猫に未来はない

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 唐突に詩人長田弘の著作「猫に未来はない」のことを思い出しました。この本を読んだのは多分、まだ大学生の頃だったような気がします。
 詳細はもう忘れてしまいましたが、猫の脳には前頭葉のなんたらという部分が欠如していて、それゆえに猫には、未来を考える力がないのだとか。前頭葉は未来を知覚する能力をつかさどるのだそうです。私はこの本ではじめてそれを知って、それはそれでまた衝撃だったんですが…。
 だから猫は犬よりも交通事故にあう確率が高い。だって猫は未来を予測できず、「今」しかないんですからね。

 実家には26年飼っていた「トラジャ」というキジ猫がおりました。そもそも私が大学時代、先輩から譲り受け、下宿先のアパートでこっそり飼っていたのです。卒業してアパートを引き払うときに実家の横浜に連れ帰り、以来、母がお世話係をしてくれたのでした。



 異常に長寿だったので、横浜市から動物愛護週間に表彰されました(笑)。

 …一緒に表彰状を受け取ったのは、アヒルでした。


 そのトラジャは今年の1月、天寿をまっとうしました。ひっそりと息をひきとったといいます。あまりにも長寿で元気だったので、家族の間には「コイツは、死なないんじゃないか?!」という気持ちもありました。特に長年お世話係をしていた母はかなりがっくりきていました。もちろん私もショックでした。
 ただ猫ゆえに、「もっと生きていれば、まだまだこんなことができたかもしれないのに」ということを考えられなかったんだ、と思うとそれで少し気持ちが楽になりました。

 人間も、猫のように未来のことを考える力がなかったら、それはそれで幸せに生きられるのかもしれません。将来に対する不安がありませんからね。

 でも幸か不幸か人間には、未来を知覚する能力が備わっています。それはきっと、神様が試練と同時に、それを克服する喜びという果実を人間に与えてくれたからかもしれません。
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