月の森に住む鴉

みずやの書いた小説や詩を掲載するブログ。暇つぶしにどうぞ。





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わたしにとってのあなたは


家族ではないけど家族のような人。


兄弟ではないけど兄弟のような人。


ちょっと頼りなくて、でも尊敬していて


だいすきで。



きっとあなたがわたしの世界から消えてしまったなら


その穴は決して埋まることはない。


だれも、あなたの代わりにはなれない。



これを誰かは恋だと言ったけれど


そうではないことを、わたしが誰よりもよく知っている。



そんな単純なものではない。



君はおれのことを、どう思っているのって


あなたは聞いてきたけれど


言葉にはできないよ。


だって、相応しい言葉を見つけられないんだもの。



でも、あなただって


わたしが同じ質問をしたら


とても困ったように笑って


灼熱の砂漠で飲む、キンキンに冷えたコーラ


気まぐれに出かけた先で、憧れていた有名人に出会える幸運


起爆剤


なんて、なんだか可笑しなものにわたしを例えるんだもの。



この気持ちになんて名前をつけたらいいの。


恋愛感情でもない。


友達なんてありふれた言葉で表すにも違和感があるのよ。



なんの名前も付けられないこの想いと関係。


でも、マボロシではなくそこに確かにあるもの。



****************



こんな人が私の近くにいてくれること。

それだけで私はどんなことも頑張れるような気がするんです。

誰に感謝すればいいのか分からないけど。

わたしの大切なその人に一番感謝すればいいのかな?


どんな時も絶対裏切らないって信じられる人が、この世に一人でもいてくれるなら

いつも絶対わたしの味方でいてくれる人が、たった一人でもいてくれるなら

頑張って生きようって思えるのです。

そして私も、その人の味方でいたいと思うのです。

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15 髪、かわかしてあげる
  美容院で触られるのも嫌。親に頭を撫でられるのでさえも嫌。
  でも、どうしてあなたにそうやって髪を引っ張られても嫌じゃないのかしら。
  廊下に水滴を点々と落としていく風呂上りの私の髪を、呆れながらドライヤーで乾かしてくれるあなたの手  

  は、冷たくて気持ちがいい。とても。
 


16 迷う視線
  ちゃんと私の方を見て!
  そして、言いたいことがあるならちゃんと言ってよ。


17 満たされない欲
  どんなにあなたが優しくても。
  どんなにあなたが微笑みかけてくれたとしても。
  友達のままじゃ嫌なの。
  はやく私に付き合って下さいと言って。
  このままじゃ、欲求不満な私のほうから問答無用で襲いかかるわよ。


18 果てが見えない
  いつも、恋のはじめには、その恋の果ては見えない。


19 夜明けの地平線
  いつも、自分の居場所はここじゃないんだって思っていた。
  自分にもっとふさわしい別の場所があって、そこにいけばきっと自分は幸福になれる。
  でも、いまここにいなければ、こんなにきれいな空はみられなかったなあとか。
  すれ違った可愛いおばあちゃんと挨拶をかわすこともなかったなあとか。
  そんな小さな幸せを幸せと感じることができたから。
  それはきっと私の内側の世界の夜が明けたんだろう。


20 行こう
  手を差し出されても、私はあなたについては行かないよ。
  ちょっとだけ待っていて。すぐにあなたを追い越して、そして私があなたに言うの。
  行こう、って。


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11、重いものを乗せた肩


心の重さなんて本当は誰にも分からない。

だってそれは実体のないもの。眼には見えないもの。でも確かにそこにある。

でもこの世界でだったひとつでも質量として認識できるたった一つの心があるとしたら、それこそがその人が守るべき心なんだろう。

そしてその心の持ち主こそが、きっと運命の相手なのだ。



12、はやく!


