テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-06-17 17:54:57

小説について

小説を書いている。これは、アメンバーに最初公開させていただいたものだ。
私の自伝ではない。場面設定は、昭和48年前後の年代と思っている。
学生運動が終焉を迎えようとしていた。この時期は私にとっては重要な時期だった。未来に希望もなく、どう生きていこうかと考えていた。

その後、福永武彦や立原正秋に惹かれていった。
テーマ:小説
2011-06-17 10:45:20

月の腕輪 2(小説)

市ノ瀬綾は、高級外車を運転しながら赤坂見附の交差点を直進して外堀通りを溜池方面に向かう辰巳健郎を見かけた。
「もっとゆっくり走っていれば私に気がついたのに。」綾は呟いた。
 綾は、辰巳健郎の家族とも、彼の素敵な彼女ということで公認されている。 
 信号が赤から青に変わるのを見ていて視線をホテルニューオータニの方へ移した時、身体に響くようなゴンという音がした。目の前で車同士が衝突したのを見た。大型トレーラーが小さな軽自動車を跳ねていた、ように綾には見えた。軽自動車を運転していた若い男がガクンと運転席に突っ伏したのが見え、車はそのまま大型トレーラーと一緒に、ギュイーンという叫び声とともに高速道路の橋桁に追突した。
 綾は胸がドキドキして気持ちが悪くなりながら、大変、警察をよばなくちゃ、と思った。綾がキョロキョロと気を動転させながら当たりを見回していると、横断歩道の向こう側で、三条茂が真っ先に事故現場に駆けつけるのが見えた。綾からは交差点を渡ったところでの出来事なので、運転していた男性がどうなっているのかよくわからなかった。

 茂は目の前で交通事故を見たのは初めてだった。運転していた自分と同年代ぐらいの男が頭から血を流し始めたのを見て、咄嗟に自分のハンカチを出した。その時、赤坂見附の交差点にある交番から巡査が2人駆けつけてきた。
 「事故を見ていましたか?」年配の巡査が茂に尋ねた。
 「はい。」茂は答えながら、軽自動車を運転していた男のことを、知っていると思った。
 大型トレーラーの運転台から降りてきた小柄で色が浅黒く皺が深い角刈りの男は、茂をチラチラ見ながら何故、事故をおこしたのかを、巡査に細かく説明していた。遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。茂は、人垣の中に市ノ瀬綾がいるのを見つけた。巡査と話をしている内に綾の姿が見えなくなった時、茂は美里のことを考え始めていた。
 茂は、血だらけで意識がない男を、大学構内の学費値上げ反対デモで一緒になったことがあったことを思い出していた。彼の名前は知らなかった。
 
浜崎孝は交差点を右折しようと、マツダのキャロルを反対車線に少し出てしまったことに気がついた。彼の目の前に、もの凄く大きなライトが現出したことに心臓が飛び出るほどに驚愕した。瞬間、血が引くような感じがした。
 孝は突然、相手のヘルメットと手拭いで顔を隠した眼だけの顔を見ていた。その眼は輝きに満ちており、孝を殺戮する喜びをその眼の中に感じた。恐怖のあまり大声で叫び続けた。そして、彼は真っ暗な中に浮かんた。 

 茂は焼却した思い出の燃え滓を、薪で丁寧に崩しながら、その後にバケツに用意してあった水を錆だらけの一斗缶にかけた。一斗缶から黒く煤が流れ出たのを眺めていると、茂は情けなくなった。 
「母さん、僕、うちをでるよ。」
 茂の言葉に、洋子は平然と
「あーそう。どこにいくの?」
 夕闇が茂の背中に冷たい斑紋を刻み始めた頃、洋子は玄関ポーチの縁で煙草を咥えながら茂に返事をした。
「これから不動産屋さんに行ってくる。」
「ちょっと、待って。あたしも一緒に行くから。」


テーマ:小説
2011-06-17 10:43:59

月の腕輪(小説)

