今年もツール・ド・フランスが始まりました。
このツール・ド・フランスというレースが僕の人生を変えた、と言っても過言ではありません。
中学生の時にテレビで初めて目にし、釘付けになったレース。
ヨーロッパのダイナミックな大自然を背景に戦う漢達の姿。
その時の衝撃は今でも鮮烈に覚えています。
ロードレースと呼ばれるこの自転車競技はヨーロッパでこそサッカーと人気を二分するメジャースポーツですが、残念ながら日本ではいまだマイナースポーツです。
かつての僕がそうだったように、日本の子ども達にツールやジロを観て感動してもらいたい。
そして一人でも多くの青少年が自転車選手を目指してほしい、と心から願っています。
それが選手として18年間生きてきた僕の、このスポーツに対する想いです。
ロードレーサーの魅力ってなんだろう?
- 世界中を旅できる
- 世界中に友達ができる
- 多くの言語を話せるようになる
世界のトップレースの殆どはヨーロッパで行われ、基本的にヨーロッパに住むことが多くなります。
頂点への道は他のスポーツ同様に厳しいけれど、とても魅力のあるスポーツです。
なぜ今さらこんなことを書いているかというと、24時間テレビで僕の選手時代の物語がドラマ化されることになったから。
宮澤崇史って誰やねん!
とツッコミをいただくだろうと思い、ロードレースの魅力をたくさん書いておいて、ドラマを観てここを訪れた子ども達が「自転車選手になりたい!」と思ってくれたらいいな〜
という下心満載で書いています。
ヨーロッパではイタリアとフランスに住みましたが、初めての国がイタリアだったこともあって僕はイタリア料理が大好きです。
イタリアで世界一美味しいモッツァレラと生ハム、選手のエネルギー源になるパスタに出会いました。
美味しい食材が手に入るので、選手時代もよく作ってはチームメイトに食べさせたりしていました。
今でもご飯を作ると時々Instagramに載せています。
https://www.instagram.com/cucina_takashi/
料理やワイン以外ではオペラに出会ってよく聴くようになりました。
オペラなんて、イタリアにいなかったら多分一生聴く機会がなかったはず。
外国に暮らすことで、自分が打ち込んでいること以外の多様な文化に触れ、結果的に人生が豊かになります。
(視野の狭い、ただの自転車バカにならずに済みました)。
レースはアマチュアカテゴリーの1番下のレースから始めて、三つのプロカテゴリー全てに所属しました。
【アマチュアカテゴリー】
- 全ての選手が他人を押しのけてのし上がることを考えているので、チーム関係者から見えない場所での裏切りは日常茶飯事。
- それでも勝つ選手が上に上がっていく。
- アマチュアでも上位カテゴリーになるとチームプレイの機能が上がっていく。
- 外国人を受け入れる合宿所のあるチームも数多い。
- 最初に「外人てみんな強そう!」とビビるのはこのカテゴリーまで。
- 勝てばそのうち自信がついて、多くのことにチャレンジしたくなる。
【コンチネンタル】
- 上から数えて3番目のこのカテゴリーでは、車で1000km以上移動するレース巡業が当たり前。
- レース後はシャワーなんて贅沢なものはなく、ペットボトルの水で体を拭いてそのまま次のレース地に移動。
- 移動のタフさに耐えながら、同時にレースへの集中を要求される。
- 僕はこのカテゴリーで年間110レース走った年もあり、2月から10月までの9ヶ月で3日に1レースは走るほどにレース三昧でした。
- この頃からフランス、スペイン、イタリア、オランダ、ベルギーなど外国遠征に出かけることが多くなり、移動距離も増える。
- レース数も多いこのカテゴリーが一番多くの国の景色を見られる(…と言うと聞こえは良いですね)。
【プロコンチネンタル】
- ここから上がロードレース界で「プロ選手」と世界的に認められるカテゴリーとなる。
- このカテゴリーでは飛行機遠征が多くなる。
- レース数は少なくなるが、レースのレベルが高く世界のトップレベルの選手と戦うことが多くなることから、メンタルとフィジカルの回復が重要になってくる。
- このプロコンチネンタルと最上位のワールドツアーの差は大きく、成り上がるためには強さ以外にも「運」が必要になる。
- 立派なチームバスにはシャワールームが完備され、レース終了後も快適に過ごせる。
【ワールドツアー】
- 世界トッププロカテゴリー。
- 各選手はヨーロッパ内の住みたい場所に住むことができ、レース毎にチームと合流する遠征スタイル。
- 仕事は完全に役割分担され、過去のレースの展開から危険箇所まで事細かいレース分析の上、選手たちは仕事(レース)へと向かう。
- チームには専属シェフがつき、24時間食べたい時に食べることができ、間食も用意される。
- トレーニングはパワーメーターでトレーナーから出されるメニューを行い管理される。
- 70~80ほどの出場レースは選手自身が選ぶのではなく、チームが選ぶことが多い。
- プロカテゴリーの中では最もお酒を飲む選手たちが多いのがワールドツアーの特徴でもある(僕の周りだけだったかもしれないが、要はプロ意識が高く自己管理ができるということ)。
ロードレースの世界をざっと書いてみました。
ロードレースの世界は、上に上がれば上がるほどレースに集中できるようになり、「自転車選手」という立派な一つの職業としてヨーロッパで活躍することができるようになります。
本場ですから、自転車選手はどこへ行ってもリスペクトされます。
現地の言葉を話せるようになり、コミュニケーションを取れるようになれば、日本にいるのと変わりなく生活ができます。
今は、高校卒業後にヨーロッパでレースを重ねて実力をつけた新城幸也選手と別府史之選手の二人が、世界のトッププロとして活躍しています。
現在のところ、彼ら二人の後に続く日本人選手がまだ現れていません。
しかし、それはむしろチャンスです。
遠い極東アジアの国から来た日本人選手が、ヨーロッパで生まれたスポーツで本場の選手達に勝ち、現地の人々の憧れとなり、囲まれてサインをねだられる。
ヨーロッパで英雄になる。
そんな夢を追ってみませんか?
本場ヨーロッパのレースをスポーツチャンネルのDAZNやJSPORTSなどで是非ご覧になってください。
多くの若者が今回のドラマをきっかけにロードレースに興味を持ってくださったら嬉しいです。
また、ロードレースは年齢・性別に関係なく誰にでも楽しめるスポーツです。
これを機にあなたもロードレースを始めてみませんか?
http://urx.space/UCdN