急かされても、わたしは自分の好きな速さで楽しく歩くわ。

ゴールひとつ定まっていれば、どんなに遠回りしたっていいんじゃないの?だってそれなら迷子にならなくて済む。

誰も見られない景色を、自分だけに見える景色を眺めながら歩けるなら、それはとても素敵なことよ。



13、きのうみた夢


昨日の夢は、とても幸福な夢だった。

なにも失わなかった夢。ずっとあなたの横で微睡んでいられる夢。

でも、もうそんな夢は見たくない。

だって、現実で去っていったあなたが帰ってきてくれた今日に勝る幸福は、今のところ見つけられないもの。



14、虚空へ消えた声


行かないで。

そう言えたなら、私はどれだけ幸せか。

そしてそれはあなたの不幸でもあるの。

優しいあなたは、きっと私の手をふりほどけずに、いつまでも自分を殺し続けてしまうのでしょう。

だからあなたには聞こえないように、吐息に混ぜて宙へと放った。








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6、希望を願う、その姿


 あの子が元気でいるならそれだけで幸せ。

 いつも叱ってばかりだけど、本当は元気でいてくれること、それだけでいいんだよね。

 学校の成績が悪くたって、部屋の片付けができなくたって。

 病気しないで、いつも機嫌よく笑ってくれてるなら、それだけで私はじゅうぶん。


 ※これは病院実習中に出会った患者さんの言葉の一部。

   これを聞いたとき、なんだか涙が出そうだった。



7、手を繋ごう


 あったかくなくてもいい? 

 もしかしたら、緊張しているから汗ばんでいるかも。

 それでもいい?



8、枕に埋めた額


 縋って泣ける相手がいないから、枕に額を押し付けた。

 がんばれ、わたし。泣くんじゃない。



9、月


 私はよく失敗するし、泣き言だっていう。でもはあなたは頑張る私のことをいつだって優しく見守ってくれる。あなたがそばにいてくれるだけで安心するんだよ。

 私にいつも同じ顔を向けてくれなくてもいいんだよ。強いあなた。優しいあなた。本当はちょっと気の弱いあなた。あなたの泣き言だって私は聞きたい。あなたが泣いているときはそばにいたいんだ。



10、傷ついた猫によく似た


 恋愛に臆病になった君に触れるにはどうしたらいいのか。

 そんなことを考えながらずっと君に片思いしてきたんだよ。スタート地点をマイナスに置かれた僕は、それでも君の心に追いつくまで頑張るよ。僕が勝ったら、キスくらいさせてくれてもいいよね。




お題の配布元:TV



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1、たよりない笑顔


 どうしてだかわからない。でも、私はたしかにあなたに惹かれていて、それはもう何か大きな力が私に働いているとしか思えないほどに、私はその気持ちに抗うことができないの。

 あなたのその笑顔。

 どこまで頼りないのかしら。触れれば空気に溶けて消えてしまいそうなほどにふわりとしたそれ。

 私がそばにいてずっと守ってあげなくちゃって、私がいなかったらどこかで死んでしまうんじゃないかって、そう思ってしまうじゃない。

 でも私だって、あなたのその顔をずっとそばで見ていないと、のどが渇いて死んでしまうのだわ。



2、追いかけるのはいつも


 いつでも涼しい顔して、余裕な態度で飄々と生きている。

 きっと陰で努力しているんだろうけど、それでもやっぱり私はあなたが気に入らないのよ。

 追いかけるのはいつも私ばかりなんだもの。

 いつかあなたがみっともなく汗をかいて私を追いかけて来るなら、それはそれで楽しいんでしょうけど。

 でも、そんなあなたを見るのはやっぱり嫌ね。

 だって、私はあなたと並んで歩きたいのよ。



3、動けないきみ


 意地っ張りで、すぐに膨れて。

 いつも偉そうで、おれを困らせて遊ぶのが好きで。

 たまに喧嘩しても、最後に謝るのはいつも俺のほうで。

 でもそれがあんまり悔しかったから、ちょっとした悪戯心できみを壁に押しうけて動けなくしてみた。

 驚いたように、……ちょっと怯えたように俺を見上げるきみをみて、可愛いなと思ったけれど。

 偉そうでも晴れやかに笑うきみのほうが、おとなしいきみよりもずっと好きだって思った。



4、つまずいた身体


 すくいあげた君の身体。なんて軽いんだろう。

 力いっぱい抱きしめてしまえば、きっと簡単につぶれてしまいそうなほどに柔らか。

 でもその中には、喜びや幸福やちょっとしたわがままや思いやりや楽しさ、そんなキラキラしたものが沢山詰まっているんだろう。

 空っぽの僕の中まで、あたたかなもので満杯にしてしまうほどに。



5、とらえてみせよう


 捕まえようたって、そう簡単にはいかない。

 だって私はあなたを待ったりはしない。

 私はあなたが憧れている「私」に胸を張れるような女になりたいの。

 そのためには妥協なんてしない。立ち止まるつもりはないわ。

 だから私を引き留めるんじゃなくて、あなたがここまで走ってきなさい。




お題の配布元:TV



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はじまりはここから!!