 泣きながら、茂は手紙を燃やしていた。
 一斗缶を焼却炉にしたその錆び付いた缶は、いろいろなものをその中で灰に変えてきた。茂が十二か十三歳ぐらいに茂の叔父、貴之が下宿して居たときに作ったものだから、それはもう十年ぐらい雨ざらしで、うなぎの寝床とまだ同居していたときの父がそう呼んでいた家の庭にある。
 茂は手紙を、一枚づつ丁寧にゆっくりと火に翳した。文字がゆっくりと消えていく。好きだった人の字が無くなっていく。彼女の笑った写真が炎で、醜く歪んで灰になった。
 気がつくと茂の横で大型犬のサキが、時折燃えさかる火で暖をとっていた。
 彼女との長年に渡った交換日記を焼き始めた頃、茂の母がそばによって来て、茂の隣にしゃがみ込んだ。
 「いつまでも泣いていると、身体によくないよ。」
 泣くつもりはなかった。でも、涙が止まらなかった。煙が目にしみているだけだと、茂は母の洋子に答えた。答えながらサキの頭を軽くたたいた。その合図に反応したかのように、洋子とサキは茂の元から離れていった。洋子の居た空間に、匂い袋の残り香が漂っていた。
 
 茂は、2日前のことを思い出していた。
 
 「よくあることですよ。」辰巳は、茂にいった。同じ年だったが、辰巳は落ち着いた大人の風情で静かに茂に対した。茂は自分はまるでガキのようだと感じた。茂は、持ってきた彼と彼女との手紙や交換日記を見せつけて、どうだ、お前は、彼女の本当の姿を知るまい、と言うつもりだった。しかし、辰巳健郎の動じないその態度に圧倒されて、茂は徐々に彼女との計り知れない距離を感じ、子供の時に時折感じたことのある喪失感を感じ始めていた。
 辰巳健郎は学生なのに、身綺麗な高級なスーツを着こなし、赤と青の洒落たストライプのネクタイをしめていた。高級な腕時計と、いつも持ち歩いているアタッシュケースが、瀟洒なホテルのロビーに似合っていた。
 ロビーは午前中ということもあって、空間が広がっていた。時々、茂の興奮した声がその空間に谺のように響くと、辰巳健郎はより一層声のトーンを下げて話した。
 「本当に美里さんを幸せにできるんですね」茂に言える言葉はいくつもなかった。もう勝敗は完全に決まっており、受け答えはまるで儀式そのものだった。
  茂は、辰巳健郎のひとつひとつの仕草に意識的な作為が感じられて、その演技的な実体のなさに彼の家庭環境を見たような気がした。だからというわけではないが、茂は紙袋にいれた彼女との実体のある思い出の歴史を、何ひとつ辰巳に見せることができなかった。
 ホテルから辰巳健郎は自家用車で帰っていった。
 左ハンドルの高級外車だった。茂から見ても、木場の材木商の御曹司そのものだった。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-30 13:15:18

「シベールの日曜日」

「シベールの日曜日」

私が心が彷徨っていた10代の終わりに、高田馬場にあったパール座という映画館で見た。
その時代は、苦しかった。未来があるわけではなく、かといって自殺するわけにもいかず、どっちつかずの状態で大学受験にも熱が入らず、予備校へも行けずになけなしの金をポケットから出しては、300円ちょっとだった映画で時間を潰した。時間は腐ってしまっており、青年の頭の中では、その時間が苦しさの元となっていた。親元から予備校へ行くという、臑齧りの身だったが、親が食べ物を私に与えてくれていたので、それに甘えていた。夢があるとすれば、それは、何だったのか、いまだに思い出せない。ということは、夢などはなかったに違いない。

