Not Love,But AFFECTION

落花流水


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「これ、おいしいよ。」
顔を上げて、あきらがニッコリ笑う。
「よかった。最近買い物に行けてないから本当にありあわせなのよ]
ビールを飲みながら、答える。

あきらと知り合ったのはもう、15年前である。
5つも年下とは思えないほどしっかりしている。
5年前に結婚したが、私の部屋への出入りは相変わらずだ。
あきらと彼の妻りんねは本当にお似合いのかわいらしい夫婦だ。
二人とも深く強く愛し合っている。
しかし、二人ともお互いへの愛が深すぎるのだ。
相手が大切すぎて、行き詰まってしまった。
それから、あきらは独身の時と同じように、私の部屋に出入りするようになった。
泊まることもある。
私の部屋に一つあるダブルベッドで私たちは音楽を聞きながら、
(時には一緒に歌いながら)手をつないで眠る。
私たちが体を重ねることはない。
抱きしめあったり、頬へのキスくらいはするが、
それは家族の間で行われるのと同じ感覚だ。

この提案を言い出したのはりんねだった。
あきらは最初少しだけ驚いて、そして納得した。
最初は私は戸惑った。

私の驚きとあきらの驚きとは少し意味が違うようだった。

私はりんねの提案自体が理解できなかった。
だが、あきらはそんな素晴らしいことを、りんねが思いついたことに
驚き、感動すらしていた。

結局、幾度もの話し合いの末、りんねの提案を受け入れることになった。
そのうちばかばかしさに気づくだろうと思っていたが、
もう3年も続いている。
そして、もっと驚くべきことに、あきらが昔と変わらないペースで
私の部屋にくるようになってから、二人の仲は安定し、
以前にも増して愛が深くなったように思える。

「で、最近仕事はどう?」
食事をすっかり平らげて「おごちそうさま」と手を合わせてから、 あきらが聞いた。 「んー。まずまずかな。だいぶん落ち着いてきたわよ。」
あきらに2本目のビール渡しながら答える。
「彼とはまだ、発展しないの?」
ごくんと喉でビールを飲みながらあきらが言う。
「彼って?」
本当に一瞬誰のことかわからなかった。
「新しい部署を立ち上げてる、彼」
あきらがオーディオのリモコンを押す。
「発展って。どうして?発展するの?」
本気で驚くわたしを優しい瞳で見つめ返すあきら。

chicagoのHard To Say I'm Sorryが流れている。
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30代。女。独身。子供なし。
世間では「負け犬」というらしい。
でも、たぶん、「負け犬」と呼ばれている私たちが
本当は「負け犬」ではないことを、私たちも世間もわかっている。
だから、逆にネタになるのかも知れない。

そんなに肩肘はって生きているつもりはない。
男とか女とか関係なく、一社会人としてすべきことを
会社の中でやっていたら、普通に認められて、今の地位に
たどり着いた。

仕事一筋にいきてきたわけではない。
表向きは「彼氏いない暦10年」といっているが、
中学生で初めて、彼氏ができてからは
(といっても、当時のことなので本当に本当に「清い」というか
「かわいらしい」というかおままごとみたいな恋だったけれど)
彼氏がいなかった時期はほとんどない。

20代の頃には「俺か仕事か」って、思わず殺意を抱くほど
背筋の凍るようなことを言われて、「仕事」って答えて大喧嘩に
なったりしたこともあるけれど、30代になってつきあってきた彼氏は
そんな馬鹿なことは言わない。
多分自分たちも、昔つきあっていた彼女に同じこと聞かれて、
いやだったんだろうなと思う。

ただ、ここ半年くらいは彼氏がいない。

半年前に恋に落ちたから。

今年の4月に新しい部署ができることになった。
その部署の立ち上げに、大阪支社から転勤してきたのが「彼」だった。
最初は不安だった。
一部私の部署から切り離す案件があって、当然それは私の部下が新部署に移って
引き続き受け持つと思っていたのに、私の部署からの異動はなく、
「彼」の采配でやるから、引継ぎは充分行うようにとの上からの指示だった。

一度引継ぎの顔合わせに同席してからは、実際の引継ぎは部下がしていたので
「彼」とは社内であったときに挨拶する程度で、別段なんとも思わなかった。

5月のゴールデンウィークが終わり社内が落ち着いてきた頃、
私の部署と彼の部署の親睦会が行われた。
そのとき「彼」が近寄ってきて引継ぎに関してお礼を言った。

「田辺を誉めてあげてください。実務を執り行ったのは彼ですから」
ほほえみながら答えると
「田辺君には感謝しています。けれど、的確な資料作成の指示や確認を
 していただいて、先方さんへの根回しをしていただいたのが、室長だと
 田辺君から聞いていたものですから。」
まっすぐな目で「彼」は答える。
「お役にたててよかったです。もう、大分落ち着かれたみたいですね。」
私も、まっすぐ視線を返す。
「すみません。本当はもっと早くにお礼を申し上げるべきでした。」
ちょっと首をかしげて「彼」がいう。
「新部署の立ち上げのすさまじさはわかっていますから。」
そう、私も2年前に今の部署の立ち上げをそれこそ、ぼろぼろになりながら
したことがある。
私たちは同じ修羅場をくぐった者同士、笑みをかわした。







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