フランク、ドレイク、カニエがグラミー賞にひじ鉄。あとフレディーさんも。 | Minako Ikeshiro' s Tokyo Journal

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音楽ライター、池城美菜子のblog。2016年8月19日に『ニューヨーク・フーディー〜マンハッタン&ブルックリン・レストラン・ガイド』を出しました。

 あと数時間でグラミーが始まるタイミングでこれを書くのも、少し天邪鬼ですが。アメリカで話題になっているので。
 
 グラミー賞のボイコット、もしくは欠席の話です。
 
 最新作『ブロンド』をはじめから受賞資格のための登録をしなかったフランク・オーシャン。そのフランク・オーシャンが無視されたら俺は出席しない、と言ったのがカニエ・ウエスト。「若いシンガーを正当に評価していないと思う」と、世間との「ずれ」を理由に出席しない意向を匂わせているジャスティン・ビーバー。同日にヨーロッパ・ツアーが入っている(=日程をずらさなかった)ドレイク。
 
 それぞれ理由は違います。フランク・オーシャンは「僕みたいな育ちの人を、真っ当に評価していると思えない」という理由。白人男性が多いグラミー委員会は、たしかに「わかってないなー」と思う選択をしがち。カニエも似た理由で、彼はベックがアルバム・オブ・ジ・イヤーを獲ったのが気に入らないそう。似た理由でも、フランク海洋くんだと思慮深い感じがするのに、蟹江さんはゴネているだけに聞こえるのはどうしてでしょう。
 
 ジャスティンは結局、出るだろう、とも言われています。ドレイクは今まで散々ノミネート(30とか)されているのに、1つしか受賞していないので、嫌気が差しているらしい。気持ちはわかります。人間だもの。
 
 レゲエでは、最新作が選考から落ちたフレディ・マクレガー父さんがノミネート作品のほとんどがジャマイカのレゲエではないことに異議を唱えています。あと、レゲエ部門の選考委員のトップが、ジギー・マーリーの奥さんであるのも問題になっています。
 
 ボイコットの歴史は古く、1989年にラップ部門がテレビで放映されないことに反発してLL・クール・Jやウィル・スミス&DJ ジャジー・ジェフも一斉にボイコットしました。このときは、功を奏して放映されるようになりました。
 
 最近はビヨンセのサポーターとして機嫌よく出席しているジェイ・Zも、ヒップホップ部門の選考基準を不服としてボイコットしたことがあります。それから、スーパーボウルでポロリ事件を起こして締め出されたジャネット・ジャクソンをかばって、当時のボーイフレンド、ジャーメイン・デュプリが選考委員のトップを降りました。あれは男気があってカッコよかった。そのあと、ゴールインせずに、あっさり振られていましたが(ジャネット姉さんたら‥)。
 
 これだけ大きな賞だから、全員を納得させるのは難しいですよね。
 
 なぜ、これだけみんなが感情的になるかと言ったら、やはりダイレクトに売り上げにつながるから。フランク・オーシャンは前回のパフォーマンスが絶不調だったのも関係あるかもしれません。彼はものすごくうまい歌い手ではないけれど、艶のある、儚い歌を聴かせて、私は大好きです。声を張り上げるばかりが能じゃないし。
 
 とはいえ。第59回グラミーの見どころは、ほかのところにあります。「政治的な発言をしていい」とグラミー側がはっきり言っており、アーティストたちがアメリカの現状に対してどう歌とスピーチで対抗するかが見ものです。カントリーの歌手にはトランプさんサポーターもいますが、大多数は反トランプなので、そこは荒れると思います。
 
 トランプさんAKAオレンジ色の憎い奴の反撃twitterにも注目が集まるでしょう。
 
 アデルとビヨンセがどこまで渡り合うかも楽しみ。ビヨンセは、フランク・オーシャン作のこの歌を貼っておきますね。最近のビヨンセの曲の中では、私はこれが一番好き。同じ意見の人、少ないだろうけど。
 
 
   好きなアーティストが揃っている方が、やっぱり嬉しいよなー、という気持ちを込めて、I (will) miss you. という。フランクくん、見たいぞー😢