共謀罪法案強行採決という暴挙について
※今回の記事は、試験には一切関係ありません。「そういう記事は読みたくない」という方は読まなくて結構です。ただ試験云々(「でんでん」ではない)の以前の問題として、有権者ひとりひとりが考えなければならない問題であると思っています。
1960年6月15日。
新安保条約改定に反対するデモが続く中、デモに参加していた樺美智子さんが亡くなりました。
あれから57年。
今度は、「国会が」死にました。
昨日の出来事を振り返りましょう。
国会法56条の3第1項に
「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」という規定があります。
そして同条第2項には「前項の中間報告があつた案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる」という規定もある。
これは、委員会においてその法案の成立に反対する野党側が委員長を務めている場合に、使われることがある規定です。
この場合、委員長は委員会での採決をしようとしないでしょうから、早く法案を成立させたい与党はまず本会議で委員長に中間報告を求める動議を可決します。
報告があったら、今度は本会議で審議する旨の動議を可決し、委員会審議を終わらせて、本会議でその法案を可決成立させる。
昨日参議院法務委員会での審議を打ち切り、本会議での審議に強引に移行させたのも、この「中間報告」制度を使ったものです。
ただ、法務委員会の委員長は、野党側から出されているわけではありません。
与党の公明党から出されています。
また「特に緊急を要する」といった事情は見当たりません。
通常国会はまだ会期末を迎えていませんし、1回だけ延長できますが、それももちろんこれからです。つまり時間的余裕は十分あります。
にも関わらず、この「中間報告」制度を使ったのは、一部報道にもあるように、早く国会を閉会したいだけなのでしょう。
国会答弁を各大臣にさせると、バカさ加減がさらにバレるということを危惧したのか、加計学園問題をこれ以上追及されると政権にとってヤバい話がさらに出てくることを危惧したのかはわかりません。
でもこれらの話は、国会閉会中でも追及できる話です。国会を閉会しちゃえば、国民はパンダ話にうつつを抜かすから、そのうち忘れるだろうと考えているとしたら、あまりにも国民をバカにしている。
一方、公明党は都議選への影響を懸念して、会期延長しないという形での決着に応じたと言われていますが、こんなことをして都議選や今後の国政選挙に影響しないとでも思っているのでしょうか?
とにかく、あまりにも乱暴なやり方です。
そもそも「共謀罪」という、問題が大きい法案の審議であるのですから、より丁寧な審議が求められる。
しかも、参議院は「良識の府」です。
数の力で押し切るやり方は、厳に慎むべきです。
法務大臣の問責決議案の反対答弁で、法務大臣を手放しで絶賛した公明党の佐々木議員。
田原総一朗さんが「これは皮肉で言ってんだよね。皮肉じゃなかったらただのバカだよ、この人は」と言っておられましたが、本当にそうですね。
この議員だけでなく、思考停止した与党議員がこんなに現れるようになったのも、「安倍一強」の弊害のひとつなのでしょう。
こうして今年の通常国会は、会期延長もないまま終わろうとしています。
ということで、今日で国会は死にました。
性犯罪の厳罰化に関する法案は、継続審議扱いになるようです。つまり今国会では成立させないということです。詩織さんの勇気ある告発もこういった形で葬り、思想良心の自由に極めて重大な影響を与える共謀罪が成立する。
悪夢のような出来事が、今の日本では起きています。
安倍内閣が支持される理由は、「他よりマシ」というものです。
でもね、ここまで来ると「他のがマシ」です。
真摯に議論を重ね、反対意見にも耳を傾け、批判に対してもきちんと応える。
こういった姿勢を示すことさえせず、国会を「殺した」安倍内閣のどこが「他よりマシ」なのか?
そのことを考える最後のチャンスがいま訪れています。
1925年の教訓を今こそ噛みしめるべきなのです。