きらきらら プロローグ




「お前は結局自分のために願いを叶えたんだな」


 雲つくりの青年はあきれたようにため息をつきます。


 星つくりの少年はせっせと星を作りながら、楽しげに笑いました。


「そりゃそうさ。僕が純粋にいい神さまなわけないじゃないか」


「まあ、お前ってそういうやつだわな……」


 雲つくりの青年の苦笑いに、星つくりの少年は言います。


「僕は僕のやりたいことしかしない。だってほら見て、この願い」


 星つくりの少年は小さな羊皮紙に書き留めておいた女の子の願いを雲つくりの青年に見せました。


「なになに、【わたしが死んだら、彼が私のことを忘れますように】……? なんだこれ」


 首をかしげた青年に少年はおかしげに笑いました。


「とびきり素敵な願いだと思わないか? 彼女の心には彼を想う心しかない。真に純粋な相手への愛情だ。自分が死んだあと彼が悲しまないように、自分のことを忘れてほしいだなんてさ。ばかばかしいほど自己犠牲に酔っているね」


「生きているじゃないか、彼女」


 雲つくりの青年は地上を見下ろして首をかしげました。青年の目には、お互いに抱き合う女の子と男の子の姿が映っています。


「彼女は7年前に事故で重傷を負ったんだ。体の傷は癒えたが、ずっと意識が戻らなかった。彼女のは明日死ぬことになっていたんだよ」


 でも、と、星つくりの少年は、男の子のほうに目を向けて言いました。


「この前言ったと思うが、毎日一つずつ僕の気に入る願いが上ってくるんだ。それは彼の心だった。彼の心もとびきり。そしてとても分かりやすい」


「どういうことだ?」


 星つくりの少年は、黄色い折り紙で作られた短冊を指の間に挟んでひらひらと揺らしました。


「これは七夕の短冊に書かれていた彼の願いだ。まったく……こんな安っぽい紙に書くとは……真剣味が無いにもほどがあるな」


「何と書かれていたんだ」


「彼女が目覚めますようにと書いてある。まあ、そんな願いを持つ奴は世の中に何人もいるが、彼は真実それを願い、日々努力していた。声をかけても返事も帰ってこない相手に7年間も話しかけ続けたんだ。愚かものさ」


「お前なあ……」


「実際、僕が関わっていなければ、彼の願いなんて叶わなかった。でも、その愚かさが逆に好ましくも感じるけどさ」


 星つくりの少年は、二人の心で作ったきれいな星を満足げに見ます。


「まあ、いいじゃないか。僕が作った流れ星をみて願いを込めたのは彼。声を出せない彼女には流れ星に願いを言うことなんてできないからな。そして星の材料は彼と彼女の心さ。二人とも自分たちの心で願いが叶えられたんだ」

 

「彼のほうはともかく、彼女に対してやったことは詐欺なんじゃないか?」


 願いを込めて星を作ると女の子に約束した星つくりの少年は悪びれることなくにこりと笑います。


「ああでも言って彼女から心をもらわないと、星自体作れなかったし。いいのいいの、結果オーライだから.。僕、後ろ向きな願いよりも前向きな願いのほうが好きなんだよ。だから彼のほうの願いを叶えることにしたんだ。まあ、これは僕から二人へのお礼ってことで」


 そんなことより、と、星つくりの少年は雲つくりの青年に自分の部屋に飾ったきれいな星々を自慢げに見せつけました。


 男の子と女の子のとびきりの心で作った特別な星。どこまでも美しく輝いています。


「これをさ。、自分の部屋だけで楽しむのはなんだかもったいないと思わない?できればみんなにも見せびらかしたい。だから夜になったら空にきれいに並べて飾ってみようと思うんだ」