奥さんが、映画専門番組でのPRを見ていて、シベールの日曜日をみたいと言った。さっき、録画をしておいた。

私は、シベールの日曜日を奥さんと一緒に見るなんて、あの時代には想像もできなかったことだろうと思う。月日というのは、全てを風化させて行く。記憶すらも風化させて、鏡の向こうにいる、現実の自分が、若く感じる。

5月の台風が去って、折り重なった雲の厚みは、今の時を告げている。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-25 11:16:01

オキザリス

$おいしい珈琲いかがですか?-オキザリス


Panasonic Lumix DMC-LX5  f=19.2mm
F=3.3 1/200 ISO80
撮影日: 2011/5/25 10:59

奥さんに言われてベランダのオキザリスを撮った。

さっき、インターネットラジオからスリーピー・ラグーンの演奏が流れてきていた。
私は、スリーピー ラグーンという曲が好きだ。
もう、何十年も前の子供の頃に、ラジオからこの曲が流れ始める夕方が楽しみだった。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-23 20:51:42

五月雨

五月雨を思ってみた。

芭蕉が最上川を見た刻は、朝だったのか昼だったのか午後だったのか。
その雨脚は、きっと顔に当たって痛みさえも感じさせる強さだったのかも知れない。
水嵩がぐんぐんと増して行く様を見たときの、水への恐れがあったのかも。

梅雨に入ったところがある。もうすぐ東京も梅雨入りするのだろうう。
私が幼い頃、木枠の窓ガラスを叩く雨を見ると淋しくて泣きたくなった。弱い男の子だった。
カタツムリがゆっくりとそのガラスを這って行った。外ではなく、家の中にいたような気がする。
外の庭には紫陽花が咲いていた。

紫陽花は、入院している人のお見舞いには、もって行かない方がいいらしい。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-21 18:27:21

節電

夏は暑い、というのは私が子供の頃から知っていたことである。

節電ということは、そもそもが必要以上に電気を消費しているということを前提に考えられている。私が子供の頃は、エアコンというものもなかったし、クーラーという言葉を初めて聞いたのは確か、私が小学生の低学年のころだったように記憶している。暫く、このクーラーというものは、西洋風の大きな洋館の天井に取り付けられている風力発電機の羽のようなものだと思っていた。大体が、子供と暑さとか寒さなどは友達のようなものという、そういう時代だったような気がする。本当のクーラーというものを知ったのは、百貨店と呼ばれるところに入った時だったのかもしれない。
それから50年ぐらいの間に、電気が必要以上のものになってしまった。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-20 17:50:31

静かな夜

$おいしい珈琲いかがですか?-静かな夜


Panasonic Lumix DMC-LX5  18mm広角レンズ使用
マニュアル撮影
F3.3 1/15 ISO400 2011/5/4 21:14

相変わらず揺れている。
テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-20 17:29:10

月を見て

$おいしい珈琲いかがですか?-月


Panasonic Lumix DMC-LX5  18mm広角レンズ使用 望遠
マニュアル撮影
F2.6 1/4 ISO400 2011//5/18 21:33


ベランダ越しに月がゆっくり動いていく。
月の模様がくっきりと見えた。

東京の郊外でも星が見えにくかった。
いつか、山で、テントから見上げた真っ暗な空には煌びやかな星々が瞬いていた。それは、私の記憶に残っている。

心なし、空が暗くなったような気がする。無駄な広告が消えて静かに夜が進んでいくような。


テーマ:おいしい珈琲いかがですか
2011-05-16 12:31:23

狹山公園

$おいしい珈琲いかがですか?-tamako

F8.0 1/1000 ISO80 撮影日:2011/05/04 15:13:34

西武園駅から、なだらかな坂を道沿いに数分歩くと、多摩湖に入る交差点にあたる。
昨日はちょっと風が強かったが奥さんと散歩に行った。
狹山の丘陵の向こうに奥多摩の山並みが見えた。

若い男の子達がスケートボードを使いながら煙草を吸っていた。たまに行き交う人が、静かに話している。

二人で歩く、1時間くらいの散歩は楽しい。

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