2010-08-22 23:25:58

けいおん!における建築的考察 7 「澪の家編1」

テーマ:たてもの二次元
けいおん!登場の主人公たちの家の中で、一見もっとも普通じゃないの?
と思われた田井中家でもいろんな不思議が見られました。
すると、秋山澪さん家はどうなんでしょう。

桜ヶ丘高校軽音部で部の存続に尽力していた律ちゃんの親友に
秋山澪(あきやま みお)さんがいるわけですが、
キャラクター的には大人びた雰囲気とは裏腹に人見知りしやすく淋しがり屋という設定です。
そして担当楽器はベースで目立つことがイヤ、でありながらなんだかかわいらしい作詞をします。

そんな、複雑なキャラ

それに合わせるようにか、澪さんの家は純和風テイストなんですね。
こんな感じです。

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いわゆる切妻造りの木造和風住宅といった趣きですが、
最近のローコスト対応の総2階ではなく、
1階の方が2階より大きい昔からの日本の木造住宅のプロポーションです。
特に特徴的なのが妻面の換気縦格子のデザインですね。

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ここらあたりの和のテイストは戦前戦後の日本建築の美を現代化するのに尽力した
吉田五十八(よしだ いそや)という建築家を彷彿とさせます。

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吉田五十八 1894(明治27)年生まれ 
数奇屋建築の近代化に尽力、ヨーロッパのモダン建築や古典建築に触れ、それらが彼の地の伝統や民族性から成し得た建築様式であることを看破。それなら日本人である自らしか作り得ない建築表現とは何か?を追い求めることで、近代日本において過去の建築様式として忘れ去られていた数奇屋建築様式を再発見、その近代化を推し進めた日本建築界の巨匠です。

この先生の功績を記念して、建築界の芥川賞と呼ばれる「吉田五十八賞」というものもありました。日本の著名な建築家はみなこの賞が欲しかったものです。

数寄屋建築というのは安土桃山時代の茶人に端を発する「数寄屋づくり」のことです。
それまでの「書院づくり」における格式や身分の表意というものを取り払い、自由につくった茶室のつくりです。
こうした茶人や歌人などの芸道や芸術に没頭するひとたちのことを「数寄者」とも呼びます。
ちょうどコミックモーニングで連載中の
戦国から江戸にかけての茶人大名古田織部を主人公とする人気漫画「へうげもの」などを読んでいただくと、その辺の案配がよくわかるでしょう。
この「数寄屋」の軽ろみや洗練を、現代建築に繋ぎ合わせたのが巨匠吉田五十八です。
吉田五十八の凄いところは、いわゆる個人的な好み、あくまで工芸的な芸術作品空間を、日本の伝統に根っ子を持った現代建築として、モダンデザインに接続したことなんです。これによって日本の伝統空間や意匠がグローバルな評価につながっていったことです。
しかも、お茶を初めとする日本の伝統的な芸事では重要な「用の美」を兼ね備えて。
そこらあたりが、コンセプト(社会変革の仕掛けや哲学的解釈)中心主義の西洋現代建築と違うところです。

その五十八好みと言われる建築空間は

かっこよく暮らしやすい、
洗練されながらも教養にあふれる、
モダンでありながら伝統的
洒脱でありながら威厳がある

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そこらあたりが難しいわけです。
安藤さんのRC打ち放しの住宅なんかは、かっこいいけど「寒暑」暮らしにくい。
妹島さんの白い箱形空間は洗練されているけれど、潤いに欠けますし。
隈さんのように「今!何?」を追い求め過ぎると無国籍ビックリ食材料理になります。
石山さんや藤森さんのように洒脱にかまえすぎると、街中で「おふざけ」に見えます。

今、吉田五十八のように大人の気構えや、素材の吟味、日本の伝統に対する真摯な気骨的精神をもって、颯爽と粋な建築家っていうのが、全っ然いないんです。

そのため、吉田五十八の建築は多くの著名人や財界人からも愛されています。
画家の川合玉堂、梅原龍三郎、山口蓬春、俳優の中村勘三郎、水谷八重子、政治家の吉田茂、岸信介などそうそうたる方々が施主です。
また、吉兆など多くの料亭も手がけています。
立替により
取り壊されたあの東銀座の歌舞伎座も吉田五十八の設計です。

