完成品 MSM-04N アッグガイ | Modelers Survey Service

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MG(マスターグレード)を中心に、ガンプラ(機動戦士ガンダムのプラモデル)の製作過程や完成品などを紹介します。模型の作例はジオン軍のMS、中でも一年戦争時のエースパイロットの専用機やMSV関連の機体が大半を占めます。1/100の旧キットとのミキシングもやってます。

MSM-04Nアッグガイは、ジオン公国軍がジャブロー攻略を想定し開発した試作型MSで、主に湿地での使用を目的としていました。
ザクレロと同じ無数のセンサーアレイを集めた複眼型カメラ、腕部に各2本のヒートロッド、巨大な頭部にはバルカン砲2門を装備しているのが特徴です。

旧キット1/100アッグガイを、MGアッガイをベースにして製作したミキシングビルド作例です。

使用キット1:1/100 MSM-04N アッグガイ
使用キット2:MG 1/100 MSM-04 アッガイ



旧キット 1/100 アッグガイを、「MG(マスターグレード)アッグガイ」として再現することをコンセプトに製作しました。

HGやMGで未発売の機体を旧キットとのミキシングで製作している最中に「HG・MGで商品化」のアナウンスが入り意気消沈、なんて話もよく耳にします。
しかしまあ、ガンダムUCで大活躍した(ひいき目)ジュアッグやゾゴックならまだしも、さすがにMGでアッグガイが発売されることはないと考え、製作を決めました。




MGアッガイをベースに1/100アッグガイのパーツを組み合わせているのですが、実際に使用しているアッグガイのパーツは頭部だけだったりします。

独特すぎる頭部を除けば基本的な構造はほぼアッガイなので、製作はそれほど難しいものではありませんでした。
腕周りなんかも、パテとコトブキヤのMSGでそれらしく仕上げることができました。

一番厄介だったのは、腕部のヒートロッドのためにMGグフVer.2.0を4機購入せざるをえなかったことぐらいでしょうか。




その頭部ですが、内部の空洞化を行い、複眼状のカメラアイを内部に収めてあります。

複眼の表現方法ですが、まず、プラストラクトの六角プラ棒を小口切りにしたものをハニカム状に貼り付けます。
それを円形に切り取ったプラ板の上に載せ、それらしく形を整えます。

クリアのカバーは自己流の「なんちゃってヒートプレス」でつくりました。
型にしたのは、ホワイトボードなどに使う丸型のマグネット。
熱した透明プラ板をこの丸型マグネットに押し付けて、形を写し取りました。
モノアイガードは、切り出した透明プラ板を押し込んであるだけです。




ヒートロッドは前述の通り、MGグフVer.2.0×4機からの移植です。
節単位で取り外しができるため、伸縮ギミックも再現可能です。
塗装の難しい素材のため、ツヤ消しのみで済ませました。

設定画とはバックパックの形状が違っていたり、背面のカラーリングもきちんと再現できていなかったりもしますが、その辺りはね、察していただければ、と。


外装部分のメインカラーは、クレオスのMr.カラー「C44 タン」と「C41 レッドブラウン」をベースに調色しました。
複眼は、内部のハニカム構造部をガイアカラーの「スターブライトブラス」で塗装。
カバー部分には「C48 クリアーイエロー」と「C49 クリアーオレンジ」でグラデーション塗装を施しました。




ちなみに、この作例をつくるきっかけになったのは、近藤和久氏のコミック「機動戦士ガンダム The MSV」を読んだことでした。

単行本第1巻に収録されている「ホバートズ・ファニーズ」は、アッグガイを含めた3機のアッグシリーズと随伴するゾゴックの運用計画がテーマになっています。

公式設定では、アッグガイの運用目的は発電施設への攻撃や、敵機の捕縛・拘束などとされていましたが、「機動戦士ガンダム The MSV」作中のアッグガイは「頭部後方のフレキシブルセンサーで地雷原を探知し、両腕部から除去用爆薬網を射出、地雷原を爆破し上陸拠点を確保する」という役割を持って開発された機体でした。

そもそも「ホバー(ト)ズ・ファニーズ」自体が、第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦時に実在した師団の通称で、史実でもパーシー・C・S・ホバート少将は上陸に際して様々な特殊車両を考案しています。

実在のホバート少将の開発したファニーズの中に、フレイルと呼ばれる地雷処理用のチェーンローラーを装備した「シャーマン・クラブ」という車両が存在するのですが、アッグガイは役割的にこの車両に相当するのではないかと考えます。

このあたりの解釈は、軍事や兵器、模型にも造詣の深い近藤氏ならではで、とても興味深く読ませていただきました。




「ヒートロッド、伸ばしました」

それから、近藤氏の「The MSV」以外にも、なんということでしょう、アッグガイの活躍するコミックが存在しているのです。
それが、曽野由大氏のコミック「機動戦士ガンダム アッガイ北米横断2250マイル」です。

後日談である「機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊」は、MS教導団ネメシスのパイロットである「タフ・ドッグ」ユージ・アルカナ中尉と、乗機である「ジム」を主役にした珍しい作品でしたが、「アッガイ北米横断2250マイル」はジオン公国軍のパイロット、ノルト・キスノ曹長とベルデ・キスノ伍長の兄弟がアッガイに乗って北米大陸を横断するロードムービー的な作品です。

第4話「ワイルドホース」で、兄ノルト・キスノ曹長は、以前キャリフォルニア・ベースで行われたMSの格闘性能テストを回想します。
その時の模擬戦の相手こそ、キシリア・ザビ少将直属、ヨハン特務隊の隊長であるソルマ・ヨハンセン中尉の駆るアッグガイでした。
中尉の操るアッグガイの流れるような華麗な動きに、ノルト曹長は……。


「オレら連邦愚連隊」を読まれた方はお気付きでしょうが、この作品はネメシス隊と熾烈な戦いを繰り広げた試作MSたちの前日譚でもあるのです。
どちらか一方しか読まれていない方は、ぜひご一読を。





以上、「 MSM-04N アッグガイ」でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!