この映画はひどい。見る価値がない。脚本がひどすぎる。

どれほど撮影に苦労しようが、素晴らしい映像だろうが、映画という物は成り立たない。

俳優が出てきて台詞を言い始めたとたんにこの映画の駄目さがわかってくる。書き割りのような人物。薄っぺらなキャラ設定。役所広司、浅野忠信、松田龍平、香川照之がそれぞれ見事な演技をするのだが、台詞の陳腐さ、カット割りのへんてこさに苛々してくる。

厳しい登山に伴う雪崩、落石、転落、遭難など、ことごとくサスペンスゼロに描かれる。本当に危険な雪渓を歩いているのだろうが、登場人物たちの内面がまったく描かれていないから、なにも感じることができない。本当に山に籠もってものすごい映像を取っているんですよ、といわれても、それだけではまったくすごいと感じられない。

逆に、全部セットやCGで撮ったとしても、はらはらするドラマや、危険を顧みず任務を淡々と遂行する男たちの感動物語は描ける。

香川照之の演技には惚れ惚れさせられる。浅野忠信もいい。演技がうまい分、台本のひどさが際立つ。俳優たちにはどうしようもない。

二時間近く映画館で座っていることが苦痛だった。腹が立って外に出てしばらく悪態をつき続けた。とにかくひどい。ひどいよ。
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もう9年も前だ。「朗読者」を読み、切なさに涙を流した。
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久しぶりに映画を見たくなり、この「愛を読む人」を見た。

15歳の少年と、36歳の中年女の切ない物語。本で読むと主人公の少年にすっと感情移入できるのだが、映画で見るとつらい。ケイト・ウィンスレットのごつい裸があまりにリアルで、少年の気持ちにうまく感情移入できない。優柔不断なまま大人になった主人公の行動も歯がゆい。

でもこれは原作通りなのだ。映像で表現する映画と本との違いはいたしかたない。

ケイト・ウィンスレットは、俺の好きな「エターナル・サンシャイン」で、キルスティン・ダンストやジム・キャリー、イライジャ・ウッドと好演していた。あのオレンジ色のパーカーが忘れられない。

今度の映画のケイトは頑張った割には報われない。ぜんぜんおいしいところがない。可哀想なほどだ。

「朗読者」は本で読んだ方がきっと感動する。ある秘密が二人の関係にサスペンスをもたらす。映画でも原作にない展開を付け加え、映画としてのまとまりをつけていた。それはそれで悪くない結末だったが、本で読んだときの衝撃と余韻は味わえなかった。映画と原作は違う作品なんだから当たり前だけど。

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