今回はR+さんからの献本です。

 発想と言うと、ゼロから頭をかきむしりながら、思い浮かべるイメージがある。しかし、目の前にあるものを違った角度から眺めると、新しい発想が生まれると言うことがわかるのがこの本。

第1章 マイナー世界の王様

 ネイサン・モリスというテレビショッピングの王様恩はなし。商品をいかに見せるか。技術力プラスパフォーマンスで、人を魅了し、財布のヒモをゆるめ、高い売り上げを出す。おいのサミュエル・ジョセフ・ポピール、通称SJを弟子にした。ロングセラーになるキッチン用品を作り出した。その息子にロン・ポピールという、アメリカのテレビショッピングでいつも見かける。彼らの目の付け所のよさは、商品開発とマーケティングをセットにして考えていた点である。それに対して、ライバル達は、別個のものとして考えていた。

 反面教師として上げたいのが、日本企業。確かに高い技術の製品を作り出しているが、マーケティングの面で不十分。消費者にとって必要のない技術まで加える。携帯電話が良い例。独自の深化を遂げた結果のガラパゴス化。技術開発部門の方に権限があるのかどうか知らないが、消費者にとって何が役に立つのかと言う視点にかける。

 逆にAppleが作り出すiPad,iPhone,iPodなど、商品開発とマーケティングをセットにして考えた良い例。iTuneと言う音楽を買うネットストアを開設して、Apple製品のユーザーの囲い込みまで考えている。SONYが、劣勢に立たされているのはこの点が大きい。それに、WALKMANの成功に胡坐をかき、すっかり大企業になってしまい、機敏な動きが取れなくなってしまったところに現在の姿があると言える。

 驚いたことに、ネイサンは、広告代理店やマーケットリサーチ、経営コンダルタントに頼ることなし。まあ、統計はウソをつくなどと言う本があるくらい、アンケートをとってもその回答が必ずしも正しいとは限らない。

 必要なのは、顧客を引き込む演技力と販売力。良く芸能人で、商売に手を出して、多額の借金を抱える例がある。コストを考えて商売ができるかの違い。ただ受ければいいのは大道芸人。

 商品こそが主役。CMを見ているとキャラクターや、人物、CMソングに注目が集まり、一体何のCMかわからないときがある。相当時間と費用をかけて放映したはずなのに。視聴者にとっては、面白いCMだったなですむが、企業にとっては、モノが売れないと話にならない。

第2章 ケチャップの謎

 先駆者の勝利、マスタードは種類が多いのに、どうしてケチャップは、ハインツがトップを走り続け、その後をデルモンテなどが追いかける展開となっている。良いケチャップを作れば、注文が殺到と考えた。確かに付加価値をつければ、ハインツの後ろ髪が見え、射程圏内に入ったかもしれない。

 ハインツの強みは、味の五感を独占したことにある。子どもが、小さい頃から慣れ親しんでいると、そのブランドのものを無条件で買う、うまく行けば、子、孫も利用する可能性が出てくる。マクドナルドが、次世代の消費者を囲い込むのを得意としているのを思い出した。

3章 ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学

 リスクの定量化に疑問を呈している。人間の行動を公式化するのは無理。ロポットじゃあるまいし、予測不可能な行動に出ることだってある。だから人間と言えるのだから。

 著者も言うように、自然界と違って、マーケットではゲームのルールは変えられる。ロシアの場合、サハリンの油田開発で、外資系の企業に任せようとしていたのに、結局大統領の権限で、自国の企業に有利な形にしてしまった。人間の行動は、不合理に満ちている。

 次々と面白い本を出しているマルコム・グラッドウエル。次回は、どんなテーマで書くのか楽しみだ。


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