自分だけの時間がこんなにたくさんあっても、無精者のMUにとっては近隣の国を一人旅しようとか、そこまでいかなくても、パリの田舎に行ってみようとか、の誘惑がわかない。

日本でしないことはパリでもしないのだ。日本で旅行に行っても、仲間が近所を散策してくる、と言って出かけても、大体は部屋で昼寝をして皆の帰りを待つ、というほぼオヤジ状態なのである。

さりとて酒好きでその方に時間を取るというのでもない。だから、いくつになっても仕事を続けるわけである。子育てが終わって何十年も経ち、孫たちは勝手に育ち、MUの立ち入る隙間はなく、寝て人生を終わるわけにはいかないから、自分の店を続けて来て本当に良かったと思っている。

50年も前のことになるが、子供を幼稚園に送り出すと、サッサと家事を済ませ、あとはすることがなく、本を持ってベッドに潜り込む日々が続いていた。要は趣味を持っていなかったのである。今思えば、この時期に趣味を育て始めた人たちがいろいろな分野で今も活躍しているのである。家庭を持つことを選んで、そして探すべきはアルバイト先ではなく自分を喜ばせる趣味を見つけることだったのである。

今でも人生で一番楽しかったことは?と訊かれたら子育てです、と答えるだろう。だから、家庭を持つことは必然だったのだ。

 

MUの場合、お店経営が趣味と言えばそうなるのかな?

50年前、これでは何のために生きるのかがわからない、と悟り、ある日ガバッとベッドから起き出して、本を捨て、仕事探しを始めたことを思い出した。

 

昔語りと反省は長くなるのでここまでとしよう。

今日「いいもの見つけた」を書き始めて、ふと昔を思い出した・・・

 

この「いいもの」は本である。三冊目のKINDLE である。昨日から試し読みを始めたジャン・ジャック・ルソーの「告白・完全版」。以前の懺悔録。

時間話忘れて読みふけるタイプの、今回のパリ滞在4冊目の本である。MUが読み終わるのに30時間と出るので、遅読とはいえ、日本ではできない一気読みがかないそうだ。実は友人とお茶を飲むより楽しい・・・かもしれない。

 

ナイショ