東海道新幹線の品川-小田原間で先月29日、停電が発生し約3時間半にわたり運転ができなくなったトラブルは、同区間の下り線を走っていた「こだま659号」の12号車のパンタグラフの一部が、部品交換時のボルト付け忘れによって外れ、架線を切断したことが原因であることが1日、JR東海の調査でわかった。

 659号は、架線が切れた29日の午前から午後にかけ、ボルトを付け忘れたまま東京-新大阪間を1往復(計約1千キロ)していた。事故当時は時速180キロだった。

 JR東海によると、付け忘れていたのは、3本の架線のうち電気を供給するトロリ線と接するパンタグラフの「舟体(ふなたい)」と、舟体を支える「上枠」と呼ばれる鉄製アーム(長さ約1メートル)を固定するステンレス製のボルト。1月27日、運行終了後の目視による検査で舟体に異常が見つかり、大井車両基地(東京都品川区)で交換したが、この際、作業員がボルト4本すべてを付け忘れたという。

 このため走行中に舟体が脱落し、支えを失って上昇した上枠が線路脇の電柱と架線をつなぐ棒状の金具と接触。この金具に引っ張られる形で、トロリ線をつる補助吊架(ちょうか)線がちぎれたという。

 交換作業は同社の作業員2人と監督者1人が担当したが、3人ともミスに気付かなかった。JR東海は「まれに行う作業ゆえの人為ミス。真摯(しんし)に受け止め再発防止を図りたい」と釈明。部品の数量管理や作業記録の明確化といった再発防止策を徹底するとした。

 停電は1月29日午後1時50分ごろに発生。品川-小田原駅間で5本が立ち往生し、乗客約3100人が3時間半近くにわたり車内に缶詰め状態になったほか、計56本が運休し終日ダイヤが乱れた。

 ■完全なミス

 ≪曽根悟・工学院大客員教授(鉄道工学)の話≫

 「パンタグラフは車体と比べて構造がはるかに弱く、高速で走る新幹線ならば、なおさら細心の注意を払って作業する必要があった。ボルトが緩んでいたということとは質が違う完全なミスが起きた」

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