羽生選手のジャンプは天国からの贈り物?CBC解説によるGPFフリー演技 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...


本日、午後4時からようやくCBCでグランプリ・ファイナルの模様が放送されました。


居間で一人、大画面で、しかも音声をステレオを通して観ると、とても感動的でまた興奮が甦りました。皆さんもこうやって観賞することをお勧めします。






では以下、羽生選手のGPFフリーの解説です。ブレンダ・アーヴィングカート・ブラウニング、そしてキャロル・レインが登場します。


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Well this man sure looked sharp in the short program the other day. Yuzuru Hanyu, there were concerns about how he would perform in  Barcelona, because he was injured in this on-ice collision with Chinese skater Han Yan, earlier in the season, and a few weeks ago, still didn’t  look 100%. But another skate like he had in the short program and he will win the Grand Prix Final for the second year in a row.
先日のショート・プログラムでは実に好調でした。ユヅル・ハニュウ、彼がバルセロナでどんな演技を見せるか懸念されました。というのもシーズン始めに中国の選手ハン・ヤンとの衝突事故があって、数週間前もまだ体調は万全ではなさそうだったので。しかしSPと同じような滑りを見せればグランプリ・ファイナルを二年続けて優勝することになるでしょう。


という前置きがあり、いよいよ演技開始。



Quad Sal, quad toe, triple axel, three first jumping passes.
4S、4T、そして3A、これが最初の三つのジャンプ

(カートは3Aと言いましたがこれは後ほど自ら訂正します。)




冒頭の三つのジャンプが終わり


Whew
ヒュー


とカートが口笛を短く鳴らす。



Quad sal, quad toe, absolutely beautiful. BEAUTIFUL execution, upper  body ABSOLUTELY, basically at rest!! No tension.
4S、4T, ただただ見事。見事な出来栄え、上体が全く、要するに、リラックスしたままで、何の力みもない。




And then not a triple axel but a triple flip, still perfect.
そして3Aではなくて3フリップだったけど、これもパーフェクト。






ここから解説者、沈黙。




ようやく3Aからの連続ジャンプの後:




Jumps like that, possibly, are dropped from heaven. And he was just the right guy to catch it.
こういったジャンプは、もしかしたら、天国から授け落とされて来るのかもしれない。そしてそれをキャッチするのにピッタリなのが彼だったんだ。





You know, there are good skaters, and there are great skaters, and then there is Yuzuru Hanyu. He is on a whole other level.
あのね、世の中には上手いスケーターがいて、そして(その上に)偉大なスケーターがいて、そして(それとは別に)ユヅル・ハニュウがいる。彼は全く別のレベルにいるのよね。



最後のジャンプで転倒。




He’s got that Plushenko rock star feeling at center ice, where he can  own a stadium (small mistake there, smash and crash – but we’ll allow that for the moment)
リンクの中ではプルシェンコっぽい、ロック・スター的な雰囲気を持ってるよね。会場を完全に掌握できる、という感じで。(あ、ここでちょっとしたミス、ドッシャーン、ガッシャーン、と、でもまあこれは今のところ、許そう。)




But in the big picture this kid’s got it. The speed, the flow, the  spins... and those jumps are RI-DI-CU-LOUS.

でも要するにこの子は「持ってる」。スピード、フロー(スケートの流れ)、スピン。そしてあのジャンプ、もうバカバカしい(ほどの素晴らしさだ)よ。






演技が終わる。




Well he skated like the reigning world and Olympic champion today.  Yuzuru Hanyu was good in the short but he was BRILLIANT in the free today. And look at the technical score.
今日は世界チャンピオン、そしてオリンピックチャンピオンに相応しい滑りを見せました。ユヅル・ハニュウ、ショートの演技は良かったけれど、今日のフリーは秀逸でした。この技術点をご覧ください!





That’s quite good, isn’t it?
まあまあ良いわね?

(これは当然、キャロルの冗談)




It’s great that we can have the world and Olympic champion NOT retire after the Olympics, stay in there and struggle through a REALLY tough season and come and end the Grand Prix Series with a skate like this.
世界選手権、そしてオリンピックのチャンピオンが引退しないで、残って、そして本当に辛いシーズンの中、苦しみながらグランプリシリーズを潜り抜けて、最後にこういった滑りを見せてくれたっていうのが嬉しいね。



羽生選手、ようやくボード際に戻って来る。


And skating fans thank you.
スケートファンは感謝してるよ。





But just on a personal level, he’s a great kid, a good sportsman, great representative of our sport, how great for them.
人間的にも、彼は本当に良い子で、スポーツマンシップもあって、我々のスポーツの代表としても素晴らしい。ファンにとっては本当に良い事だね。


(スロー再生が始まる)