「そうか、勝手にしろ」


 あきれて去ろうとした雲つくりの青年に、星つくりの少年は言います。


「あれ、手伝ってくれないの?」


「そんな面倒くさいことに付き合ってられるか」


「せっかく、この星を一個分けてあげようとおもったのにさ」


 その言葉に、雲つくりの青年はぐっと足を止めました。そして悔しげに言います。


「次に星を地上に流すときは、俺の願いを込めさせてくれ。お前の性格がよくなりますようにってな」


「あはは、何言ってるの? 僕って友達思いのいい神様じゃないか」


 星つくりの少年はそう言って笑うと、どんなふうに夜空に星を並べるかの思案を始めました。




 そして、星つくりの少年が雲つくりの青年をこき使い夜空に並べた星は、たくさんの星座になりました。




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


☆あとがき☆



長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

ピグで参加させていただいているコミュの7月のお題『流れ星』をテーマにお話を書きました。


今日、うどん職人さんとお話をする機会があったのですが、そのあと少年がせっせといろんなものを捏ねて星を作っている姿が思い浮かびまして。思うままに一気に書き上げました。


思わず長い話になってしまいましたが、楽しんでいただければ嬉しいです。


ご意見ご感想、アドバイス等お待ちしています。


よろしくお願いします。 




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 きらきら、きらきらら




 真夜中、一つの流れ星が夜空を駆け抜けました。








 女の子の世界を明るい日の光が包んでいました。


 ベッドの中で目を開き、ゆっくりと体を起こし、窓の外を見ます。


 窓から見える空は快晴。窓を開けると空には鳥が舞い、緑の葉をまとった木々が夏の風に揺れてさわさわと音を立てます。




「夢を見ていたような気がするけれど」




 そうつぶやいた女の子は、窓辺に立ち、朝の空気を胸いっぱいに吸い込みました。





 今日は日曜日のようで、家の一階では両親の足音がします。


 女の子は机の上に飾ってある写真立てをみてにこりと笑いました。


「また会えるのね」


 そうつぶやいたとき、聞きなれた足音が聞こえました。男の子が階段を上ってくる音です。


 足音はまっすぐに女の子の部屋へ向かっています。


 そしていつものように、そっと丁寧に部屋のドアを開けて中をのぞいた男の子に女の子は抱きつきました。






 男の子は驚いていました。


 夢でも見ているかのようです。


「どうして」


「ごめんね、心配かけて」


 女の子の声が男の子の耳のすぐそばで聞こえます。それは7年目よりもずっと大人びたきれいな女の子の声でした。


「俺は夢を見てるのか」


「もしかしたらそうかもしれない。だって私も夢を見ているのかと思ってしまったもの」


 男の子は女の子の胸に耳を寄せました。


「生きているのか? 音が聞こえる。生きてる音が」


「まだ死んでないよ」


 おかしげに笑った女の子に、顔をあげた男の子も笑い返しました。



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 星つくりの少年は女の子からたくさんの心を受け取って、そしてさっそく空のてっぺんで星を作り始めました。


 まずは流れ星から作ります。女の子の心に、一つだけ願いを混ぜて捏ね合せました。


 丁寧に丁寧に捏ね合せ、そして形を整えます。

 

 そして満足げに顔をあげた星つくりの少年の掌には、それはそれはきれいな光を放つ星がありました。

 

