東京俳優市場 2008春 4月1日・2日ソアレ

2008-04-03 08:06:18 テーマ:舞台芸術
2008 4月1日(火)・2日(水)17時開場 18時開演 南青山MANDALA

avexグループに所属している芸能事務所各社が、これから売り出そう、あるいはもう一押ししようという俳優・女優が出演する顔見世ショーケース公演。

ということで、一般的に宣伝して芝居好きにお披露目という公演ではなく、制作関係者に対するプレゼンテーションの場というニュアンスも濃い。
会場はavexの牙城である南青山MANDALAという収容人員100人程度のライブハウス。
役者と観客の距離が近いこともあって、間近に演技を感じてもらい、評価してもらうことを狙っているのだろう。
出演者にとっては日頃の切磋琢磨の成果を見せるチャンスであり、ベテランも配しての本格公演である。

今回はショートストーリーの3本立て。
それぞれ3~5人のメインキャストにサブ的な数人が絡むつくりになっていて、お話としては完結している。
脚本・演出もそれぞれ違うので、チーム対抗の演技合戦の様相もでてくる。

今夏の3本に共通しているのは「おせっかい」。
人間関係が希薄というよりは険悪になりつつある現代に、偶然だったり必然で隣り合わせた人が思わぬ展開に濃密に接していくことで、深い「人と人のつながり」が生まれる、という語り口は共通している。
これは、30分程度の短い芝居の中で起承転結がしっかり作れるということもあるし、会話のメリハリが付けやすいということもあるだろう。二人の人間の対話を描くのでは短さがどうしても足手まといになる。
今回はBチームの公演を2回見たのだが、脚本とキャストの親和性が高いところをみると、役者に合わせた当て書きの部分もあるのではないだろうか。
このあたりは、プロダクションの思惑も含め、売り出したいキャラクター設定もしっかりと反映させているのではないだろうか。

ということで、以上が前振り。

以下は2回観劇した舞台のレビューだ。

まずは「夢は水に・・・・」。
これは須藤凌汰・宍戸叶多・田中絵瑠の3人のジュニアクラスの役者のためのお芝居だ。
1日は出だしで先生役の藤咲舞が作った相手の台詞を受け切る前に自分の台詞が出てしまう先走り現象が伝染して、役者同士の息の間合いが壊れてしまった。
2日になるとそれが修正され、脚本の狙いである「堰を切ったらウザイぐらいに親身な姿」がしっかりと浮き彫りにされた。
若い人に活き活きと芝居させる難しさと、上手くいったときの爽快さとの両面を見た舞台だった。

ふたつ目の「Re:」は今回一番安定していたチーム。
こちらは藤村一成と志摩夕里加のテンポのよいやり取りが安定していて初回からきれいな流れに乗れていた。
設定が見えないメールの相手を想像しながら自分たちの想像をめぐらすというつくりで、狭い舞台を逆手に取った演出も上手く嵌った舞台だった。
2日の舞台では奈緒美役の庄山明奈の変貌振りに驚かされた。
1日の舞台での棒を呑んで固まってしまった演技と比べると、まさに豹変。
自分の中で役が感情に溶け込んでいて、溢れる感情を上手く表現していた。
それを受けて客席にも感情の波が伝播していくのが感じられたほどだったので、この演技は見事だったといえるだろう。
藤村と志摩はしっかりとチェックしておきたい役者という印象が残る。

