「これまで『小泉チルドレン』の代表格と呼ばれてきたが、この際、卒業させてほしい」

 1月9日。昨年の衆院選で自民党公認候補として、山梨3区から出馬し落選した前衆院議員の小野次郎(56)は、地元の山梨県南アルプス市で開いた会合で、離党を宣言した。

 小野は、民主党候補に大差をつけられたとの理由で、次期衆院選の候補者となる選挙区支部長に選任されず、地元の地方議員らとの連携もうまくいっていなかった。会合では、「自民党は様変わりした。潔くリセットし、新たな境地で新たな出発をしたい」と述べ、再出発への固い決意を隠さなかった。

 平成17年のいわゆる「郵政選挙」で初当選した自民党衆院議員は「小泉チルドレン」と呼ばれ、メディアをにぎわした。しかし、昨年の衆院選で再選できたのはわずか10人。落選者には、地元との関係がうまくいかないまま「新天地」を探す動きが出始めている。

 小野に先んじて自民党に見切りを付けた篠田陽介(36)は昨年末から、朝日の昇らぬ時刻から名古屋市郊外にある青果物卸売業のアルバイトをしている。野菜の袋詰め作業をするのが日課だ。

 採用面接で「国会議員の肩書は通用しないぞ」とくぎを刺された。他にも金銭面で条件のよい働き口の誘いはあった。それでも、体力的にきついこの仕事を選んだのは、庶民の経済感覚に直接触れることができると考えたためだ。午後を政治活動に充てられることも理由にあった。

 自民党の公募候補だった篠田は17年衆院選で、愛知1区で初挑戦。現名古屋市長の河村たかしに敗れたが、比例代表で復活当選した。だが、逆風を受けた昨年の衆院選は、河村後継の民主党候補に完敗した。

 「本当に党を変えるつもりがあるのか。改革マインドを疑う」

 昨年9月の総裁選では、河野太郎に党再生をかけたがかなわなかった。幹部の顔ぶれはベテラン偏重と映り、離党を決意した。

 秘書として仕えたことがある元自民党幹事長の武部勤も「もう君が決めたことだ。『ぼくはこれだけ大きくなりました』と、いつかおれの前に顔を出せ」と送り出した。しかし、1区内では「公募でここの候補者に選ばれたのだから、離党したら出ていってくれ」と風当たりはきつい。

 それでも篠田は強気の姿勢を崩さない。「いずれ私の考えや思いが、武部氏に分かっていただけるように頑張る。離党を決断したことに多くの方からエールが来ている」と、自身の決断が正しかったと強調する。

 小野、篠田ともみんなの党入りが取りざたされている。ただ、小野は参院選出馬も模索するのに対し、篠田はあくまで1区で捲土重来を期す考えだ。

 近江屋信広(60)は、住み慣れた東京から出身地の秋田県に拠点を移した。今夏の参院選で秋田選挙区から自民党公認での出馬を目指し、昨秋からミニ集会やあいさつ回りをこまめにこなし、名簿の整理にも余念がない。

 過去2度の衆院選では、比例代表の単独候補だったため、有権者から自らの名前を投票用紙に書いてもらった経験がない。党本部で元事務局次長・総裁幹事長室部長だった経歴も、地元での知名度アップには役立っていない。

 「今度は『近江屋』と名前を書ける選挙にしてほしい」と期待する支援者に、「衆参は対等だし、現在の国会情勢を考えれば、参院のあり方は重要だ」との思いで、懸命に支持をお願いしている。

 だが、肝心の同党秋田県連は候補者の選出方法を決めないままでいる。県内党員の一人は「秋田の党員全員が応援できる『勝てる候補』を擁立しなければならない」と話す。近江屋に党職員への復帰は頭にない。だが、国政への道筋は容易には描けない。(敬称略)

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