2004年12月08日

TURN 384:最高のターン

テーマ:30巻
洞口スペシャル。
2代目となった今回のバージョンも基本思想は変わらなかった。
オヤジが長年先頭を走り続けてきた結果に得た結論であろう。

一旦前に出られると抜くことは非常に難しい。

最初のペラは伸び足が群を抜いていた。
しかし、ペラが開いてしまうため
2周目までに勝負を決める必要があった。
その圧倒的な伸びに皆が恐れ、進入でレースで幾度となく
マークされたが、伸びの力は圧倒的で
2周までのうちに先頭に立つことができれば良かった。
何度ブロックされてもいい。たった一度前に立ってしまえば
あとは圧倒的であった。その最強ペラが禁止された後、
洞口スペシャルは伸びから出足へとペラの形を変えることとなった。
そしてレースも変わった。
究極ともいえる出足は、超深インからもスリットまでに全速に
達することを可能にし、さらにターン明けでの行き足も他艇を
全く寄せ付けなかった。
周囲を意識した戦いから、ミスをしないための自分との戦い。
深インだからこそ難しい、インコースでスタートを決めること。
一対一では直線で追いつかれてしまうために
ターンは常に最高のターンをしなくてはならないこと。
その綱渡りを可能にするのが“集中力”。
かつて榎木に乱されたような失態は、二度とおかすことはない。

対する波多野憲二。
今も昔もターンが武器だ。
しかしかつては外から外への全速モンキー。
ターンスピードなら誰にも負けなかった。
そして今はVモンキー一筋。
内から内への最短距離を全速でかけぬける。
そのVモンキーも、かつては成功させることさえ難しく
練習を、そして転覆を重ね、また、水面の硬い住之江では
無理とまで言われたが、練習の成果がここにある。
しかし、蒲生さんに攻略され、
洞口の出足の前にもかなわなかった。
洞口スペシャルを破る突破口を見出すために必要なのは“応用力”か。
何をやってくるかわからない波多野憲二の武器をさらに磨こう。
Vモンキーは差された相手を差し返す技ではない。
単なる鋭角ターンなのだ。
そう考えるとおのずと見えてくる。
ターンマークの差し場をあけずにギリギリの旋回をすれば良いのだ。
まさに、言うは易し、行うは難し。
限界ギリギリを攻める最高のターンをしなくてはならないのだ。


二人のレースは定石とは言えない。
しかし、二人にとってはこれが定石。

ここからは私の持論だが、
本当に強いというのは、弱点のないことではない。
まず、誰にも負けない何かを持つこと。
そして、その長所を最大限に活用すること。
欠点をなくすことは、良い部分を失うことと同義なのだ。

つまりこれは、出足vsVモンキーの戦い。
どちらが自分の武器をいかに活かしきっているか。
ミスをしなければ勝つと信じた洞口と
その完璧を破るための一発に賭ける波多野。

二人のターンの集中力が
エリアからラインになり、
ラインからポイントになったとき、
決着がついた。





憲二の思う究極の目標
「競艇ってこんなにおもしろいんだって
 思ってくれるようなレースを
 現役中に何回できるかが究極の目標」

以前予想したのとは全く違う結果が来てうれしかった。
なるほど、これが河合先生の理想か。
こういうレースを何度も見たいのか。
競艇で、熱くなりたいのか、と。

私、モンキーターンを
河合先生の思う理想(波多野)と現実(洞口)で
考えてきた時期がありました。
1位になるためには何でもする洞口。
青島さんの言葉で表現するなら、
勝っても負けても誰もが納得するレースをする波多野。
でも、波多野vs蒲生のレース。
場内の歓声は、勝負に負けてレースに勝った
蒲生さんに上がってましたよね?
と、いろいろ考えたりしたのですが。

でも、そんな対極の考え(憲二は何も考えてなさそうだけど)の
2人だからこそ、こんなレースができるんだろうな。
連載の間、3連単やスタート展示などの新しいルールが導入された。
スタ展により、インからきっちりスタートを決めミスなくまわれば
負けなくなり、1マークがイン逃げで決まるレースが増えていった。
確かに競艇界は何百万も賭ける本命党に媚びた方が
今の非常に厳しい状況を脱することができるかもしれない。
事実、本命党の私もスタ展支持者である。
でも、
でも。
ファンってのは、熱いレースがあって満たされる人のほうが
多いんじゃないだろうか。語り継がれるレースとは
憲二の目標にしたようなレースではなかろうか。
そんなレースを待ち望む、
いちファンの視点での河合先生の主張なのかなと
私は思った。





次号最終回。
全米が注目している。
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