最後の「パンクロックなバス停」。
社会人VSパンクロッカーという既成概念とそれを嫌う若者の構造を使いながら、平凡に見える一般人と非凡の塊のような芸能人との差異を逆転させていく手法は、ひとりひとりの役者の演技の幅が問われるので難しい芝居だったように思う。
しかも、それをシリアスドラマではなくコメディ仕立てに持っていくので、「一人の中の落差」はさらに大きくなる。
このチームも1日目は硬くて、稽古どおりにこなすのが精一杯のように見えたが、2日は一転して大きな振幅を見事に表現していた。
目立っていたのは佐藤匡美と水田芙美子。既に多くの出演作を持っているだけに、基礎体力がある。
この二人の役柄は逆に置き換えてもできるだろうなと思いつつ、安定よりチャレンジをという心意気も感じられる演技だった。
特に水田芙美子の終盤の演技は客席も巻き込んでのコメディエンヌの側面を見せていて、新たな活躍の場を見出せそうな勢いだった。舞台は初挑戦ということだが、まだまだ爆発力はこんなものではないだろうと今後に期待できる。
男性陣では原幹治が目立っていたが、まだまだ荒削りな印象。横谷豪紀の安定したパンク男ぶりは佐藤とのキャリア組を配した効果だったと思う。


最後に、各話を結ぶストーリーテラーの松村穣。
良くも悪くも安定。
しかし、各話の味付けに沿っていないので次の話に入りやすかったかといえば、難しかったと思う。
もう少し黒子で行くのかそれとも狂言回しで行くのかの決めが欲しかった。

このavexグループの催しは年に数回あるようだ。テレビ、映画、舞台などで活躍するであろう芸能人をブレイク前にみられる貴重な機会として、注目しておきたいと思う。



1.演劇「夢は水に・・・・」 作:hana 演出:大岩美智子(劇団ジュークスペース)
     出演:岩田陽一(タイムリーオフィス)
        須藤凌汰(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        宍戸叶多(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        田中絵瑠(ベリーベリープロダクション)
        仲島義侍(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        藤咲舞(ワンダー・プロ)
        南ゆか(タイムリーオフィス)
2.演劇「Re:」 作&演出:松本陽一(劇団6番シード)
     出演:小沢和之(劇団6番シード)
        志摩夕里加(プラチナムプロダクション)
        田中由紀子(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        庄山明奈(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        藤村一成(タイムリーオフィス)
        前山奈津巴(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        村井清崇(田辺音楽出版)
        山口勇作(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
3.演劇「パンクロックなバス停」 作&演出:矢城潤一
     出演:上村弘樹(ダブルアップエンタテインメント)
        佐藤匡美(ケイダッシュ)
        中山桃子(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        原幹治(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        水田芙美子(プラチナムプロダクション)
        森沙綾香(エイベックス・プランニング&デベロップメント)
        横谷豪紀(タイムリーオフィス)
  ※ストーリーテラー:松村穣


コメント

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1 ■水田芙美子さん

ブログを拝見しました。

題名と記事のタイトルが面白い・・・(^▽^;)
すごい生命力と活気に正直驚きました
モヤシのような私は
時々こんな「火鉢」にあたりたいものです

キッカケをありがとうございます。くま編さん♪

2 ■なんてったって(^∇^)

佐藤薫さん>

そうそう水田芙美子さんのブログが刺激となって
弟ブログを始めてしまったくらいです。

ご本人はモヤシに近いほど細いスタイルですが
骨太の文章に切れ味鋭い言葉が飛び出すので
もはやこの人なしでは創造力が枯渇してしまいます。

3 ■ありがとうございました

的確な批評ありがとうございました。
全くそのとおりです。
勉強になりました。

4 ■藤咲舞さん>

ご丁寧にコメントいただき、ありがとうございます。

あくまでも私monlivre21の感じたことを書いただけです。
イメージとしては
「波縫い」で流れて欲しいところが
「ひと針半返し」になってしまったかな
という感じでしたが
それはホンの些細なひっかかりでしかありません。

2日目の見事な演技では
素晴らしいお芝居のタペストリーが仕上がったと思います。

また、機会がありましたら、ぜひ舞台を拝見させていただきます。

5 ■無題

東京俳優市場見に行きました。Re2日めが良かった。二人の女の子めちゃくちゃ可愛いかったです内容も一番楽しかったと思います。

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