みずのこえ ことばこころほどき

ことばこころほどき、とは
あなたのかたくなった部分をほどくメッセージです。


テーマ:
今日もお話です。
創作話ですが
それは突然降りてきたお話が
始まりでした。

そこから夢で観たり
パッと白昼夢で浮かんだり。

そのあとも、脳内の中で役者さんが、
どんどんお話を続けてくれていってます。


来る潮帰る波

実になる花~追伸


その後の約10年の怒涛のお話です。

これは数年かけて書いていくと思います。


年表のように、ここで何が起こる、
ということは判っていても
どうしてそうなるかが判らなかった点が
ようやく見えました、
そうなる起点が。


ジェットコースターのような
その10年を生きる二花が、
穏やかに軽やかに生きられる
その到達のシーンを知っているから
途中の辛い場面も書けるだろう、とは
思います。


と言っても
痛快に爽快に言い放つ神楽あってこそ、
です。
この話が成り立つのは。



被害者意識を笑い飛ばす
痛烈な、且つ甲斐甲斐しい
神楽の目線でのお話と

各々の欲望が渦巻いてぶつかり合う
ドロドロしたドラマティックな
瑠璃目線でのお話と

同時期を交互に書いていきます。

でないと、書けません。


神楽目線の話は
とおっても楽しく書けます。


タイトルのトーチカについては、
また。


神楽の言うことばが
わたしの主義・主張に
いちばん近いと思います。

でも、まだ甘いけどね。


神楽シーンは
性描写も今はありませんし
スカッと読めます。



では、お楽しみ下さい。







トーチカ~神楽シーン①




神楽ーかぐらーは眼の前の大群の花々に面食らった。

「卒業おめでとう、神楽。」

二花ーつぐはるーから春らしい色合いの愛らしいながらもシックな花束を渡され、貰い受けながら、神楽はクスッと苦笑する。

「ありがとう、二花くん。」

花束には、神楽の好きな緑色のカラーや、班入りのオンシジュームが入っている。そこら辺は二花らしく、抜け目無いのだけども。

「でも、お祝いする程でも無いよ。平成の小学校なんて、よっぽどで無い限り、普通に大体の人は卒業できる事、知らないの?」

「昭和後期の小学校もそうだけどな。節目のお祝いくらい、したいじゃないか。」

しれっとした神楽に、二花は何時もながらと判っていても拍子抜けする。

「お祝い、ありがとう。でも、わざわざこの日を狙って来るほどの日でも無いから。」

「狙って来させてくれよな。」

「いい迷惑。それは二花くんの自己満足でしかないんだよ。あなたは寂しい人だから、擬似親子体験がしたいだけ本物の親の気持ちも判らない癖にね。しかも、入門クラスにも入れてないし。」

