December 21, 2006 00:03:25

秋刀魚の味 

テーマ:La Vie de Manger

                年の瀬がもうすぐ迫り、環状線からは渋滞からの苛立ちからなのか


           機械仕掛けの雄叫びも寂しく殻合唱し、木枯らしが淡々と吹き付ける今宵の師走。


                   そんな環状線沿いの家の近所に馴染みの定食屋がある。


             私が渡仏する前からもよく通っており、帰国してからもお世話になった定食屋。


                                 『まつおか』


                     よくこの店へは度々晩飯を喰らいに通ったもんだ。


                       


                   その『まつおか』が本日を持って閉店する事となった。


                            実に30年の歴史である。


             ここの親父さんは、閉店前に行くとよく余り物のおかず等をサービスしてくれて


             私も貧乏学生の頃や金に縁の無かった頃などは良くお世話になったもんだ。


         そんな訳で、この定食屋『まつおか』には過ぎ去りし思い出と愛着を抱いているのだった。


                そこで『まつおか』の最後を見届けようと本日の晩飯を喰らいに行った。          


                 すると、閉店という事もあってか皮肉な事に客の入りがよかった。


                      どうやら馴染みの客などが駆けつけたようだ。


            これも親父さんの30年という結晶が最後の輝きを見せたという事なのだろうか。


          よく考えてみると、この様な『まつおか』の活気の或る光景を久々にみたような気がする。


                      


      親父さんも今日ばかりは何時も以上に忙しそうに炊事場やカウンターを機敏よく立ち振る舞っている。


           そんな光景を見つめていると、可笑しくも切なさも入り混じった妙な感情を抱いた。


                 また、そんな親父さんに声をかけるのも気が引いてしまった。


   数分ほどして親父さんはドアの前にいる私に気づいたのか、顔を向けて微笑みと疲労が入り混じった顔で


                              声をかけてきた。


                         『いらっしゃい。いつもの奴だね』


                  それは私がいつも頼んでいる『ハンバーグ定食』だった。


  だが、今日は『まつおか』での最後の晩餐ということもあり、親父さんのお勧めメニューを頂こうと思った。

                 親父さん曰く『そうかい?!そしたらコレなんかどうだい?!』 

                        

                   そう言う事で本日の晩餐は『秋刀魚定食』に決まった。


             今、思い返してみると親父さんは私の栄養士でもあるのかも知れない。


     その様な訳で美味しく『秋刀魚定食』を喰らいながら、空腹の胃袋へ思い出と共に流し込んだ。

                        


                     上記の写真は喰らった後の秋刀魚の抜け殻


      本来なら喰らう前を写真に収めるのだろうが、この写真の方がリアリズムを感じ取れるだろう。


           最後の夜ということもあり、おかずの量も普段より奮発してくれたのが感じ取れた。


                         秋刀魚の味?!なるほど!!


            シネフィル(映画狂)の私にとって、今日の料理はこの映画を思い浮かべさせる。


                    日本映画界の巨匠『小津 安二郎』監督の作品


LE GOÛT DU SAKÉ (SANMA NO AJI)


     今日の晩餐とストーリーは何の脈絡も無いが、秋刀魚といえば私にとってこの作品が浮かぶのだ。


                      世界の映画ファンを魅了する小津作品。


                 無論、フランスのシネフィル(映画狂)も小津作品を敬愛している。


          どちらかと言うと今日の演出はフランス映画の『パリのレストラン』が適切だろうか。


                     


        今日に至り定食屋『まつおか』の30年の歴史は、あと数時間で幕を閉じようとしている。


         親父さんはこの30年間。この店で様々な人々と出会い手料理を振舞ってきたのだ。


              そこで、親父さんに『何故店を閉じるのか?』と野暮な質問してみた。


                 すると、親父さんは渋い表情でこの様に細々と呟いた。


               『店はまだ続けたいのだが、この店の家主と喧嘩してね・・・』


       その時、私は三国史演戯に出てくる登場人物で黄忠という老いた武将を夢想してしまった。


                 黄忠は三国時代の蜀の五虎大将の一人で弓の名手。


             五虎大将の中でも一番老いているが、蜀の兵士たちはこう称えた。                       

                      

                    


