし、ウサギでもない。


ただ、
虎ひとつとっても、一休さんのとんち比べに担ぎ出された絵の中の虎もいれば、大阪地区に熱狂的なファンを持つ虎もいるし、ウサギひとつとっても、調子に乗りすぎてにバカにしてた亀との競争に負けるウサギも居れば、月でお餅をついてるウサギも居る。
「龍」になったらそれで終わりではない、「龍」にだっていろいろあるのだ。




(アタシにはにわかに信じがたいですが)
百歩譲ってもし仮に世間で言われていたように、彼の背中に龍が居たとして、彼は「先に進みたい」と願うばかりで、その龍を一度も振り返らなかった。
そりゃ当然龍だって去ってくでしょ。ぜんぜん面白くないもん。

AD

私小説:入間の朝マック

テーマ:

朝起きたらお腹が痛かった。
作業があるのでパンツにしたんだけど、お腹が痛いからスカートに履き替えた。


作業場所は埼玉県狭山市にある。
場所は狭山市にあるんだけど、ウチからは入間市という駅で降りてそこからバスを使った方が行きやすい。
なんだかややこしいな。


入間市の駅でバスの発車時間まで余裕があったので、マックに入った。
駅マックなので小さいけれど、店内は適度にあふれている。

コーヒーを頼んで、お姉さんとオジさんの間の2人用テーブルにつき、マフラーを外した。

寒っ。
マフラーを外したことをちょっと後悔する。
併せてお腹が痛いのに、コーヒー頼んじゃったことも後悔する。

アタシが落ち着いたのと同時に、二人組の女性とサラリーマンが店を出た。
コーヒーに普段は入れないお砂糖とミルクを全部入れてかきまぜ、ふーふーしながらちょっと口をつける。あったかくてお腹が痛いの忘れそうだ。


朝起きてから移動時間中も、ずっと考えてても上手く説明できなかったお腹の痛さについて、ここにきて言葉が降りてきた。
胃の上からキツいベルトで締め付けられてるかんじ。きゅーっとしているのだ。
誰に説明するワケでもないけど、ちょっとご満悦♪



と、アタシの左視界で黄色い生き物がかがんだ。
何 いまの?
観ると、黄色いフリースに短パン、はだしでサンダル という見ているこっちの耳がちぎれそうになるような女性が店の入り口でかがんでいる。そして店員の様子を伺いながら、死角の席にちょこんと座った。座ったとたん、右手に持っていたバッグを漁る。白いビニール袋を取り出し、四角く個別包装された化粧品のサンプルみたいなものを取り出してテーブルに並べる。

見ちゃダメだ。

と思いつつ、次々と繰り出させる動きがついつい気になってしまう。

だめだめだめだめ...

自分に言い聞かせて、正気に戻った。
なんでそんなに気になったのか、もうよくわからない。

しばらくすると、その女性はアタシの目の前に備え付けられた洗面台で手を洗い出した。
くるくる上手に泡立てて、丁寧に丁寧に両手を洗う。

だめだめだめだめ...

また見入ってしまいそうになった。
慌てて時計を見ると、そろそろバスが来る時間だ。


アタシが朝マックに所要した時間、約10分。
「そんなドラマチックは正直いらないな」と思う腹痛の朝。

AD