理牌しないで打つのが格好いい、

と思う若い人は実は結構いると思う。


確かに、初めてそういう人の後ろで見たときなどは、

凄いな、と思うこともあるかもしれない。


理牌しないで打つことに歪んだ憧憬のある人などは、

わざわざ聴牌してから手牌をバラバラに並び替えることもある。

倒したときにバラバラな方が格好いい、と。


清一だったりすると特に。



ある日フリーで若い子と打っていて、

その子がリーチをかけた。

しばらくしてその子がツモる。


すると、手牌を倒さないで一所懸命理牌し出す。


それが随分長い。


30秒くらいカチャカチャと動かして、

やっと手牌を倒す。


「ゴットーです」


あ、そう。


二、三度それを繰り返して、いい加減嫌気が差した。

「あのね――」


「ダマで出たのならともかく、君はリーチしてるんだから、

 待ち牌が出るまでの間に理牌しとけばいいでしょ?」


「あ、はい」


意外に素直である。



またその子が親番でリーチをかけた。

下家が一発で当たり牌を切る。

「ロン!」

今度は慌てて手牌を倒す。

手牌はバラバラ。


倒したまま、カチャカチャと理牌している。


「すいません、一発だったもんで――」


並べると――

テンパってない。

「あ!ぼくチョンボです!」


自分でそう言って、

全員に4000点をさっさっと支払うと、

何もなかったかのように牌を落としてしまった。


今のなに?