                            『老いて益々盛ん』


              その言葉は正に『まつおか』の親父さんにも当てはまる言葉だろう。


                         親父さんは最後にこう呟いた。


             『この店は今日で終わるが、近いうちにまた店を出そうかと思う』


        『場所はまだ決まってないが、決まったら連絡するよ。本当に今日はありがとう』


    そう言って親父さんはメモ用紙になるような物を引き破いて名前と電話番号を書いて私に渡した。


    私も同じように名前と電話番号を書いて渡し、握手を交わそうとしたら、小麦粉塗れの手と触れた。


          お互いに一瞬含み笑いを堪えながら、親父さんは調理の支度を始めた。


        そして私も歯切れよく『また会いましょう。ごちそうさま』と言いながら店を後にする。


                       帰宅途中、木枯らしが吹き叫ぶ中で


        ほんのりと小麦粉が塗してある右手を見つめながら、私は記憶に刻み込んだのだった。


                                追伸


             数日後、『まつおか』の前を通りかかると下記の張り紙が書かれていた。


                    
        

                                                      Monde

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December 03, 2006 08:34:41

違いがわかる男 

テーマ:La Vie de Manger

                          Décembre

                 冬の寒さも本格的になってきましたね。


          そんな寒さを忘れさせる為にこんなものを作ってみました。 


             

                          

                         余談ですが

 某有名企業の 『 ダァバダ~、 ダァ~バ、 ダァバダ~、 ダァバダ~♪ 』って言うCM嫌いじゃありません。


              あのシリーズにはこんな人 も出演しているのですね。


         まあ、そんな訳でコレを見て暖かい気持ちになってくれれば我幸いです。


                  それでは良い一日を!!


                                           Monde

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September 23, 2005 07:51:46

   蔦

テーマ:La Vie de Manger
            もし、あなたがパリ10区に来て、食事を何処で食べようかと困ったり

                  ちょと食に贅沢したい時など、そんな時は

                フランス版『たまに行くならこんな店』がいいだろう。


                         その場所はと言うと・・・

         

               Gare de L Est の近くで徒歩5分~7分で行けます。

      Boulevard de Magenta から Rue de Petits hotels という通りに歩いていくと

            

             St-Vincent de Paul と言うカテドラル(教会)があります。


                        そのカテドラルの裏手に行くと



                         と言う通りが見えるでしょう。


                そうすると蔦に絡まれたアパルトマンが目立つと思います。


     


                           こんな店です。

                    

                       進めておいてなんですが・・・

            

                名前は忘れました。しかもココで食べた事ないです。

                  ただ、散歩がてらに見つけただけなんです。


                     静かな場所で落ち着けそうですし。


                           何故かと言うと

      アパルトマンを覆う蔦の絡まり具合が、余りにも見事なので、僕の興味を引いたのでした。


                  美味しいかは、あなたの舌で確かめてみては!!


        お詫びにこの映画をお勧めします。パリのレストラン をごらんになってみて下さい。


                          
         
         レストランにもドラマツルギーがあるんですよね。ココでなら外食してもいいかな!
     
      関係ないですが、食欲と性欲は因果関係が働いているのか? フランス人を観察していると

                   こんな事を考えさせられる、そんな今日この頃です。

                                                           Monde

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May 03, 2005 19:35:59

貧しき人々 後編

テーマ:La Vie de Manger

 目的地のGare St-Lazareヘ着いた。そこから歩いて5分ほどのところにその場所はあったのだ。そこには既に数10人の行列が出来ており、その群れからは鼻を突くような異臭が漂っていた。だが、臭いと思う反面、何故だか生を意識したのだ。しかし、僕は身震いする気持ちを隠しきれなかった。そんな事を感じているうちに、この広場では配給所の係員が、食事の配膳を準備していた。  

 

 そしてMORADはそんな状態の僕にこう答えたのだ。「怖くなったか?嫌なら帰ってもいいぞ」と。僕は「ヤバイ!心を悟られたか?」と思い、平静を装ってこう答えたのだ。「そんな事無いよ。僕はParisの現実を見たいのだ!」と。彼はニヤリと微笑して答えた。「それなら良かろう。そうだこれがParisの現実なのだ。ここに集まっているのは、外国からの出稼ぎ労働者達、いわゆるスミッグだ。そしてクロッシャーアルコリック達なのだ。」そして続けて、あそこを見ろと目配せした。「あそこにいるのはポーランドやチェコ、ルーマニアなどの東欧の出稼ぎ労働者だ。そしてあそこに固まっているのは、俺と同じマグレブ諸国の北アフリカ出身のスミッグだ。そして中国やベトナムにカンボジアなど、アジア第三世界の人々やアフリカのイミグレーション(移民)だ。」僕はその時、一人の東洋人に眼がいったのだ。何故かと言うと何度かメトロで見かけた事がある東洋人であり、かなりビザール(奇妙)なスタイルをしていたから必然と覚えていて、漠然と何故かその東洋人が、実は日本人ではないか?と言う疑問を抱いたのだった。そして辺りを見回したら、この広場にはいつの間にか、100人近く列が出来ていたのだった。  

