HEMELVAART MARIA
昨日のマウリッツハイス美術館展。
美術館は、登りエスカレーターで次のフロアへという
なかなかドラマティックな演出に生まれ変わっていて、
下りや車椅子対応にゆったりとしたエレベーターもあり快適だった
西洋美術館の階段はねえ、いつもイマイチと思うだけに
(こちらだって当然エレベーターがあるが、どうも使うのはためらわれるし)
リニューアル万歳といった所だろうか。
やはり東京都の方が国よりも景気がいい
節約する所はあっても、投資すべきところには惜しまない、
そういうことが見えないとどんなに繁栄しているように感じられても
文化的な水準は実は低いと受け取られるような気がする。
まあ、とにかくフェルメールが人を呼ぶのか、シルバーデイだったからなのか
両方かもしれないが、大盛況。
「真珠の耳飾りの少女」を最前列で見るための列もちゃんとあって
最後にそこの前を通ったときには1時間待ちと言っていた。
特に最前列ではなくてもちゃんと見られるのに。
逆にその列では立ち止まってじっくり見られないから、
後ろの方がいいと思うのだけど
本展は出品作品48点という、よく考えると大変少ないが
フェルメール以外でも大変充実していると思うのは
贔屓筋が燦然と輝いていたからだろうか
カタログは透明カバーがかけられ、販売時にはしっかりとビニールで密閉。
丁寧な個別梱包の上2000円とは嬉しい
出品作品リストもペラペラな一枚紙ではなく小冊子と、ちょっと贅沢。
(以下写真は同展カタログより
作家名、作品名の記載方法、作家の生没年と生没地、
人名・地名の名称などはマウリッツハウス美術館のデーターに基づいている。)
会場は6つのセクションに分けられていて、
第1章 美術館の歴史
まず、この方がお出迎え。
ベルトロメウス・エッヘルスによる原作の模刻 アムステルダム1630-1692頃アムステルダム
ヨーハン・マウリッツ胸像
1986年(原作1664年)
模造白大理石 高さ132cm
マウリッツハイス美術館は、このマウリッツさんのお屋敷だったそうだ。
が、あまりにも手狭になったので「未来に向けたマウリッツハイス建設計画」の実行中で
2014年半ばに倍の規模に新装されるという。
この休館中にコレクションを貸し出してくださったわけだ。
マウリッツさんも日本に来る夢が叶って、さぞ本望だろうと勝手に思う
アウグストゥス・ヴェイナンツ デュッセルドルフ1765-1848以降ハーグ
マウリッツハイスの景観
1830年? 22.5×27.5cm
アントーン・フランソワ・ヘイリヘルス バタヴィア 1828-1897 ハーグ
マウリッツハイスの「レンブラントの間」、1848年
1848年 47×59cm
《ニコラース・テュルブ博士の解剖学講義》はこのように置かれているんだ!
絶対に、見たいな~
自分の目で実物を見てみたい一枚だが、今はこの絵でオランダに行ったつもりになろう。
第2章 風景画
ヤーッコブ・ファン・ライスダール ハールレム1628?―1682アムステルダム
漂白場のあるハールレムの風景
1670-1675年頃 55.5×62cm
リネンの漂白とビール工場は当時のハールレムの主要産業だった。
白く輝く麻布は眩しいほどだし、
その労働後はきっとビールで一日の疲れを癒していたのだろう
グロールシュとかハイネケン、この頃からあったのかな???
パウルス・ポッテル エンクハイゼン1625-1654 アムステルダム
牧場の牛
1652年 35.8×46.9cm
ヤン・ポト ユトレヒト1618-1652頃 ユトレヒト
イタリア風の風景
1645年頃 108.2×125.8cm
第3章 歴史画(物語画)
ヤン・ブリューゲル(父) ブリュッセル1568-1625 アントワープ
ヘンドリック・ファン・バーレン アントワープ 1574/75-1632頃 アントワープ
四季の精から贈り物を受け取るケレスと、それを取り巻く果実の花輪
1621-1622年頃
106.3×69.9cm
レンブラント・ファン・レイン レイデン1606-1669アムステルダム
スザンナ
1636年頃 47.4×38.6cm
あまりにも暗いが、覗き見をしている長老とその左のターバンの羽、
わかるだろうか?
