こんにちは、斉藤将人です。
私が今、勤務している病院は別に有名病院ではありません。
医療の質はそれなりに高い病院ではありますが、全国的には無名だと思います。
では何故、この病院で働いているのか、
それは研修医時代に、出会った内科の先生に惹かれたからです。
僕が研修医でまだ未熟だった頃、僕が持っていた患者さんが
どうしても退院したいと言って聞かない事がありました。
重症の心不全で、この状態で帰すわけにはいきません。
酸素と点滴のお薬で何とか呼吸状態を保っている状態だったのです。
僕は、何度も何度も入院治療の必要性を説明しますが、全く聞き入れてくれない。
『こういう人には何言っても無駄だな・・・』
僕は正直、患者さんのキャラクターのせいにして、諦めかけてました。
『もう、そんなに言うなら帰っていいですよ。
でも、家で急変しても知りませんからね』
あまりに僕の話を聞いてくれないので、僕は多少イライラしてしまっていて
(今となれば恥ずかしい限りです・・・)このように言おうとしていました。
そんな時に、その先生がやってきました。
先生は最初、何も言わず、患者さんの訴えにひたすら耳を傾けました。
患者さんの気持ち、不満、それを全て深くうなづきながら、聞いていました。
『家に帰りたいよね。』
『でも、今の状態で帰ってもご家族は心配なんじゃないかな。』
『僕が絶対●●さんをよくするから、もうちょっとだけいてくれないかな。』
先生は優しい口調で患者さんに語りかけました。
すると、
『分かりました、先生。どうぞよろしくお願いします』
僕が何度説明しても帰りたいと言って聞かなかった患者さんが
憑き物が取れたように、まるで別人のようになって先生に頭を下げ、入院継続を承諾してくれたのです。
その時、僕は心が震えました。
『こんな医者になりたい』と憧れにも似た強い衝撃を感じたのです。
この先生についていこう。
そして、いつかはこんな医者になりたい。
医者になって初めて、自分の目標を見つけました。
研修医が終わると大学の医局に戻る医師が多いのですが、
僕はその先生に頼み込み、その病院の内科に居続けさせてもらう事にしました。
この先生より、技術の高い医師は世の中たくさんいます。
この先生より、頭のいい医師もたくさんいるでしょう。
もっと有名病院に行けば、知識も技術も付くのかもしれません。
でも、医師に一番大切なのは、手術がうまい事でもないし、頭がいい事でもない。
僕は先生から、このことを学びました。
医者と患者は、人と人です。
相手は感情を持った人間。
それを忘れている医者が多いと思います。
僕は先生から、その当たり前だけど、とても大切な事を学びました。
知識も大事、技術も大事。
それはわかってますし、それはそれで勉強しています。
でも、それ以上に大切なのは、患者さんと向き合う事。
忙しい日々が続くと、つい患者さんと向き合う事を忘れがちになります。
時間がないと、患者さんの訴えを遮って、自分で勝手に判断してしまいそうになります。
そんな時はいつも、先生を思い出します。
先生なら、こんなひどい診察はしない。もっと患者さんの話を聞くはずだ。
自分が間違った道に進みそうになる時、それを正してくれます。
みなさんは、自分の目標になるような人はいますか?
ぜひ、目標となる人を見つける事をオススメします。
そして、その人を見つけたら、その人の行動・考え方を出来る限り取り入れる事です。
最初は、完璧にコピーするくらいの勢いでもいいと思います。
そうする事で、自分のなりたい自分に近づいていく事ができますよ。