 

 この様に、配給所にはマクロの世界が確立していることに気づいた。そして、これがコスモポリタン・パリの現実なのかと考えに耽っていた時、配給の準備もすっかり終わり、係員が食事を配給し始めたのだ。並んでいた人々は食事を手にしてご機嫌になった。或る者は仲間と談笑しながら食べている。また或る者は、飢えた犬のようにパンを頬張りスープを飲み干していた。そして、やっとの事で僕達にも食事が配給されたのだ。  


 それは、この様な献立だった。チキンにヒヨコ豆の和え物、野菜スープにパン、それとデザートにチョコムース2個、そしてコカコーラのバニラ味。悪くない献立だと思った。そして何よりも、お替り自由なのだ。これで無料なのか?どうやって物資調達してるのだろう?そんな事を考えながら、まず始めにチキンとヒヨコ豆の和え物を食べてみた。とても美味しかった。イメージを覆す味だ。そして次にパンとスープ。これもごく普通にスーパーで売られている物と同じだ。これじゃ収入源が少ない人でもパリで生活できる訳だ。こんなトリックがパリにはあったのか?と一人で自問しながら食べていると、MORADが「美味しいか?」と聞いてきた。僕は勿論、「美味しい」と答えた。今、考え直すとその味は、人生の味がしたのだった。


  そして周りを見渡し、さっきの東洋人を見つけた。彼もガツガツと食に耽っていた。僕はMORADに聞いてみた。「彼はもしかしたら日本人じゃないか?」と。そうしたらMORADは彼の方に行って話しかけたのだ。そして数分してから戻ってきて、頷いたように「お前の予感は当たったな」と答えた。その時、僕にはMORADがダンテの書いた、『神曲』に出てくる詩人ウェルギリウスに一瞬感じてしまったのだ。そして彼に誘われ、この様な光景を見た事に、やるせなさを感じた。MORADは実は意識して僕をこの様な場所へ案内したのか?彼に聞きはしなかったが、僕は黙々と人生の味を噛み締めた・・・

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May 03, 2005 19:11:55

貧しき人々 前編

テーマ:La Vie de Manger

   美食の国フランス、Parisには数え切れないほどレストランが、あらゆる所に店を構えている。そしてミシュランのガイドブックに載っている様な、三ッ星レストランなどには、一流シェフの腕を味わう為に、世界中から美食家と言われる人々が駆けつけてくるのだろう。無論、僕などは三ッ星どころか一つ星レストランすら、行ったことが無いのである。普段から、外食などあまりしないので、日本から自称美食家の友人が来たときは、恥ずかしい話だが、とても案内など出来ないのだ。だが、僕なりに食に対する考えは持っているだ。


   それは、他人が評価した美食の基準というのを信用しないことである。例えば「或る友人があそこのレストランのパスタは旨い。」とか、「ここのレストランは或る雑誌に、お勧めと書いてあった。」などの類である。大体、食の好みなど、そう簡単に一致するはずが無いのだ。ましてや舌の感覚なんて甘い、辛いなどの基本的味覚は別として、曖昧なものである。僕が基準とするのは、感情面である。例えばどんなに粗末な料理でも、仲の良い友と食べ、楽しい会話に、居心地の良い空間があれば、美味しく感じるのだ。お酒も同様、安物のワインやビールでもやはり、先に書いた状況であれば、大抵は美味しく感じるし、ホロ酔い気分になるのだ。あまりこんな事を書くと、単なる偏屈野郎になるのでここら辺で辞めておこう。何故こんな事を書くのか?それは、今日の様な出来事に遭遇したからなのだ。


    パリの空が赤く染まる頃、Pont des Artsでビールを飲みながら涼んでいたら、この橋でよく出会うMORAD(モラド)と言う名のアルジェリア人に出会った。

彼の事について少し紹介しよう。彼は福島県に、ミツコと言う名の日本人を妻にし、ゲンジュウロウと言う名の子供の父親でもある。パスポートも見せてもらった。それは確かだった。片言の日本語を少し知っていて、サムライ・スピリッツを尊敬しており、日本では大学のプロフェッサーをしていたのだが、そこを辞め、今はヨーロッパへ出稼ぎに来ているのだと言う。何故かと言うと日本円は値が下がり、外貨を稼いで日本に送金しているそうだ。何処までこの話を信じていいのやら…疑う気持ちも無い訳ではないが全てを否定するのもどうかと思い、信じる事から全ては始まるのだと思い直したのだった。


