梅香亭異聞七・千羽屋始末
テーマ:江戸話ごめんなせぇよ~お凛ちゃんいるかい。
凛が湯屋へ出かけようと、
糠袋と手拭いを桶に入れてる時だった。
あらっ、太吉さんかい。
お入りなぁ~
太吉が勢い良く油戸を開けて入ってくる。
おや湯屋かい、手間はとらせねぇよ。
急いじゃいないないよ、おぶう、あがっておいきな。
凛は火鉢の灰を掻いて火を強め、
鉄瓶の湯で茶を入れて、
後ろの飾棚の戸を開けて、菓子をだす。
凛の裏店は、中長屋とも言われる大きい長屋で、
道幅も広く、小商いの店や居職と呼ばれる、
自宅で物つくりする職人も多い。
貧乏長屋とは違って、狭いが二階付の長屋だった。
太吉の小間物屋は、隣町の中長屋なのだ。
こりゃぁ、旨い大福餅だね~
ぱくりと餅を放り込んで、茶を啜る。
いやね、嫌な話じゃねえよ、
おいらは何だか胸の痞えが、
すうっとしたのよ。
あのな、例の千羽屋の事件に、
お沙汰が降りたのよ。
あらまぁ、どうなりましたの、
私も何だか気がかりでねぇ~
顎の旦那がみえたら、伺ってみようと、
思っていたんですよ。
むごいお沙汰じゃ、なければってね。
おいらもよ、何か不憫なようで、
弥助親分と何度も、大川端までいったのよ。
喜代が落ち込んだ辺りを、何度も探りにな、
するってぇと、土手の縁が崩れた跡があって、
草履の滑った跡をみっけて、
雨上がりの土手縁だったし、
立ってみると落っこちそうになったのよ。
あの晩は、夕方通り雨もあったし、
何をしなくたって、縁に立てば滑り落ちるさね。
弥助親分も、これで上手く、
引き合いが、抜けるかも知れねぇって、
木戸番の親父と、図面こしらえて、
あれは全くの成り行きで、
六もおよねもどうにも、
し様がないような、話じゃなかったかってな。
がぶりと茶を飲むと、
凛ちゃんとこの茶は駿河屋かい、
出がらしじゃないのが、さすがだねぇと誉めた。
それでよ、
弥助親分が、臨時廻りの佐伯様に、
ご進言申し上げて、
佐伯様も、忙しい小伝馬やお奉行所の、
無駄な手を煩わすよりは、って、
お吟味様に書状で、ご進言なすって下さってな、
さすが佐伯の旦那は、
町人の情を心得た、お方だわねぇ、
それで、お沙汰は・・・
凛も身を乗り出して尋ねる。
太吉はもう一口茶を呑んで、
へへっ、
二人揃って、江戸所払いよ~
まぁ、良かったぁ~
二人で出るなら、何とでもなりましょうよ。
そうなんでぇ、
六蔵の実家は川崎先の相模らしいが、
腰打ち二十も受けて、二人で行けば、
とんだ道行きでしょうやねっ。
お吟味様も、粋なお裁きだねぇ~
凛も安堵したように微笑む。
今月は月番が北町で良かったねぇ、
南のお吟味与力様は、たいそう厳しいお方だって、
評判だからさ。
そうかい、
およねさんは、
王子権現の、茶店娘だったって云うから、
権現様が味方して下さったんだろうよ~
他人事ながら、凛は安堵した。
自分の好きな男が、刺青者だったから・・
罪人は時として、罪がなくてもなっちまう、
それを知っていたからだった・・
☆ちょっと続きをUPしてみやした~♪
生きてるよ~ってお知らせですが、
読んで頂けたら幸いですねん(*^▽^*)







1 ■しかと
始末、読みました。
momoさん、目を大事にしながら、できたら江戸物続けて書いてくださいね。
気風がいいというか、すっきりとした読後感がとっても好きなんです。