街に住む友人が、桜桃を見かけると、私を想い出す、と言っていました。
※街とは、ここでは東京を中心とする関東圏を指す
私は、桜桃を見ると、津島修二を想い出します。
津島修二の忌日がちょうど夏至の2、3日前だったそう。
桜桃忌。
果実が真っ赤に色づき、私達の口に入る頃。
昼の長さが最も長い日。
夏至が近づくと、空気の中に不思議な雰囲気が漂う。
現実味が欠けてくる。
急に気分が高揚したり、
そうと思えば、
深い水の底に沈んでいたいような気持にもなる。
明るく、哀しい
楽しく、虚しい
それは全て太陽のせいなのでしょうか。
夏至は、雨に濡れる紫陽花が心地いい。
――ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。
花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの――