コロンブスの羅針盤 9 続き×5
テーマ:コロンブスの羅針盤【9】「先生、ちょっといいですか? 今日学校最後だし、先生に言っておきたいことがあって」
「はい。山下さん何でしょう?」
「じゃあ、言いますね。毎日毎日クラスの子を指名して、職員室に呼ぶの、わたしたちを最後に止めてくれませんか?」
「何でですか? 生徒とコミュニケーションを取るのって、良いことじゃないですか!」
「たしかにコミュニケーションを取るのは良いことなんですけど、それってレベルによると思うんですよ。あんまり過度にするのはどうかと。実際、これに関してはみんなうんざりしてましたし」
「そうなんですか?」
蓬田は教壇から教室の中を見渡している。
一瞬間が合って、当たり前じゃないですか、と真奈美が声を出す。
「恵理の言うとおり、今日でその習慣止めて下さいよ。この際だしはっきり言いますね。迷惑なんですよ。変に偽善ぶられるのって。よっぽど授業をしっかりやってくれたほうが、コミュニケーションがどうのこうのと言われるよりも、わたしたちにとってはありがたいことです」
えらく、真奈美は直球を蓬田に投げ込む。
はっきり言い過ぎってくらい、はっきりと。
でも言ってることに間違いはない。みんな迷惑してたんだし。
特に人よりも回数が多くて、学級委員に担ぎ出されていたわたしは。
それにきっちりコミュニケーションていうか、わたしたちの空気が読めていたら、自分から蓬田詣では廃止されていたはずだし。
「じゃあ、多数決で決めましょう。でも、目をつぶって下さい。人の目を気にする人がいたらいけませんから」
どこまで詣でに執着するつもりだろう。
多数決なんてやっても、結果はもう分かってるも同然なのに。
しかも目をつぶれなんて。
一番人の目を気にしているのは蓬田だ。
「じゃあ、多数決やりますから目をつぶってください」
結果はすぐに分かった。
止めるのに賛成の人って言った直後、蓬田が泣き始めたからだ。
その声に恐る恐るみんな目を開ける。
目を開けると一目瞭然だった。
みんな手を挙げていた。
続く




