インターネットの検索エンジンに自分の名前を入れると、自分と同じ名前の“他人”に出会えることがある。異なる土地で異なる人生を送り、年齢も外見も違う同姓同名の他人。そんな同姓同名を探す動きがネットの普及とともに広がっている。たかが名前、されど名前。全世界を探してもおそらく同姓同名はいないであろう記者が、ネット社会の同姓同名事情を追った。(道丸摩耶)

 ◆今年大ブレーク

 大河ドラマの影響で坂本龍馬ブームが続く中、今最もホットな“同姓同名”さんはこの人だろう。龍馬をテーマに1年間限定で発行される雑誌『RYOMA』の編集長を務める主婦の友社の坂本龍馬さん(37)。龍馬の末裔(まつえい)ではないが、祖先は高知の出身だ。

 「龍馬ファンの父がつけた名前です。有名な人物だけに何かと言われますが、自分も高知に行ったり本を読んだりと龍馬の研究をしていましたし、嫌な思いをしたことはないですね」

 『RYOMA』はこれまで女性誌が中心だった同社が初めて出す歴史雑誌。当初は「名前が同じというだけで、ふざけている」と全国の龍馬ファンから怒られるのではないかと尻込みもした。しかし「やるなら徹底してやろう」と開き直り、編集長を引き受けた。龍馬の“コスプレ”姿も披露しながらのPRも奏功し、1月29日に出た創刊号は好評だ。有名人と同じ名前に名前負けしてしまう人もいる中、“本家”と同様の熱心さで、3月発売の第2号の準備を進めている。

 ◆運動15年で80人に

 同姓同名を探す活動を15年以上続ける人もいる。都内の広告代理店に勤める田中宏和さん(41)だ。

 田中さんが初めて同姓同名に出合ったのは平成6年秋。プロ野球ドラフト会議で、自分と同姓同名の高校生投手が近鉄(当時)の1位指名を受けた。

 「それまで自分の名前は嫌いでした。普通だし、そもそも田んぼの中という名字からして腰砕け。でも、田中宏和投手のおかげで、名前が同じだけで他人の人生を疑似体験できると分かったんです」

 この経験を年賀状でネタにした直後、たまたま手に取った文芸雑誌の広告で、文芸評論を出版した、また別の田中宏和さんを発見。ネットの普及とともに全国から情報が寄せられ、今では「会ったことがあるのは自分も入れて17人だが、情報だけなら80人を超えた」という。

 昨年は「田中宏和のうた」も作った。作詞・田中宏和、作曲・田中宏和、歌・田中宏和。ただし、作詞と作曲は別の田中宏和さんで、歌っているのは総計11人の田中宏和さんだ。現在、2曲目「名前さえあればいい」の制作も進められ、今月下旬には14人の田中宏和さんが共著で『田中宏和さん』という本を出す。

 「今は無理して『オンリーワン』になろうとする風潮があるが、それは人を追い込む。同じ名前でも人はこれだけ違う。同姓同名を探すと、生きているだけで十分オンリーワンだということが認識できるんです」

                   ◇

 ■ネットで探せる「同姓同名」サイト

 ネットで「同姓同名」を検索すると、いくつかのHPが出てくる。

 「同姓同名辞典」は昔の電話帳データを元に、同姓同名の数や順位が分かるサイト。「同姓同名クラブ」では、入会者の名前やコメントが登録されており、同姓同名を探せる。

 会員制コミュニティーサイト「mixi」にも、同姓同名にまつわるコミュニティーがある。有名人と同姓同名の人が集うコミュニティーでは「すぐに覚えてもらえる」「同名歌手の歌を歌わされる」など、同姓同名ならではのエピソードが披露されている。

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