I don’t know how to try to explain how wonderful these jumps look. To have the trajectory of a four revolution jump go into the air, perfectly:
彼のジャンプの形がどれだけ優れているのか、どう説明していいのか分からないなあ。四回転ジャンプの軌跡がこれほど完ぺきに空中で描かれるなんて:



the right amount of height, for the right amount of distance,  so that your body comes down like a float plane onto a smooth lake, and  no flow is lost. And I can’t get over how calm his upper body is when  he jumps AND lands.
ちょうど良い高さ、ちょうど良い飛距離との対比、そのおかげで体は水上機が滑らかな湖面の上に降りるように着氷できる。しかも流れは損なわれない。そして彼の上体がジャンプする時も、そして着氷する時も、全く動かないって、どうなってるんだろう。






He’s actually almost the perfectly designed figure skating machine. I  don’t think I have seen anybody who is so naturally gifted on the ice, Patrick Chan, maybe, but this boy, is ABSOLUTELY INCREDIBLE.
彼ってまさにフィギュアスケートをするために完ぺきに設計されたマシーンみたいね。私、こんなに生まれ持っての才能のあるスケーターは見た事がないんじゃないかしら。(あえて言えば)パトリック・チャンくらい?でもこの子はもう、全く信じられないわね。





Patrick is a BIGGER SKATER, definitely bigger, Patrick is special, that’s for sure. There’s something so whimsical about the way he turns  four revolutions in the air but turns them into a combo, or has a missed  landing and still does the combination afterwards...
パトリックは(ユヅルよりも)大型のスケータだね、間違いなく、彼より大きな滑りをする。パトリックは特別だ。(でも)彼(ユヅル)が、四回転を空中で回る時も、それをコンビネーションにしてみせたり、着氷をミスってもそれにまたコンビネーションをつけたり...そういうところがなんだか悪戯っぽいほどで。


(↑ このカートの発言に関しては、記事の下方で別途、コメントします)





And he does it with no extra energy, he uses economy of movement.
それが全く余分エネルギーを使ってないのよね、動きの無駄がない。





(笑いながら)
Today I didn’t even mind hearing Phantom of the Opera
今日、「ファントム・オブ・ザ・オペラ」を聴いてても気にならなかったくらい。


I was thinking the same thing.

私も同じこと考えてた!


It’s just that, sorry skating fans, we hear it a lot.
スケートファンの皆さん、すみません、でもぼくら本当にしょっちゅう聴いてるもんだから。


To move ahead of his training partner Javier Fernandez, he needs a score of 160, a little less than that
練習仲間のハビエル・フェルナンデスを抜かすには160点(まあそれよりもちょっと少ないですが)が必要です。


I think it’s gonna be close
これは接戦だな。


Naaah
いやー(それはないでしょ)





I really do, yeah it’s gonna be close
いや、マジで、接戦だと思うな。

(↑ 当然、冗談で言ってます)





Oh my, what a monster score! 194, that, that’s the second highest free program score of all time

あらまあ、これはものすごいスコアです。194点、フリープログラムでは史上二番目の得点です。


Second? Sorry, say that again?
二番目?ごめん、もっかい言って。


The second highest free program score
フリープログラムでは二番目のスコア。






And that’s with the deduction for the fall, AND room for the planned third quad that may come in later.
これ、転倒による減点を含めて、でしょ。しかもこれからまだ三つめのクワッドを入れる余裕も残して。


He wins by almost 40 points over Javier Fernandez.
40点近くの差を開けてハビエル・フェルナンデスを破りました。







(キス&クライで観客を煽ったり、お辞儀したりしている羽生選手が写る)

I think he’s thanking the fans.
ファンにありがとうって言ってるみたいだね。



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この後、PJクオンによる羽生選手のインタビューがありました。いずれ、CBCのHPに掲載されると思いますが、





なかなか上手に答えていました。羽生選手、英語もどんどん上達して、こうやってCBCのインタビューにも登場してくれるようになったのが嬉しいですね。


なお、解説の途中でキャロル・レインが羽生選手をべた褒めして、ちょっと思い出したようにパトリック・チャン選手を引き合いに出した際、カートが必死でフォローしたのが面白かったです。

(羽生選手に比べて)パトリックが「bigger skater」だとカートが言ったのは、スケーティングが豪快でスケールが大きい、といった意味ではないかな、と思いました。

しかしその後すぐ、羽生選手のことを「so whimsical」であると続け、これは彼のあまりにも簡単に四回転を跳んだり、連続ジャンプを軽々と決めたり、最初のジャンプでミスをしたかと思えば全く躊躇せずにその後にトリプルをくっつけて見せたりするのを「悪戯っぽい」とか「気まぐれのように」と称していますね。

これはおそらく羽生選手が(特に好調の時)、見てて「笑ってしまうほど」軽々と超人的な滑りをしてしまうことを言ってるのではないかしら。

しかし何と言っても私のツボはカートが羽生選手のジャンプを「天から授け落とされたもの」と形容したことです。そして彼の着氷を「フロート水上機が滑らかな湖面に降りるかのごとく」と。

カートさんの表現力、すごいですね。