コロンブスの羅針盤 9 続き×4
テーマ:コロンブスの羅針盤【9】「式終わったね。珍しく校長先生の話も短かったし」
真奈美が感慨深げに、わたしに話しかけてくる。
「まだ、クラスで卒業証書もらうじゃん」
「それは、そうなんだけどね。そうそう、スルーパス後で出してよね」
「何それ? サッカーの試合なんてないよね?」
スルーパス?
意味深な発言の意味が分からずにわたしが聞くと、
「そんなのはないよ。まっ、そのうち分かるって。ちょっとトイレ行ってくるね」
そう言って、真奈美はトイレに消えていった。
「はい、席に着いて」
蓬田の声に反応するセンサーが、みんなの体に内蔵されてるかのように、みんな蓬田の声に反応して席に着く。
もちろんわたしもその一人だけど。
真奈美もちょうどトイレから戻ってきた。
席に着くと、意味ありげにわたしのほうを見てくる。
変に真奈美の視線が突き刺さるなか、わたしは蓬田に言っておきたいことがあった。
蓬田詣でのことだ。
結局通算でわたしは、三年間延べ二〇〇回あまりも蓬田詣でをした。
正直もうこんな行為は終わってほしい。
卒業式だし、キリもいいし、わたしたちを最後に、こんな生徒にとって苦痛でしかない悪しき習慣は終わってほしいと、わたしはしっかり言うことを決めていた。
学級委員だからじゃなくて、山下恵理として。
三年間溜め込んでいたものは、最後には言っておかないと。
続く