睨む訳でもない、嘲笑う訳でもない。
いつも通りの、偽善を突いてくる、十二歳の神楽の淡々とした発言だった。

そういう時に二花は一瞬怯むが、すぐに少年のように柔らかく笑む。

「だな。」

「お花は有難く頂きます。でも、あたしはお祝いなら、瑠璃ちゃんの写真集の方がずっとか嬉しい。」

花束をテーブルの上に置いて、ようやくニカッと笑った神楽は、十二歳女子標準の背丈と、ほっそりした体型。
ショートカットで白い肌、眼がクリっとした可愛い顔立ちだ。

二花は躊躇して、頬を掻く。

「瑠璃の写真集なんて、無いよ。」

「二花くん、自分で作ったらいいのに。二花くん好みショットで。」

「ヤバいだろ、そこまでしたら。」

話の方向が危うくなってきたので、二花は傍にあった裏向きの雑誌を何気に捲る。

「既にヤバいって気づいてないの?呆れた。」

その雑誌が、瑠璃の載っているローティーン向けの雑誌で、捲った頁に瑠璃の笑った全身ショットがあり、二花は慌てて雑誌を閉じた。

「もう、瑠璃ちゃん可愛いっ。何て可愛い娘なのっ。」

神楽はその雑誌を取り、表紙に写し出されている腰までのロングの髪の瑠璃の笑顔アップに見惚れる。
うっとりという表現がそのままの表情で、見続ける。

「モデルは瑠璃ちゃんオンリーでいいのに。他の娘は要らないや……ううん、だから余計に瑠璃ちゃんが光るのか。」

神楽は表紙の瑠璃の顔を指先でソッと撫でる。

「瑠璃、その雑誌、五月号で卒業なんだよ。」

「えっ!?何で?」

神楽は慌てて、少し照れている二花の顔を見上げる。

「もうローティーンズ誌の規格に当てはまらないんだよ。読者に人気があるから契約延ばしてたけど。ほら、背もあっという間に175まで伸びちまったし……胸もあるし。」

「えーやだ、そんなの。」

悔しそうに言いやって、神楽は二花をじっと見つめる。

「おっぱい、すっごく大きいもんね、瑠璃ちゃん。」

「そうだな……。」

二花は眼線を、ついっと神楽の横に動かした。

「巨乳好きの二花くんには溜まらないよねえ。」

「何で、そんな事言うんだよ?何だよ、その根拠は!?」

二花は慌てて神楽の顔を見張る。

「あたしが小さな子どもだから、何も判らないと思ってたんでしょ?お父さんと呑みながらの酔っ払いの会話を昔から聞いとったのに。」

「何だよ、それ……俺、そんな事言ってたか?」

二花は神楽の言葉に、頭を押さえて項垂れる。

「酔っ払いは覚えとらんのよ。乳はデカいのがいい、手に余る揉み具合がいいなんて戯言、まだ序の口だわ。」

「神楽、教えてくれよ……俺、もっと何言ってた?」

「そんな事言わせるの?まさか。セクハラって言うんだよ、それ。」

「……。」

二花は体育座りになり顔を膝につけ、絶句したままだった。

「もう、いい年したおじさんなんだから、いつまでも愛くるしい少年と人に思われてると勘違いしんようにね。人前では格好つけしいだけど、気をつけないとそろそろボロが出るよ。」

「非常に最近、それを危機と感じております。」

神楽は、ふふっと笑った。

「ただの助平な厄介なおじさんだと思われんようにね、瑠璃ちゃんに。」

「お前、変わってるよな。」

二花の見当違いな返答に、神楽は、少し顔を上げた二花の顔を、ただ見やる。

「神楽、お前本当に、俺の事が好きか?」

二花の言葉に、神楽は呆気に取られる。

「呆れた。何その、モテる男がよく使う常套句。それで、言い寄る女は全て俺のモンだ、なんて勘違いしとるの?」

「そうじゃなくて。」

「アホだわ。あなたの言う『好き』と、あたしの『好き』では、まるで次元が違うの。二花くんが誰を『好き』でも、あたしに関係ないよ。あなたはあなたの好きなように人生を生きたらいい。けど、アホ過ぎるのは話にならない。」

神楽は腕を伸ばし、二花の頬に中指と薬指の指先で触れる。

「あたしがそのアホな二花くんを好きでも、それはあなたを優越感に浸らせるものでは無いよ。」

「判ってるよ。」

二花は少年のように不貞腐れる。
容姿を見れば未だに青少年だから、顔でどう表現しても、少年のような未完全な感情表現にしか見えない。

「どんなように生きてもいい。この先、悲しい事だらけだとしても、何があっても、あなたは生きるんだから。その先の先に、あたしは居るの。その時にようやく、一緒に生きていけるの。」

「荘厳なSFストーリーみたいな話だな。」

語った事を二花は信じていないだろう。
神楽は、それでいいと心底思っていた。

「悲しい事だらけなのか?この先の俺。」

「ふふっ。そこに拘るのね。」

神楽は手を戻し、ニヤニヤと二花を見やった。

「今は瑠璃ちゃんのおっぱいに顔を埋めて、悦んどればいいんだよ。」

二花は神楽の言葉に身体中を赤く染め、後退りする。

「神楽、お前っ。」

「四十の男と十三歳の女の子との恋愛、公に出来ない関係、触りたくても触りまくれない年齢の壁。大変だよね。まあ、わざわざ大変な道を選んどるから仕方ないけどね。」

神楽が口に出した真実に、二花は打ちのめされた。
そういう客観的な意見を聞く度、それは発した方は決して糾弾しているつもりではないのだろうが、自分がとてつもない犯罪を侵しているような暗闇に落とされる。
神楽流に言えば、それは悦んで落ちていっている、んだろうな。二花は苦笑した。