そして彼は「今から、飯を食べに行くからお前も行かないか?」と誘われた。当初は躊躇したが、しかも無料で食べれるらしい。その時「まさかあそこじゃないだろうな?」と思考を駆け巡らしたのだ。あそことは、スミッグクロッシャ-アルコリックなどが主に行き、NPOが主催する配給所の事なのだ。そして僕は、その様な人々の群れを、何度か見かけた事があったからそんな事を考えた訳であった。

スミッグとは低所得者の事であり、クロッシャーは乞食の事で、アルコリックはアルコール中毒。


  その事をMORADに尋ねてみたら、案の定、予測は的中したのだ。ここで断るのは簡単だが、僕は変な好奇心の持ち主なので、一度その様な人々と同じものを喰らってみたい衝動に駆られたのだった。なんか、『もの食う人びと』を書いた辺見庸氏になった気分だ。そして考えた挙句、「よし!!僕も一緒に食べに行こう!!」と答えた。そして配給所の場所、Gare St-Lazareへ、僕とMORADはバスで向かったのだ。

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April 25, 2005 09:37:57

犬喰らう日本人?

テーマ:La Vie de Manger

 あなたは今までこんな質問をされた事ありますか?「日本人は犬を食べるのか」と!この質問はフランス人だけじゃなく、ヨーロッパ人の日本人像の一部なのである。初めてこの質問をされた時(なんでこんな事質問するのだろうか?差別発言?もしかしたら日本のマンガか映画でその様なシーンがあったのか?)と思考を廻らしたものであった。結局は「Non!!犬は食べたこと無いよ」と答えるのだが、そして何故その様な事を質問したのか聞き返すと、「両親や友達に聞いたとか、マガジンに書いていた」と。


 確かに僕も昔の日本人は犬を食べたと聞いたことがあることを思い出た。高校時代バイトしていた所で、「赤犬は旨い」や「大阪のドヤ街に赤犬を食べさせる店がある」と聞いたことがあった。疑問に思い、早速ネットで検索してみると、やはり僕の聞いたことは間違いなかた。韓国や中国では食用犬というものを飼育しているらしい。日本も戦時中は食用品として売っていたのである。その人はこんな事も言った。「赤犬を食べると犬がやたら吠え立て、視線にどうも敵意を感る」と。そしてある日の事である。その人は本当に飼い犬に噛まれてしまったのだっ(笑)今、思い返すと、フランス人の質問は、日本人と交友を交わした事が少ない人達や、日本について曖昧なイメージしか持っていないとか、その様な人々である。

 

 そう言えばイタリアでこんな会話をしたことがある。その男は「ジャッキ-チェンは日本人だ」と(笑)「違うよ!!彼はシノア(中国人)だよ」と答えると、「馬鹿を言え!!俺は映画で見たのだ。ジャッキ-・チェンが三菱の車に乗ってカーレースするのを!!」と言い張る。彼は絶対間違ってないと自信満々だ。僕はやっと理由が解かった。何故彼がそう答えるのか!そして訂正してあげた「それはアメリカ映画のキャノンボールだろ!!ジャッキー・チェンは日本人の役をしていたんだ」だが彼はまだ半信半疑と言う顔つきをしていた。


 この様にヨーロッパの人達は、世界の人々は(親日家は別として)、日本やアジアについて、いい加減な知識しかない事を、僕はその時理解したのだった。だが過去には確かに、犬を食べたという事実は認めなければならないだろう。日本の教科書問題も、中国に対しての戦争の罪も、この様な小さな事から誤解を生むのかもしれない。そう言えばテーマは《犬を喰らう日本人?》なので、その事について、僕の思いを書こう。


 西洋人の価値観は犬を家族同然と思い、当然人間が犬を食すなんてカニバリズムに匹敵するぐらいの考えなのだ。まあ、この思考は解らないまでも無いが、犬は食べちゃだめ。じゃあ牛や豚は食べていいのか?と言う矛盾が起こるのでは?そして韓国や中国の食文化を侮辱することに繋がるのでは?勿論、僕自身犬を食べようなんて思わないが、その様な矛盾を考えてしまうのである。宗教でもたしかヒンズー教の教えは「牛は神聖な生き物だから食すのは罪だ!」とかイスラム教は「豚は不浄な生き物だから口に入れるのも汚らわしい」と言う思考と、東洋の犬を食う食文化の違いに差があるだろうか?これはよく西洋人の言う差別じゃなくて区別なのか?≪食≫とは非常に人種間のデリケートな問題に発展するという事に繋がると、このBlogを書きながら改めて思う日であった。

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