2008-05-15 09:09:09

コロンブスの羅針盤 9 続き×5

テーマ:コロンブスの羅針盤【9】

「先生、ちょっといいですか? 今日学校最後だし、先生に言っておきたいことがあって」



「はい。山下さん何でしょう?」


「じゃあ、言いますね。毎日毎日クラスの子を指名して、職員室に呼ぶの、わたしたちを最後に止めてくれませんか?」


「何でですか? 生徒とコミュニケーションを取るのって、良いことじゃないですか!」


「たしかにコミュニケーションを取るのは良いことなんですけど、それってレベルによると思うんですよ。あんまり過度にするのはどうかと。実際、これに関してはみんなうんざりしてましたし」


「そうなんですか?」


 蓬田は教壇から教室の中を見渡している。


 一瞬間が合って、当たり前じゃないですか、と真奈美が声を出す。


「恵理の言うとおり、今日でその習慣止めて下さいよ。この際だしはっきり言いますね。迷惑なんですよ。変に偽善ぶられるのって。よっぽど授業をしっかりやってくれたほうが、コミュニケーションがどうのこうのと言われるよりも、わたしたちにとってはありがたいことです」


えらく、真奈美は直球を蓬田に投げ込む。


はっきり言い過ぎってくらい、はっきりと。


でも言ってることに間違いはない。みんな迷惑してたんだし。


特に人よりも回数が多くて、学級委員に担ぎ出されていたわたしは。


それにきっちりコミュニケーションていうか、わたしたちの空気が読めていたら、自分から蓬田詣では廃止されていたはずだし。


「じゃあ、多数決で決めましょう。でも、目をつぶって下さい。人の目を気にする人がいたらいけませんから」


どこまで詣でに執着するつもりだろう。


多数決なんてやっても、結果はもう分かってるも同然なのに。


しかも目をつぶれなんて。


一番人の目を気にしているのは蓬田だ。


「じゃあ、多数決やりますから目をつぶってください」



 結果はすぐに分かった。


 止めるのに賛成の人って言った直後、蓬田が泣き始めたからだ。


 その声に恐る恐るみんな目を開ける。

 

 目を開けると一目瞭然だった。



 みんな手を挙げていた。



続く

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