「また、神楽に苛められてるのかぁ?」

スーツから普段着のジーンズと緑色のシャツに着替えてきた父は、シャツのボタンを閉めながら、居間のコタツの前に座った。

「また間違えとる。お父さん、あたしは二花くんを苛めた事は無いよ。」

「判った、判った。お前の正論は正しいよ。」

「瞬は何も聞いてないくせに言うなよ。」

二花は寝転がって、眼を閉じた。

「俺は神楽の小学校卒業の日を祝いたかっただけだよ。育てた子が、こんなに大きくなったんだなって実感したかっただけだよ。」

「それが自己満足。」

神楽の再びの棘のある言葉に、二花は眼を開いて神楽を見据える。

「育てた?あなたのしているのは何時でも何処でも、自分だけ気分の良くなる育児ごっこだよ。 あなたは本当の親の気持ちを何にも判っちゃない。責任が無い遊びの子育てをしてきただけ。実花ちゃんも椎也くんも、あなたに優しいから言わないだけ。本当に育てたって親の気持ちで言えるなら、 娘にムラムラする訳無いでしょう?」

「神楽っ。」

父の瞬は、神楽のきつい言葉に少しだけ水を差す。
二花は神楽を見据え続けていた。

「生憎だけどな。俺の親は実の子どもにムラムラしてたんだよ。俺はその血を引いてんだよ。」

「ああ、もうっ。被害者意識は、いい加減やめて。」

神楽は自分の耳を押えるようにし、そして首を大きく横に振った。

「それは二花くんは苦しかったね。お母さんも助けてくれなかったしね。酷い話だよね。腸が煮えくり返るよ。でも、だからと言って、それは尋常でないパターンの意見だよ。いいとか悪いとかの話をしとるんじゃないの。世の中の殆どの親は自分の子に欲情はせんの。その事実を知って!あなたの育った環境の場合は違っても、それが真実なの。それでも、二花くんは自信持って、瑠璃ちゃんも育てたって言えるの?」

二花は顔を歪ませてから、腕で自分の顔を覆う。

「それは瑠璃の場合だろ?神楽は違う。」

「違わなくない。あたしはずっと二花くんに『育てられた』とは思ってなかった。世話はしてもらったから、その事の感謝は大きくするわ。でも、『育てられた』んじゃない。本当はそれは、お父さんだって感じとる筈だよ。ごっこ遊びって事を。」

神楽は父に向き直る。

「それはいつか、二花だって気がつく時が来る筈……だろ?実際、二花が居てくれて、俺は助けられたしな。」

「あまーい!何だって、みんな、二花くんを、そうも甘やかすかね?」

神楽の少し子どもっぽく戯けたように拗ねる感じが、その場の緊張を解した。

「あの、唇をへの字にして泣きそうな顔で見られたら、少年を苛めてるみたいな加害者の気分になっちまって、大抵の人間は許しちまうんだろうな。本当に泣きゃあしんのにな。ふてぶてしいヤツだし。」

「あーあ、可愛い童顔ってほんと得だね。」

神楽の屈託ない笑顔に、二花は鼻白む。

「判った、判った!」

二花は上半身を勢いよく起こし、そして、立ち上がった。

「メシ、買ってくるよ。神楽、何食いたい?お祝いだから、何でもいいぞ。」

ジーンズのポケットから車のキーを取り出し、二花はヤケクソのように言い放った。

「高級寿司。ウニとイクラとエンガワとアワビとカニを死ぬ程食べてみたい。」

しれっと言う神楽に、二花は笑った。

「いいよ、判った。」

何の疑いもなく、そのまま家を出て行った。

「何なの、あの金持ちバリバリ態度は。お坊っちゃんは冗談も通じやしない。」

「育った環境は最悪でも、何だかんだで育ちが違うよな、二花は。ふとした事で、金銭感覚やら、生活の質の違いに戸惑うよ。」

二花が落としていった煙草の箱を、苛立った神楽は窓を開けて外へ、ぶん投げる。

「バーカっ!どアホっ!ロリコン野郎っ!」

大声で窓の外に叫んだ。




……………………………………………………………………………






神楽が風呂から上がってくると、居間は煙がモウモウと拡がっていた。

「いい加減にしてよ。副流煙って聞いた事ある?」

神楽は居間の窓をガラッと大きく開けた。

「寒いじゃないか!」

父の瞬が叫ぶと、二花は煙草を咥えたまま、立ち上がって台所の換気扇をつけた。そのまま、換気扇の下に立っている。

「悪い、神楽。」

「悪いと思ってても、吸うのやめんだよね。」

「神楽ちゃん、お願い、部屋に行ってて。」

二花が手を合わせて拝む。

「意味判らん。もー、酒が入ると、何で煙草が手放せんくなるかね。」

昼からの延長で夕食になり、そのまま男二人は呑み続けている。

テーブルの上がビールの缶、焼酎の瓶、寿司桶で雑多になっている事に、神楽は苛立ちを覚えた。
片付けは翌日、二花に任せるとしても、そのままで夜を過ごす事は神楽には不本意だ。
神楽の卒業祝いという話は、何処に行ったのだろう。
大きな溜め息をつく。

