
●経営パワーの危機
https://www.amazon.co.jp/dp/4532191653ここ1年以内に読んだ本の中で、最高傑作に出会った。
社内起業とは、また経営者人材の育成とは、かくあるべし。
そんな玉言がつまっていて、読んでいて一気に2周してしまった。
知れば知るほど、
読めば読むほど、
そして自分で事業を進めれば進めるほどに思う。
「経営者としての力」は「総合力」以外のなにものでもない。
「知識か経験か」と問われれば、それは「両方である」。
「数字に強いことか交渉に強いことか」と問われれば、それは「両方である」。
「頭か心か」と問われれば、それは「両方である」。
まだまだ。
知識も経験も、能力も胆力も、ぜんぜん足りない。
もっともっと成長を加速しなければ。
がんばるぞー!
以下、メモ。
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「資金的余裕」の悪。古今東西、いかなる企業も「没落」の始める前ににはキャッシュがだぶつく。
会社の危機と社員の危機感は必ずしもそう寛しない。優秀な経営者は危機感を人為的に作り出す。
「営業とか技術とか、いわゆる機能別の仕事でいくら大きな仕事をしていても、それで経営者の見方や行動が身につくとは思えません。」
豊かな日本を作り上げてきた苦難のプロセスが、日本のビジネスマン個人個人の経営的力量や戦略的判断力を引き上げるのにはたいして役に立たなかったことを痛感させられる時代がきた。
事業部長は損益責任を追及されるだけでなく、商売全体への権限を与えられ、かなりのところまで自己裁量で戦略を進められるだけの組織と自由度を持ち、自分の首を賭けて孤独な決断を迫られないと、経営者的発想をするようにはならない。そうした自律性を与えずして、事業部長の経営マインドが足りないとか、後継者が育ってこないと社長が不平を言うのは完全に自己矛盾なのである。
市場セグメントが違えば、その境界を超えるときには異なる勝負の武器が必要になる。
高リスク事業に挑む企業の経営鉄則の一つは不動産投資をしないこと。経営が悪い方に振れたときのためにキャッシュを確保しておく。
事業の赤字には人間の腫瘍と同じで悪性と良性がある。新事業で競争相手の数がピークに達したとき(新事業参入が止まり、しかしまだ撤退企業が出てこない時期)になってもまだマイナーな市場ポジションしか築けていないなら、その事業で発生している赤字は悪性に転じている。
米国のプロのベンチャーキャピタルは現金の減っていくスピードを「現金燃焼率」と呼び、投資先企業が危うくなると「あと何ヵ月で燃え尽きる」と時間読みをしながら必死に救済に当たる。危機の接近を早めに予知するには、こうしたシステムが平時からきちんと作動していなければならない。
危機打開の抜本策を打ち出すために社長が昨日とまったく逆のことを言う開き直りの手は何度も使えない。つまり経営者は間違いに気付いても過去の自己否定を口にしにくい宿命にあり、同じ経営者の下で会社の危機打開がタイミングを失いがちになるのはこのためである。
大企業のサラリーマン社員がいくらスケールの大きな商談をまとめたところで、その人個人の経営的能力を高めるには何の関係もないと思っています。
高成長を狙う小企業のトップは、大企業の社長に劣らない難しい経営判断を次々と迫られ、短期間に凝縮した経営経験を積む。会社の大小や業種に関係なく経営の修羅場での経営判断要素は共通しているから、一度社長の立場に立てばその人は経営者としての一般的ノウハウを蓄え始めたと言ってよい。ナンバーツーと社長の間には埋めがたい差があり、いくらナンバーツーの経験を積んでも社長経験の代用にはならない。
自分の功名心で必要以上に時間軸を短く設定しない。不振企業再建の時間軸は短期的にはキャッシュとの兼ね合い。長期的には競争戦略で決まる。
経営の修羅場の典型と言えば、①倍々ゲームの高成長経営と、②瀕死事業の再建だろう。歴戦の経営者でも難しい判断が次々とやってくる。前者は「スピード管理」の戦い(早すぎればパンク、遅すぎれば競争に負け)であり、後者は縮小均衡による荒廃を乗り越えて次の光明を探す「葛藤ゲーム」だ。
再建社長は奥の院に閉じこもらず、自ら前線に立つ。自分の思う組織ができてきたら、次第に後ろに引けばよい。もちろんその引き方のタイミングも難しい判断だ。
経営的人材の育成は損益責任を負うところから始まる。本人が深刻に思うほど習熟は早い。
大企業病に陥った企業では皆忙しく働いているのにひとつひとつの商品を見ると開発→生産→営業→客先の単純なサイクルが回っていない。
