名古屋で行われた15日の講演会、16日の茶話会、どちらも無事終了しました。(ご協力いただいた方々に感謝します。)

 講演会には30名弱の参加をいただき、私の話のあと、いくつもの意見、質問が出て、たいへん有意義な会になったと思います。

 参加された方のうち、私のブログ経由は半数ほどで、あとは新聞の広告を見て足を運んでくださった方々でした。

そのためか、『今の治療で大丈夫? 向精神薬の副作用を考える』というタイトルそのものの疑問を抱いて参加された方も多数いらっしゃいました。

薬は飲んで(飲ませて)いるけれど、薬の効果について、副作用について、疑問なり不安を抱いている方が多いということでしょう。

 ともかく、情報が足りない……あるいは一方的な情報しかない……というのが現実のようです。

当日は、北海道から、何はともあれ情報を得たいという思いだけで、飛行機でやってきたという方もいました。

 また、ある統合失調症関連の会に参加された方は、「薬を飲むこと」、そればかりを言われ、心の底にたまっていた疑問が溶けぬまま、この会にやってきたということでした。

行政などが主催する統合失調症に関するシンポジウムや、病院関係の家族会では、最初から統合失調症ありき、服薬ありきの話で、「このままで本当にいいのだろうか」という親としての不安、疑問を、問うことすらできない、そういう現実があるようです。

さらに、こんな話もありました。

抗精神病薬プラス抗パ剤を処方されていて、抗パ剤(アーテン)の量がかなり多く、減薬希望をしているが、主治医は反対。ならば家で減薬をと思っても、すべての薬がすりつぶされて一緒になっているため、その薬だけ減薬することができないというのです。主治医とは「普通に話がしたい」けれど、何を言っても話がかみ合わず、治療にも進展がない。かといって、地元に他の病院がないので転院もままならない……。現実に、こうした悩みを抱える家族、当事者は多いのではないでしょうか。



茶話会でもそうだったのですが、一気に薬をやめている人がかなりいて、ちょっと危機感を覚えました。しかし、減薬指導のできる医師、減薬を支えてくれる医療機関がほとんどない現状もあり、みなさん切羽詰まった結果の決断であることは間違いなさそうです。

一気断薬の危険性について、もっと医師は熱心に患者に伝えるべきですが、その医師が、一気断薬するケースもかなりあり、愕然としました。

これもこの日報告された内容ですが、一応の診断をつけて、投薬し、次に診断が変わった途端に一気断薬、即別の投薬、またしても診断が変わって一気断薬、即別の投薬……。ということで、おそらくアカシジアと思われる症状(じっとしていられない)を「多動」とされて、現在、ストラテラを処方されているとのこと。

薬が入る前の様子を振り返ってみれば、どう考えてもADHDとは思えない……のですが、医師は「いま、ここ」に出ている症状だけ見て、診断を下し、それに合う薬を処方しているのです。

医師は薬を一気にやめることの危険性、精神の薬をやめたときには離脱症状というものがあるということ、を知らないのでしょうか。正直、このケースには強い怒りを覚え、あまりにひどい「治療」にあきれ返りました。

それにしても、「治療」の過程で、診断名が次から次へと変わっている人が多い、というのが、今回さまざまな方の話を聞いて抱いた印象です。

医師も手探り状態――といえば聞こえはいいですが、要するに「よくわからない」まま治療を進めているということでしょう。わからないのならもう少し慎重に薬を選択し、量を決めればいいのですが、わからない割にはやっている治療が大胆だったりします。



講演会、茶話会……今回もですが、ともかくネットの世界を出て、実際お会いし、話を聞き、リアルにつながることの大切さをあらためて痛感しました。

なにかと誤解を招きやすい「発達障害」の話題についても、当事者の話を「直に」聞くことで、ずいぶん理解が進むのではないかという印象です。

頭で考えているだけでは納得できなかったことも、実際の話を聞けば、なるほど、そういうことかとすとんと胸に落ちるものもあるはずです。

薬のことばかり勉強しても、この精神の世界で解決できることはあまり多くはありません。

人間は試験管やビーカーではないからです。人間は、薬を飲んで、単にその中で化学反応を起こしているだけの存在ではないのです。

その意味で、この精神医療の問題は、薬害ではあるけれど、単なる薬害とはまた違う別の側面を持っている。ゆえに理解されにくいのは事実ですが、だからこそそこに解決の糸口が隠されているようにも感じます。

こうした活動はこれからも続けていこうと思います。

こういう窓口を開いておくことの意義……それを、個人の感情を飛び越えて、つくづく感じています。


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 2日間にわたる名古屋での会合に参加してくれた、藤井映江さんという女性。彼女は愛知県常滑市で「精神福祉ネット ささえ合い」を主催しています。(ブログ「ささえ合い村日記」)http://ameblo.jp/ff-sasaeai/



 会の設立は2009年5月。

「精神医療の問題を提起し、精神の病で苦しむ人が、一人でも多く救われるように当事者・家族と連携し、歩んでいこう」をモットーに活動を続けています。

その会が運営する農園では、現在「春ウコン」の栽培に力を入れているそうです。当日はご持参いただき、私もなめてみました。ちょっと苦みがあり、体が温まる感じです。

春ウコンは発達障害によいとされていますが、それだけでなくイライラに効いたり、対人緊張や睡眠改善、頻尿改善、血圧改善にも効果があるそうです。

 興味のある方は、以下から問い合わせてください。

 seishin_4f10@yahoo.co.jp

 


 

 藤井さんたちの運営する農園は「居場所」としての機能も果たしています。

 ゆくゆくは、400坪あるここに「離脱ハウス」を作りたいと、夢は膨らんでいるそうです。

 素晴らしい活動と思います。そして、ぜひ、離脱ハウスの実現をと願わずにはいられません。いま必要なのは、まさにそうした施設です。

また、会では、年会費1000円で、会友も募集しています。私も何とか協力したいと思います。

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