「二花くん、瑠璃ちゃんは結局どうなるの?」

換気扇の下で煙草を吸っている二花を、神楽は見やった。

「何が?」

「モデル。」

「ああ。」

ふうっと天井に向かって大きく煙を吐いた。

「一応、ハイティーンズ誌から声は掛かってるけど、結局同じだろ?どうしよっかなって感じ。ショーモデルには背がよくても、おっぱいがね、デカすぎるって。」

コイツ、酔っ払ってんな。
普段と何も変わらなさそうな外観の二花だけど、ちょっとした間違い探しで容易に判る。

「あたしはこれからも活躍して欲しいんだけど、瑠璃ちゃんに。」

「アイツもな、友だちが送った読者モデルの応募に眼を止められ、遊び感覚で始めてから、専属取れたし、楽しくなってきたトコだしな。椎也の子でも、南藤実花の子でもない、ただの森下瑠璃だっていう眼で見てくれる場所の嬉しさもあったしなー。これからは既存の道は無理でも、瑠璃だから活かせる道が、きっとある筈なんだ。」

二花は嬉しそうに、アーティスト椎也と女優南藤実花の長女の瑠璃の事を語る。
その様子を見るのが、神楽は好きだった。
二花がしあわせなのが、神楽には歓びだった。

「あれ程誰とも結婚しないって言っとった二花くんなのに、婚約指環渡すくらいだから、きっと、瑠璃ちゃんの将来を見据えてるのかと。」

二花は眼を見開いて、コタツに戻って
煙草の火を灰皿で揉み消し、コップに残っていた芋焼酎のお湯割りを飲み干した。

「婚約指環ってなあ。アレは誕生日プレゼントだよ。」

「高価なラピスラズリの指環、あれが婚約指環でなくて、どうなの。」

中学生に渡す誕生日プレゼントにしては、金額的に度が過ぎている。
そして、二花の本気度も神楽は判っている。

「別に……婚約指環でも、いいけど。そういうつもりでも。」

自分で言いながら照れてきて、二花はまた、煙草の火を点ける。
いつからかだったか。
二花の吸う煙草の銘柄が変わった。
匂いがキツくなった。
ああ、あれは二花が彼氏の赴任先のパリから帰国してきて、しばらく後だった。
神楽は思い巡らせていた。
そして、しばらく禁煙していたのに、気づいたらまた、吸い始めていた。

「でも、俺はお前と結婚するんだろ?
神楽。」

据わってきた眼で、神楽を見る。

「別に初婚でなくてもいいし。しかも、いつって、あたし言っとらんよね?何十年後かもしれんよ。」

神楽が十一歳になった誕生日、自分はいずれ二花と結婚する運命だと、二花に告げた。
神楽はそれを知っているけれど、二花がそれを信じようと信じまいと、どうでもいい。
結論では、いずれ、そうなるのだから。

「あなたは楽になる為に生きるんだよ。その先に、あたしがいるだけ、それだけ。」

「何だろ、この余裕。本妻の強みってヤツ?神楽の手のひらの上で、俺は遊ばされてるってヤツ?」

二花は、ほくそ笑んだ。
二花にずっと遊ばれているのは、あたしの方だ。
でも、その遊びは心地好い。
胸の動悸を息を飲んで押さえ、神楽は静かに微笑み返した。

「二花、お前、判ってんのか?その言い方だと、神楽の筋書きに、すっかり載ってんだぞ?」

瞬が呆れて、向かいの二花に言い放つ。

「そうかぁ?」

「そうだよ、お前って奴は判らんわ。神楽も実の娘ながら、その計画性で徐々にそうなってたら、怖いとは思うけどなあ。」

「お父さんでも怖いの?ふふっ。」

怖い事なんか何も無い。
あるとしたら、自分がこの世に生まれてくる事が出来なかったら。
そう考えると、とてつもなく恐ろしい。
母の血肉で、母の中で育った赤子の夢。
母の血肉の記憶を持って、死んだ母の体内から、この世にたったひとつの欲望を叶える為に産まれてきた。
だから、いつも、気づかれないように身震いしている。
それはいつか、必ず叶うから。