原価計算は情報の宝庫だがその重要性を見過ごしている経営者は多い。原価計算はサイエンスの感覚で真実に迫る精緻さと、情報コストを下げるためにいかに「手抜き」をするかの妥協で成り立つ。
赤字の元凶はすぐにでも捨てたい。しかし会社の「らしさ」まで失ってしまったら、長期的には自殺行為だ。
目の前の短期の赤字減らしと、未来への夢を温存することをどう両立させるのか。
会社の「らしさ」とはその企業の強みのことだ。それなしで改善のシナリオは作れない。しかも、目先の短期的再建のために「らしさ」を捨てると、あとの成長が望めない。
長期的戦略と矛盾しない形で短期戦略を組む。
新たな事業機会を戦略的に産むためには、有能な経営者的人材を発掘してガンガン鍛え、事業の活性を最大限に引き出し、それによって生み出された新たな成長機会を獲得していかなければならない。一方、組織としての継続性の強みを保つとすれば、普通の社員もそれなりに働いてそれなりに幸せだという環境づくりが必要だろう。簡単ではないが、そうした二本立ての雇用体系はいずれにせよ必要になる。
管理ポイントはロジックで体系化しておく。日常的におさえておく管理ポイントは減らし、異常値が出た時にはその連鎖ロジックで原因を追いかける。
商売の基本サイクルを活性化するには、従来の機能から機能への仕事の流れを統合化し、権限委譲を行って現場の裁量権を増やす。
人が目を凝らして常時気を付けていないと以上に気づかないようなシステムはシステムと言えない。工場と同じで経営管理のシステムにも自動的にアラームが鳴る「ポカよけ」が必要だ。
トップが設定する管理システムは中間管理職が仕事の上で必要とするものと一致していなければならない。そうでないとそのシステムは彼らの苦痛になり、やがて使われなくなる。
新しい管理ポイントの言葉が社内で流行せず共通言語のボキャブラリにならないときは、経営改善のシナリオのどこかに齟齬があることを疑うべきだ。
一つの数字を少し動かしたとき最終結果にどれくらいのインパクトが出るかを見て、その「押しボタン」の重要性を図る。
「いいか、君はそこいらの中小企業のオヤジになっちゃダメなのだ」
「町工場みたいなところに移るというが、君が経営の破たんしたベンチャー起業の社長と同じ考えでは困るんだ」
「Think Big」
事業の夢はBigに考え、組織はThink Smallで積み上げていくのがポイント。
全社的に、短期、長期の話が一つのストーリーで繋がっていて、一人のしていることが全体の絵のどの部分に当たるかが全員に見えているときに、社内のエネルギーは束になる。
そのドラマというかシナリオを作り出すのは、結局トップ一人のリーダーシップしかないということだね。
企業戦略を「時間」で切ると新しい事業機会が見える。
「キャッシュ・ニュートラル」キャッシュフローをプラスにできないまでも、少なくともプラス・マイナス・ゼロの状態に早く持ち込む。再建者はようやくそこで一息つける。
「戦略的企業家精神」には戦略論的、分析的な束ねの手法が不可欠だ。その時の状況に照らしてカギだと思われる経営要素をロジックでつなげ、なるべく数字で裏をとりながら行動と結果の因果関係を組み立てる。
「残された強みは何か」
ストーリー性は、「時間軸」について共通の認識を持たせるところから始まる。何かの理由で「時間軸」が変化したら、戦略の組み立てはガラガラと変わる。だから幹部の時間軸の認識がバラバラだったら、戦略的行動が揃うはずはなく、そこに統一したストーリー性が出てくるわけはない。
難しい経営状況に朝から晩まで浸かりすぎるとトップとしての大局的見地がわからなくなる。そんな時は一人で静かな温泉に籠るか思い切って海外に行く。
「少量多品種のパターンを突き崩す、大きな潜在性を秘めた製品はないのか」
「いい話」に乗るか乗らないかは「勘」ではなく論理回路で決める。あくまで「データと論理」で検証しながら組み立てる。「競合の強み・弱み」と「自社の強み・弱み」の二つに照らして最適戦略を探す。
企業が市場セグメントを横切るときには常に「死の谷」がある。吊り橋の上をいちど走り出したら、「向こう岸」に渡りきるまで「走り抜け」なければならない。わたり始める前に戦略の組み立てがカギだ。
「戦略マップ」トップの考えを幹部に徹底する戦略指針。マトリックスにするのが効果的。
新しい価値観がミドルに根付き始めれば、トップは一人ですべてを語らなければならない状況から抜けられる。
よく売れる商品、よく伸びる事業は、シンプルな説明が可能なものに限る。説明が複雑にならざるを得ないものは、成長性に限りがある。単純な説明で特徴を言える製品や事業が伸びるのは、その市場が細分化されておらず競合も少ないからである。