ヨハネス・フェルメール デルフト1632-1675 デルフト
ディアナとニンフたち
1653-1654年頃 97.8×104.6cm
此処までがB1。
この先でエスカレーターを上ると、
第4章 肖像画と「トローニー」
ヨハネス・フェルメール
真珠の首飾りの少女
1665年頃 44.5×39cm
アンソニー・ヴァン・ダイク アントワープ 1599-1641 ロンドン
アンナ・ウェイクの肖像
1628年 112.5×99.3cm
ヴァン・ダイク
ぺーテル・ステーフェンスの肖像
1627年 112.5×99.4cm
夫人の肖像画が夫の向って左側に来ることは極めて異例だそうだ。
(右、つまり向って左の方が高位)
先にステーフェンスの肖像を描いたので、夫人をこのように描かざるをえなかった。
フランス・ハルス アントワープ 1582/83-1666 ハールレム
ヤーコブ・オリーカンの肖像
1625年 124.8×97.5cm
フランス・ハルス
アレッタ・ハーネマンスの肖像(ヤーコブ・オリーカンの妻)
1625年 123.8×98.3cm
肖像画に左右の高位差があるとは考えもしなかったが、
言われてみればいろいろな点において、こういうことってアリだ
まったく関係ないが、妙に手が長く大きいように思えるのだけれど・・・・
フランス・ハルス
笑う少年
1625年頃 直径30.4cm
ど~してこの絵がいいのかわからないと悩んでいたのだが、
会場に置かれていた朝日小学生新聞によると
西洋では、絵は神聖なものとして受けつがれ、発達したという考え方があるため
このように笑っているのは珍しいから、特別なのだそうだ。
う~~~む、確かに西洋画は笑っている人少ないなあ。
日本画や中国画ではゲラゲラと笑っている人だっているものね。
レンブラントの工房による模写
首あてをつけたレンブラントの肖像
1629年頃 37.9×28.9cm
レンブラント・ファン・レイン
自画像
1669年 65.4×60.2cm
ここまで1F。
先ほどと同じようにエスカレーターで上へ。
第5章 静物画
ヤン・ブリューゲル(父)
万暦染付の花瓶に生けた花
1610-1615年頃 42×34.5cm(下部を切断)
数々の種の植物と昆虫が楽しい
過去のカタログを見返してみたが、このような万暦の染付けは見つけられなかった。
東洋ではこのような生け方はしないと思うが、
地味目な染付けはこれくらいに派手な花が案外似合うんだな~
アーブラハム・ファン・ベイエレン ハーグ1620/21-1690 オーフェルスフィー
豪華な食卓
1655年頃 99.5×120.5cm
ヴィレム・ヘーダ ハールレム1596-1680頃 ハールレム
ワイングラスと懐中時計のある静物
1629年 46×69.2cm
わ懐中時計がちょん切れている~~~~~
実は一番気になったかものは、当然の如く焼き魚だ。
黒いお豆のようなものは何を乗せて焼いているのだろう?
サバかなあ?ニシンかなあ??魚の種類が知りたいぞ~~
美味しい匂いが漂ってきそうで、ゴクリと喉も鳴るかも
アードリアーン・コールテ ミッデルブルフ? 1683-1707頃に活躍
5つのアンズのある静物
1704年 30×23.5cm
カレル・ファブリティウス ミッデンベームステル 1622-1654 デルフト
ごしきひわ
1654年 33.5×22.8cm
第6章 風俗画
ヤン・ステーン レイデン 1626-1679 レイデン
牡蠣を食べる娘
1658-1660年頃 20.5×14.5cm
ピーテル・デ・ホーホ ロッテルダム 1629-1684 アムステルダム
デルフトの中庭(パイプを吸う男とビールを飲む女のいる中庭)
1658-1660年頃 78×65cm
ヤン・ステーン
親に倣って子も歌う
1668-1670頃 134×163cm
あははは~、ヤンさん~~~
やはり怖くて好きです~~
48点どれも皆、濃~~~~いので本当に見ごたえが十分だった。
でも、それらの中で一番よかったのが第3章。
耳飾りの女の子は一番前でなくてもよかったが、
これらの3枚はへばりつくようにして熱い視線を送ってきた。
そして不審者の如く、その前を何度もウロウロ、キョロキョロしてきた。
レンブラント・ファン・レイン
シメオンの賛歌
1631年 60.9×47.9cm
アーレント・デ・ヘデル ドルドレヒト 1645-1727 ドルドレヒト
シメオンの賛歌
1700年頃 94.5×107.5cm
ペ-テル・パウル・ルーベンス ジーゲン 1577-1640 アントワープ
聖母被昇天(下絵)
1622-1625年頃 87.8×59.1cm
大聖堂の聖母被昇天を目に焼き付けられたらどんなにいいだろう・・・・
でもこの絵あってこその大聖堂だから、簡単に下絵などといってはバチが当たりそう。
おそらく明日からラマダーンが始まるが
HEMELVAART MARIA、
できることであれば、8月15日にこそ、この絵の御前に行きたいと思う。