ということで、「澪やっぱり和風=日本建築」ということで終わりにしようと思ったんですが、

エピソードでは玄関と澪の部屋しか出てこない澪の家を図面化しようとしていて
あれっ、これ本当に木造なの?
という部分に気付いたわけです。

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それは、この澪の部屋において特徴的なコーナー窓の処理です。

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FIX窓、もしくは嵌め殺し窓と言われる開かない窓ガラスと開き窓の組み合わせが、
設計者の関与をうかがわせる処理ですが、
ちょっとかわいらしいビビッドなロールブラインドがかかっている窓のコーナー。

そこに明らかに構造柱がないんです。
サッシの枠としての太さしかない!

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これは、一般的な在来木造ではほぼ不可能な処理です。

えっ、何々?澪さんち木造じゃないの?

これだけの大屋根の加重や桁を受ける木造で隅柱がないとすると、
おそらく窓の天端は先端で下がります、下がるだけではなく

もう一度よくよく2階の外観の壁面構成を観察すると、
在来木造では外壁周りの構造的壁量が足りない。

そう考えてみると、澪の家は外壁面に対する開放性が1、2階ともにすごくあるんです。
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2階の奥は3尺窓の五枚連窓ですし、よく考えれば2階の角から1階にそのまま柱を落とすと
1階の部屋に柱がバンバン出てくることになる。

この建物はデザインそして素材こそ和風木造建築に見えるが、これは在来木造ではないです。

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そして建物のコーナーを、開口部としてここまでの広さで開放していくとなると、
この家は実は鉄骨造ということになる。

しかも、鉄骨造の建物というのは一般的に鉄骨と仕上げ部材を接合する場合に、
なるべく工業的な処理をしたがるため、
パネル形式のシステム建材になってしまうことが多いので、
本格和風テイストが出しにくいんですよ。

鉄骨造で瓦を載せ、漆喰壁となるとこれはなかなかの一級建築士が設計に関与している可能性が大

けいおん!メンバーの家の中でもこの澪さん家は結構予算がかかっている家ですぞ!
これは

つづく

コメント

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1 ■ふかいいいい

そっかー、S造かあ。

2 ■ほえ~…

気になってまたまた来てみました~

なんだか通してみているとやたらとマニアックなつくりが多いんですね…
京アニの人すごいな…

でもりっちゃんの家がリフォームしてるなんて気づかなかった…
少ない情報でかなりのことが分かるって管理人さん建築家の相当のレベルの方ですね…

自分は建築とかは分からないんですが素人からしても読んでて面白い記事です^^

これからも更新がんばってください!!

3 ■Re:ふかいいいい

>たくやさん
コメントありがとうございます。
そうなんですよ、どうやらS造みたいなんで一級建築士関与案件であることは間違いないようです。

4 ■Re:ほえ~…

>通りすがりですさん
コメントありがとうございます。
そう言っていただけるととても励みになります。
建築のジャンルっていうのはなかなか一般に知られにくいところがありまして、それを分かりやすくできたら、、と思っています。

5 ■無題

超絶どうでもいいんですが吉田先生かなりの未来生まれですね
どれだけ時が流れようとも和の心を大事にするというのは素晴らしい事だとと思います

6 ■Re:無題

>とくめー匠さん
ご指摘ありがとうございます。
物凄い未来人になっていましたね、(笑)でも1万7000年後にも和風建築が残っているといいですね。
18948→1894直しときました。

7 ■木造でもいいのでは

我が家は住友林業の注文住宅ですが
コーナー窓に柱はありません。
昔はやったデザインを採用しています。

玄関の大きな柱は気になるところですが、子の家は別に木造でも建てられるのではないかと思います。

8 ■Re:木造でもいいのでは

>あっきーさん
コメントありがとうございます。
そうですね、木造でも建設可能かもしれませんね。
そういった方向で再度検証してみる手もありますね。

9 ■1/100秋山邸

なんだか1/100秋山澪邸の模型を作っちゃった人いるみたいですね。
ま、まさか森山さん?w

ttp://apricotcomplex.com/archives/51701043.html

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