組織体質を変えていく時の最も効率よい方法は一つの製品プロジェクトや戦略テーマを取り上げ、その遂行に関係する部署だけで新しいアプローチを構築する。突出部分がうまく回り始めれば、それを軸に他の部署を巻き込んで全体レベルを引き上げる。
「経営能力の醸成」プロセスの中で鍛えるべきもの「リーダーシップ」「戦略性」「成功体験・失敗体験の蓄積」
戦略性とは「絞り」と「集中」の論理である。
自分の組織の「持てる力」を知り、自分と社員が燃え尽きるほど頑張ったとしてどこまでいけるか、そのぎりぎりを読む。それを繰り返して、自社の力で十分勝ち戦を収めることのできる範囲を見極める。それが自分らの「戦いの場」の選択だ。
「名経営者」と言われる人が備えている「もう二つの要素」。「夢へのこだわり」と「リスク志向」
どうしても実現したいと人生で想い続ける事業の夢。そして経営者はそれを他人が聞いてもよくわかるシンプルな言葉で語ることができなければならない。それができないと彼は人々の力を結集することはできない。
その夢を実現するためにあえて危険を冒す「リスク志向」。
京セラの稲森会長は、数千億円の企業を作っただけでは満足せず、巨大企業NTTに対抗する企業を作り、さらに次の構想をぶちあげる。尽きないリスク志向は「強靭な個性」と言い換えてよい。
「夢」「リスク志向」を現実の実行に移すときにモノを言うのが「戦略性」である。
理屈の戦いでは浪花節の人は戦略論にほとんどの場合負ける。だからといってその人たちが納得しているとは限らない。反感がたまれば、戦略は空振りに終わってトップの信頼は失われる。
前方の敵ばかりに気をとられていると、弾は後ろからも飛んでくる。しかし、部下の行動は上司の態度の反面鏡でしかない。部下とのスキンシップと後見人へのコミュニケーションを絶やさないこと。
ハイリスクの仕事に敢えて挑戦してトラブルに直面した人は、それ見たことかと意外に冷たい周囲の態度に二重の孤立感を抱く。勝てば官軍は世の常だ。しかし落ち目感、行き詰まり感の心理を若いうちに経るのは、経営パワー醸成プロセスの必修科目だ。
絞りと集中の戦略を細心の注意でバランスを図りつつ走り抜く戦略的トップが求められている。しかしそれだけならアメリカに掃いて捨てるほどいる経営のオペレーターにすぎない。日本人として大きな心の器を持て。
新製品を導入してしばらくは、いつ風が吹き出してくれるのか不安な時期が続く。当事者としては一番精神的にキツく、この時期が長いと営業マンも気力を失いかける。しかし勝負はこの無風期間にすべきことを全て完全に実行しているかどうかだ。リーダーの「我慢の胆力」と「見識」が試される時期だ。
戦略型のボスに求められる最大の課題は、マキャベリズム的方向に行かずに、どれだけ精神的に余裕を保って浪花節的心情を持てるかだ。
ユーザーがこちらの知らない独創的な使い方を試すというのは、技術に奥があるということだ。
弱小企業は、先鞭をつけたつもりが大きな競合反応に火をつけただけで最後に敗退してしまうことが多い。僅差でよいからどこまでも先頭を走り続けられるセグメント戦略を考えつかなくてはならない。
経営者が迷ってどうしてよいか分からないときは、その決断が本当に難しい内容である場合よりも、実は十分な情報がそろっていないために「見えていない」ことがほとんどだ。
対競争の時間軸を短くするためには、社内の仕事のプロセスを見直すか、提携、ライセンシング、合弁企業、OEM、フランチャイズ、人材導入、コンサルタントなどの時間圧縮の武器を導入する必要がある。
「成功のシナリオ」を立てるときに考えるべきチェック項目は競争・戦略・組織・損益・資金の5つ。
成功のシナリオではスタートポイントは「競争」である。そして「時間軸」も多くの場合「競争」で決まってくる。逆の言い方をすれば、戦略のチェック・サイクルを回す場合の入口は、時間軸を最も厳しく縛ると思われる要素から始めるとよい。
成長管理で大切なことは、外部からの人材補強、組織作りの限界に合わせた事業展開のペースづくり、外部経営資源の導入など。そうした対策が有効に打てないなら、意識的に事業展開のスピードを落とす。経営トップが自分の欲を抑えて事業の絞りをますます鮮明にし、戦いの内容をシンプルにしながら成長管理を狙うのである。
社員1000人の会社でも5000人の会社でも、トップのマネジメント・チームは3人がカギである。それぞれの得意分野に一家言を持ち、お互いに尊重できる人たちの組み合わせだ。