「神楽はさ、俺のー」

話し掛けて、二花は、そのまま後ろに倒れた。
瞬が慌てて、二花の指に挟んだ火の点いた煙草を奪い、灰皿で揉み消す。
二花は、すぐに寝息を立てていた。

「まったく。いつも、いきなり倒れるんだからよ。記憶無くす程、呑むなよな。」

瞬は呆れて、しあわせそうな寝顔の二花の鼻を指で軽く弾く。
神楽は溜め息をついてから、掛け布団を運んできて二花に掛けた。
そして、全開になっていた窓を閉める。
花瓶に活けた花々が揺れていた。

「何だかんだ言って、向こうでは気が張ってんだろうな。格好つけないといられんのだろうな。家で地が出せるなら、出させてやりたいよな。」

「うん……。」

神楽は、二花の瞼に掛かっている前髪を指で軽く直す。

「……瑠璃……」

その時、二花が寝ながら呟いた。
瞬は、おっ?という顔で笑いを堪える。

「バイの行く末がロリコンなんてなあ。面白過ぎる奴。」

「おっぱい……」

二花の次の寝言に、瞬は二花の頬を軽く叩いた。

「ったくっ。狂いやがって。」

「瑠璃ちゃんのおっぱい、大好きだね。二花くんらしい寝言だ。」

「お前もなあ。」

「溺れてるね、相当。」

二花を眺めている神楽。
瞬は、そんな神楽の頭をポンポンと押さえる。

「こんな奴でいいのかよ?十三歳の娘に溺れるくらい、相当ヤバいぞ、コイツは。」

「自分が自分をヤバいと思っとるからヤバいんだよ。簡単な問題なのに、自分で難しく考えとるの。あたしには単純な二花くんにしか見えんのに。溺れるなんて、そんな不確かな感情、あたしには判らないし、要らないけれど。」

「どういう惚れようだよ?」

瞬が立ち上がろうとした時、二花は小さく呟いた。

「チカ……」

新たな名前に、瞬は二花の太腿を軽く蹴った。

「また違う女の名前が出てきたぞ。コイツはっ。」

神楽はしあわせそうに寝ている二花の顔を、じっと見つめる。

「風呂行ってくるわ。神楽も二花放っといて早く寝ろよ。どうせ早起きして片付けるだろ、コイツ。」

「うん。」

瞬が風呂に行ってから、神楽は二花の額を柔らかく撫でた。

「それが、あなたのご主人さまの名前?」

問いに返事は無いが、二花のシャツの中のTシャツの襟元にギリギリに隠れている、右首僧帽筋にある一箇所の跡に、右中指先でそっと触れた。

「ずいぶん、複雑な人。」

触れながら息を飲む。

「あなたは、大丈夫。段々に軽くなっていくよ。それまでに、少し時間が掛かるけれど。」

愛おしそうに、二花を眺める。

「大丈夫。何があっても、大丈夫だよ。」

あたしは、ずぅっと、あなたを見ているから。
神楽は穏やかに微笑んだ。




続く


……………………………………………………………………………





アホな地の二花が書きたかった。
地元はいいもんだろうか。
それとも、その地を出せるバックボーンが
逆に甘さなのだろうか。

そのオジサン地の二花を見知っていて、
いずれ二花と結婚することになると
言い張る神楽の
自分を曲げない痛烈な強さ。

穏やかな未来を知って
その欲望がいずれ叶うと知って
生きるとき、
人は強くなるのかもしれません。

そんな神楽が好き。

でも、瑠璃も好き。

それぞれへの想いがあります。


次のこの同時期の瑠璃シーンは、
既に欲望が渦巻き始めていて
自分的には表現することの
苦しさもあるのですが

でも、再生のための破壊なのだから。

それは有るものだ、と。

人の愚かな面こそ
最も愛おしい面なのかもしれません。


10年経つと
二花も外観が変わるだろうか?

脳内役者さんの
現実の、その成長も楽しみです。


お読みくださり、真にありがとうございます。


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