建築エコノミスト 森山のブログ

マンガ建築考の森山高至が「たてものと生活と社会と文化」を考えています。
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レンゾ・ピアノと共同してポンピドーセンターを設計したのが、
リチャード・ロジャースです。
まあ、いうなればハイテク建築界のポール・マッカートニーですね、この人は。

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ポンピドーセンターの設計デザインの後に有名になった建築作品にイギリスのロイズ本社があります。
もっともハイテク感あふれる建築の代表といってもいいでしょう。

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レンゾ・ピアノがハイテクに自然の秩序を持ち込もうとしたことに比較すると、
この人は徹頭徹尾ハイテク。
ハイテクというよりもむしろ、過剰なまでのマシン感を建築に持ち込んだ人として記憶しています。

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建築の構造部と外装部と循環器系をきっちりと切り分けて、
なおかつその状態をあからさまに見せ付ける建築デザイン表現に多くの人たちが度肝を抜かれました。
それがロイズ本社だったのです。

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極限状態の自律物体として建築を考える。
支える構造、包む外皮、投入されるインフラ、それらをつなぐ循環系ネットワーク、そのままを剥き出す。
いうなれば、アポロ着陸船のような一切の無駄を排した機能美のような建築を構想したと言われています。


いうなれば、工場のような状態。
むしろ、現代の建築が隠蔽している空調や給排水といった建築空間の機能を縁の下で支える、インフラや設備系の実態の様相をそのままにあらわにする。
そのことこそが、現代の建築を表現する唯一の方法だとでも言わんばかりの容赦のなさなんです。

だから、チャールズ皇太子からも怒られています。
醜悪だと。
イギリスの伝統建築を破壊するものだと。

しかし、このロジャースの出来上がった建築のリアリティを目の当たりにして、
我々はいかに答えればいいのか苦しみます。

確かに、その通りではある。
現代の建築空間は高層にまで人を運ぶためのエレベーターなくしては成り立たないし、
真夏の暑さを空調で乗り切らなければならないし、
大勢の人たちが働く高層スペースでは、大量の給水が必要だし、
結果としての使用済み排水、排泄汚水といったものが循環している事実。

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それに加え、それらの設備系統を駆動させる電力、相互通信のためのネットワーク、
そういったものが現代の生活空間、建築空間を成り立たせるためには不可欠なんです。

その事実を突きつけてくるロジャースの建築作品群。

そういった意味では、ロジャースの建築作品は未来的な都市の、
ドライな結末を見せてくれているのかもしれませんね。
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だからなのか、街並みの伝統的なモチーフとか、
地域の固有性とかを失ったかに見える日本の首都東京になぜか親和性をもって向かえられています。
あまり知られていませんが、ロジャースの建物は意外と日本に多いのです。

バブル経済華やかしきころ、一人の酔狂な不動産デベロッパーが日本に招聘。
ロジャースの事務所を設立させていたんですね。
その会社はケイワンといいます。そしてその会社を率いていた社長は久枝壮一。
この人はちょっとすごい人だった。
まだ、なんにも現物の建物を実現できていなかったザハ・ハディドにも事務所を提供し、数件の建築作品を建てさせようともしていました。
私は斉藤裕先生のところで修行時代の若いころ、この当時のロジャースの事務所を何度かのぞかせてもらったことがあるんです。

いくつか都内で物件を実現させています。
例えば、新宿歌舞伎町の裏通りとか、、
飯倉の白井晟一のノアビルの隣にもビルの計画が進んでおり、ポンピドーセンター張りの鋳物の構造部材が既に晴海ふ頭まで運ばれていました。
しかし、当時の不動産金融の総量規制、いきなりの金融情勢の変化。
既に着工しようとしていた、もうちょっとだったんです。
久枝社長があんなにがんばっていたのに、、、

幻の東京フォーラムのコンペ案も会議場を巨大な空間のユニットとして吊り下げるといった、宇宙構造物的なアイデアであり、サンダーバード2号のコンテナのような凄い提案でした。

これらロジャースのハイテク建築を見て思うのは、
出来上がった建築の未来感覚、ディテールのメカニズムといったものに目を奪われがちなのですが、
実は、ロジャースの根本的な意図は別なところにあるのではないか、と考えられるのです。
ロジャースの計画時のスケッチでは意外なくらいの、クラシシズムなんですよ。
ちっともメカニックではない、むしろシルエットの陰影などは中世の教会のごとき陰影。

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つまり、ロジャースが目指していたものは、中世ゴシック建築のような技術による建築空間の神話性。
現代における伽藍や教会のような、技術による超越的な意思の表現。

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そこらあたりがレンゾ・ピアノとは一線を画すところなんでしょうね。
その辺りがロジャースを少しキワモノとして認識させている所以なんだと思います。

そういった意味では、ロジャースのハイテクなマシニズムとは、
現代の技術や建築のおかれている状況を誇張したひとつのデフォルメとして考えることができるでしょう。

だから、なんとなくロジャースの方が、
レンゾ・ピアノの聖人君子然とした取り澄ましたような感じよりも、
ちょっと間抜けで色っぽく、過剰で突き抜けていて、
女性にモテるような悪っぽさをもった面白さがあると思います。
ポール・ニューマンにも似ていますしね。

そのロジャースが最初に組んだメンバーが、
これまたエンジニアリングデザインの権化、
どこからも非難のつけようが無い優等生建築家ノーマン・フォスターです。
次は、ノーマン・フォスターについてご紹介します。


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