「これはすばらしい。こんなの見たことないよ」


 星つくりの少年がうっとりとため息をつくと、また雲つくりの青年がやってきました。


 自分で作った真っ白な雲の絨毯に乗っています。


「みろよこの雲の絨毯。美しいだろう。これほど美しいものはこの世にはないと思う」


 雲つくりの青年は自慢げに言います。でも星つくりの少年は目もくれませんでした。


 そして自分が作った美しい星を掲げます。


「これを見ろ。美しいだろう? こんなに美しい星は見たことがないさ」


 星つくりの少年の手に乗った星を見て、雲つくりの青年は驚きました。


「なんだこれは。もしかしてこれがきれいな心で作った星か? 本当だ、こんなに美しいものはない……」


 雲つくりの青年は自分の絨毯のことも忘れて、星つくりの少年が作った星に魅了されてしまいました。


 掌の中の星に向かって小さく呪文をつぶやくと、星つくりの少年は空のてっぺんから星を落としました。


 あわてたのは雲つくりの青年です。


「何をしてる!? どうして落としたりしたんだ!」


 星つくりの少年は安心したように息を吐きました。


「いいのさ」


「何がいいんだよ」


 雲つくりの青年は不満そうに言いました。でも星つくりの少年は笑顔を浮かべて地上を見下ろしています。



「これで僕の願いがかなうんだから」



 星つくりの少年のこの言葉に、雲つくりの青年は首をかしげました。

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 星つくりの少年は退屈でした。


 空高くに上ってくるのはいつもと変わり映えのない心。


 「『神さまお願いします』? はあ、ばかだなあこいつ。神さまっていうのは願いを叶えてくれる存在じゃなくて、いつもタダ見てるだけの奴なのに。気紛れにちょっぴり幸運を分けることもあるけどさ。結局自分で頑張らないやつにそんなもの分けてやろうとも思わないさ。って、そういえば僕も神さまの端くれだっけ?」


 星つくりの少年は自嘲気味に笑いました。今夜は特に仕事に気が乗りません。


「あーあ、つまんない。月女神様に怒られてもいいから仕事さぼっちゃおうかなー」


 少年がごろりと空のてっぺんに寝ころぶと、ふわふわと一つの小さな心が上がってきました。


 目の前にふんわりと浮いているそれを見た少年は、体を起こし呟きました。


「これってなんかおいしそう」


 白いような桃色のようなふわふわとした幸せな心です。星つくりの少年は心の端をほんの小さくちぎって口にいれました。


 すると一瞬にして星つくりの少年の体が温かい空気に包まれ、自分の心に淡い光が灯りました。


 星つくりの少年は、ふわふわと漂うその心を両手でそっと掬うと、にこりと微笑みました。


「これは僕のとびきりの星を作るための材料になるな。大事にとっておこう」



 それから、やっぱり仕事をする気になった星つくりの少年は、地上から上ってくる心を集めては、捏ねて星を作りました。


 上ってくる心は星つくりの少年が「汚い」とそっぽをむくような心や、くだらない心がたくさんありました。それはいつもと同じことです。


 しかし、今夜は違いました。


 たまにさっき食べたようなふわふわの甘く幸せな心がいくつも上ってくるのです。少年はつまみ食いをしながらも、その心を大切に取っておきました。


「これってみんな同じ心? 誰の心だろう」


 星つくりの少年は、ふわふわの心が上ってくる場所を見下ろしました。ぐんと近づいて見てみると、そこは小さな二階建ての家で、そしてその二階のまどからふわふわとたくさんの甘く幸せな心が浮かび上がってくるのです。


 星つくりの少年が窓を覗き込むと、そこには女の子がベッドの中で眠っていました。


 星つくりの少年は窓をすり抜けて部屋の中へ入りました。そして女の子に話しかけます。


「ねえ、この綿菓子みたいな甘い心は君のもの? 僕が作る星の材料にしたいんだ。もっと頂戴」


 星つくりの少年の言葉に返事がありました。


<あなたは誰?>


 その声は女の子から発せられたものでしたが、女の子は一度も唇で言葉を紡ぎませんでした。それは女の子の心の声。


 でもそんなことは星つくりの少年にはどうでもいいことでした。


「僕は≪星つくり≫さ。僕は君の心が気に入ったんだ」


<わたしの心?>


「そうさ。君の心はとびっきり素敵な心だ。君の心なら、それはきっと誰も見たことのないきれいな星になる。僕が夢見ているとびっきりの星ができる」


 少年は重ねて言います。


「だからもっと君の心をおくれよ」


 星つくりの少年の言葉に、女の子は少し考えるように間を置きました。そして少年がさっき言ったことを尋ねます。


<あなたは星をつくるの?>


「そうだよ」


<流れ星も作れる?>


 星つくりの少年はうなづきました。


「ああ。作った星を空に浮かべずに地上に落とせばいいだけさ。でも、流れ星になれる星はあんまりないな」


<どうして?>


「流れ星は願いをかなえる星だから。流れ星に願いを込めれば願いが叶うのは君だって知ってることだろう? そしてそれはとても特別なことだ。だから流れ星を作るには、特別に素敵な心でないといけない」


