2011-07-26 15:44:11

「成唯識論」(唯識派:護法):総論

テーマ:大乗仏教
インド・チベットの大乗仏教で、中観派と並ぶ2大学派の一つが唯識派です。
唯識派は「瑜伽行唯識派」と呼ばれるように、もともと瞑想修行の実践を重視した派であり、後の密教にもつながります。


唯識派は、アビダルマ論師の哲学に対して、瞑想を主に行う瑜伽師の立場からの批判を込めた思想です。

「唯識」とは有為法の中では、認識する心の働きである「心(王)」のみが実在とするという意味です。
しかし、認識する主体と対象の実在性は認めません。
色法は、心の働きの対象として仮に存在するだけでなのす。

唯識派の観法は「唯識観」と呼ばれますが、それはこの「唯識性」を認識する観法です。
そのため、唯識派の修行では、以前の他派に比べて、認識そのものを対象にした認識が重視されます。

「止」、「観」の瞑想の対象が、心の過ぎないので、「法無我」であり、心の主体も実在ではないので、「人無我」であると、瞑想を進めます。

*唯識派の教義については姉妹サイトの「瑜伽行唯識派」をご参照ください。


唯識派の修行体系のほぼ完成した段階を示す「成唯識論」の修行体系を紹介します。
「成唯識論」は世親(ヴァズバンドゥ)が著した「唯識三十頌」を護法(ダルマパーラ、6C)等が注釈したものをまとめた書とされていますが、中国でまとめられたのではないかという説もあります。

「成唯識論」の修行体系は、中観派(般若学、「現観荘厳論」)と同じく、「五位(五道)」と「菩薩の十地」を基礎としています。
「五位(五道)」は、「資糧位(資糧道)」、「加行位(加行道)」、「通達位(見道)」、「修習位(修道)」、「究極位(無学道)」の5段階です。

「資糧位」の段階では、教説を学び、利他を行いながら、初歩の「観」も行います。
「加行位」では、唯識派独特の観法によって、後天的な煩悩を抑えます。
ここまでが凡夫の段階で、次からが聖者の段階(菩薩十地)です。
「通達位」では、菩薩の初地に入り、「無分別智」と「後得智」を得、後天的な煩悩を断じます。
「修習位」では、十地まで進み、先天的な煩悩と所知障を断じます。
「究極位」では、「四智(下記参照)」を得て、仏地に到達します。

唯識派は大乗仏教ですが、独自のダルマの体系を作りました。
説一切有部ではダルマの体系は、5位75法ですが、唯識派(成唯識論)では5位100法です。
特に、心(心王)は、説一切有部では1法ですが、唯識派(成唯識論)では、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識の5識と意識の他に、「末那識」、「阿頼耶識」の8法を立てます。
「末那識」は自我意識、「阿頼耶識」は煩悩や智恵の種子などがある潜在意識です。

「五道」の修行を行うことで、8つの「識」が4つの「智」に変化します。
これを「転依」、「転識得智」と言います。
「識」は煩悩がある有漏の心の働きで、「智」は煩悩がない無漏の心の働きです。
「四智」は具体的には、下記のよう変化して生まれます。

 ・「成所作智」:「前五識」が無学道で変化する。
  人を助ける実践を行える智慧。
 ・「妙観察智」:「意識」が変化して見道で生まれ、修道で成長し、無学道で完成する。
  すべての存在、自他が平等であると認識し、慈悲の心が現れる智慧。
これが「後得智」です。
 ・「平等性智」:「末那識」が変化して見道で生まれ、修道で成長し、無学道で完成する。
  すべての存在の個別相と共通相を正しく認識し、説法を行える智慧。
 ・「大円鏡智」:「阿頼耶識」が無学道で変化する。
  完全に清浄で、概念なしにあるがままに意識を行う智慧。

また、「四智」と共に、「仏の三身」=「法身」が獲得されます。
 ・「変化身(応身)」:普通の人を救うための肉体の体。「成所作智」と共に生まれる。
 ・「受用身(報身)」:菩薩を救うための霊的な体。「平等性智」と共に生まれる。
 ・「自性身」:真理そのものの体。
一般に「法身」というと「自性身」のことを指しますが、「成唯識論」では「仏の三身」全体を指して使います。
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