 神さまとしての星つくりは、特別な星を頑張っている人の頭上に落として、ほんの少しの幸運のかけらを分けてあげます。


 でも星つくりは、そんなことほとんどしたことがありませんでした。


「流れ星を作ってあげたいって思う人間は、まあ、いるにはいるさ。でもそれにはいい心が足りない。誰かの幸せを願う心や、生きたいと強く願う心。そんな心が星の美しい輝きになる」


<わたしの心じゃダメ?>


「君の心は僕が欲しいんだ。きれいな星を作って、僕だけの星にするんだよ。ずっと部屋に飾って大事にするんだ」


 星つくりの少年は、自分が作る最高の星をうっとりと思い描きました。


 そんな少年に女の子は言いました。


<それじゃ、わたしの心をおあなたにたくさんあげる。だからあなたの作りたい星を作って。そして余った心で、わたしのために一つ流れ星を作ってよ>


 星つくりの少年はうなづきました。


「それならまあいいよ。流れ星にどんな願いを込めたいの? それを言ってくれれば僕がちゃんと流れ星の中に君の願いを混ぜて捏ねてあげるから」


<ほんとう!?>


 女の子のうれしそうな声に、星つくりの少年は言いました。




「うん。だって君、願いを声にできないでしょう? もう誰とも話ができないんだよね」



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 星つくりの少年がいました。


 少年の仕事は、夜空の星を作ること。


 月女神様が起きて夜を照らしはじめる前に、西の空に星をこしらえることから少年の仕事ははじまります。


 少年は空のてっぺんにいて、星の材料となるものをたくさんかき集めます。


 星の材料は、光や闇や希望や悲しみ。そのほかのいろんな心を集めて、星つくりの少年はそれらを丁寧に捏ねあわせます。

 そして出来上がるのは、どれも闇夜を照らす美しい光の粒。

 心は地上から空へ上ってくる動物や植物、そして人間のもの。少年の手にかかれば、どんな醜い感情であっても美しく光り輝くのです。








 ある日、星つくりの少年のもとに、雲つくりの青年がやってきました。

「仕事ははかどっている?」


 星つくりの少年は、空のてっぺんに寝そべったまま面倒臭そうに答えました。


「仕事はしてるさ。順調にね。でもつまらない」


「つまらない?」


 雲つくりの青年に、星つくりの少年は頷きました。


 そばに放っておいた作りかけの星を掴んで、掌で転がします。


「最近、心を集めるのが楽しくない。だってどれもこれも汚い心ばかりなんだもの」


「きれいな心はないの?」


「まあないことはないよ。でも僕が気に入るような心が毎日一つずつ上ってくるくらいさ。ほかはつまらないものばかり」


「それを美しい星に仕上げるのが、君の得意とするところじゃないか」


「そりゃそうさ。僕ほどの腕は誰も持ってない。でもね、さすがの僕にもどうにもできない心がある」


 星つくりの少年は、掌の中の輝きを持たない作りかけの星を放り投げました。


「誰かを殺したい、死にたいって心さ」


 雲つくりの青年は「ふーん」とつぶやくと星つくりの少年に尋ねます。


「誰かを殺したいっていう心は、僕もまあ好きな心ではないかな。でも、どうして死にたいっていう心はダメなのさ?」



「どちらも命を奪うってことに変わりはないからさ。それが他人であるか自分であるかの違いだけだ」



 星つくりの少年は地上を見下ろしました。眼下に広がるのは街を行くたくさんの人々。


「特にこの地点が多い。見ろよ、人間ばかりさ。森の植物や、砂漠に住む動物はそんな感情は一つも持ってない」


「動物だって、狩りをするだろう?」


「それは自分が生きるためだ。相手を殺すためじゃない」

 

 星つくりの少年はため息をつきます。


「僕は本物のきれいな心がほしい。そんな心を集めて捏ねて、そして出来上がった星は、そりゃあきれいに輝くだろう。きっと誰も見たことのないような」



 雲つくりの青年はふたたび「ふーん」とつぶやくと、地上を眺めてばかりの星つくりの少年にあきれて、東の空へ雨を降らせに飛んでいきました。



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